
時計の針は先月末くらいにさかのぼる。その年齢に比して元気な老母が、珍しく、風邪をひいたのであった。そのちょっと前に旅行へ行っていたので、そこでもらってきたのかもしれない。
症状は、のどの痛みと高熱。コロナを疑ったが、本人が病院はいいと言うし、解熱剤がよく効いて(ふだん、あまり飲まない昭和の人)、二、三日、寝ていたら快方に向かったのである。
そしてわたし。6月1日の午前中から、ちょっと微熱が出ていた。36.8〜37.2度くらい。母の風邪が感染ったか、まあ5月は法人確定申告もあって忙しくしていたし、気候の乱高下もあったしで、それが原因だろう、と思って過ごしていた。
ら――夜になって、一気に熱が38度くらいまであがってしまったのである。持病のひとつメニエル病もあって、クラッとめまいにおそわれ、それで前回のブログは(ストックもなく)お休みをいただいたと、こういうわけ。
さて、翌2日。本当は細君とカラオケに行く予定だったのだが、朝になっても熱が下がらない。これはちょっと無理だね、ということで、それはお休みに。
この日の記憶はほとんどない。ただもう、市販の解熱剤を飲んで、39度近い高熱にうなされながら、ベッドで耐えていた。
ただ、雨の中、細君がスーパーまで食料備蓄の買い出しに行ってくれたことは良く覚えている。
翌3日の朝、トイレに起きるが、フラフラ。こりゃ、風邪でもコロナでも病院にかかったほうがいいな、と、思う。
かかりつけ医のサイトを見てみると、熱が出ている場合は事前に電話で連絡せよとのこと。電話してみると、ではしばらく待って(うちから歩いて三分の病院なので)折り返し電話をするので、そうしたら、裏口から入ってくれ、との指示。そちらが発熱外来の入り口とのこと。
着替えて、しばらく待っていると、電話がきたので、病院へ。裏口からピンポンを押してきたことを伝える。中に入る。と、待合椅子にうちの老父がw。なんと老父も発熱して、ここに来ていたのだった。
そして、老父と看護師の会話を聞いていると、あー、コロナである。こりゃあもう自分も、と腹を決める。老父は先にクスリをもらって帰っていった。
看護師がやってきて、ではコロナの検査をしますね、ということで、鼻の孔に細い綿棒を突っ込まれる。
しばらく待たされた後、結果が出た。そう。わたしも新型コロナ感染症に罹患していた。
そしてクスリをもらい、帰宅。5類になったので診察料と薬代が取られる。老父が計3,000円程度。三割負担のわたしは計6,000円程度くらいだったかな。

ここで、不思議な現象が起きる。
家に帰ってみると、妙に体が楽なのである。熱を測ってみると、あれっ? 36度台だ。
うーん、とうなりながら、でもコロナだしな、とクスリを飲んで横になった。
そうそう、一緒に住んでいる細君も微熱を出していたので病院へ行かせた。そちらの結果も――バッチリ、コロナであった。
老母は病院で確定診断を受けていないが、やはりコロナだったのだろう。日数レベルの時間差はあったが、同居家族全員がコロナにやられていたのだ。うーむ。この感染力の強さ、これがコロナの怖さか。

さて、上記の不思議現象に戻ると、なぜだか一気に、体が楽になり、関節痛も引いて行って、熱も下がってしまったのである。
そして3日の夜には、もう、ごく普通に過ごせていたのであった。
病院からは、6日まで外出禁止、という指示がくだっているので、それまでの予定がだいぶズレた。いくつかリスケの連絡を入れる。喪明けの来週後半は忙しい日々になりそうだと、それはげんなり。

実質、家族全員、コロナなので(老母以外は)全員家に幽閉状態である。細君が食料備蓄を買ってきてくれていたので実に助かった。
もっとも、家族全員コロナで良かった、と思う点もある。もし、わたしひとりがコロナだったら、しばらく一人でホテル暮らしをしよう、と考えていたのだから。
翌4日は「三位一体の主日」だが、保菌者なので、教会は休ませてもらった。それだけでも病院へ行って、コロナの確定診断を受けていてよかったと思う。でなければ、教会へ行って、コロナウイルスをバラまいていたかもしれない。おお、考えるだけでも怖い。
こういう病気は、後に罹る人の方が重いのだろうか。細君の症状が一番重かった。高熱がなかなか引いてくれない。
そして5日夜、細君にも不思議現象が起こる。夕方まではボロボロだったのだが、これがいきなり、回復したのである。熱はまだ多少あるが、それでも36度台で済んでいる。
どうも、我々が罹患したこのコロナ株。治るときは一気に快方に向かうようなのである。不思議なものだなぁ。
というわけで、これを書いているのは6日の晩。7日が喪明けなので、やっと用事を片づけに外出できる。ふー。
実際に自分がコロナに罹るまでは「自分はおそらく、大丈夫なんじゃないかな?」というおごりがあったような気もする。
いや、もうこの時代に生きている限り、誰でも一回はこの新型コロナに罹ることを覚悟した方がいい、と思った経験であった。
ちなみに、味覚・嗅覚障害は、家族全員、まったくない。
そういう意味では「軽い」コロナだったのかもしれないし、それとも全員、ワクチンを6回打っていたからかもしれない。
少なくとも、三年前に皆が恐れていた「死病」のイメージレベルではなくなったな、というのが実感だ。5類にしたのは良かったのではと思っている。
5GにCONNECTEDしようが、腕に磁石がつこうが、ウダウダ妙な屁理屈こねまわしてないでワクチン打っとけ! と、思う結城なのであった。