さて、今日はHHKB Studioを書斎の外に持ち出して、例のごとく、細君がカラオケ熱唱しているカラオケボックスで書いている。
カラオケボックスというのは、以前も書いたとおり、LAN、Bluetoothの電波、今回は関係ないが赤外線などもとても飛び交っており、Bluetoothデバイスのテストにはけっこう過酷である。
実際、HHKB BTとTeclast P85Tの組み合わせでは、Bluetoothがブチブチと切れる上に、快調に書けていると思えば「んんんんんん」というような意図しない連続入力が続いたりして、イライラさせられた。
で、Studioはどうかというと――ここまで打ってきて、Bluetoothの切断も、妙な連続入力もない。どうやらその点、合格のようだ。
ポインティングデバイス――乳首ポインタ――も快調。外に持ち出したAndroid端末でオペレーションするとき、マウスも一緒に持ち出さなくて済むのは助かる。
「こんなのHHKBじゃない」と言いつつ、HHKB Studioを導入した意味はあったようだ。
前回「次回はこれについて書く」と記した乳首ポインタについて――これも最初の方に書いたことだが、わたしはCtrl-h(Backspace)を多用するので、ちょうどhキーにかかるこのポインタがじゃまになるのではないかと危惧していたのだが、最初、指に引っかかる感じは確かに気になったが、すぐに慣れてしまった。
ただ、Android端末のような小さい画面で使うのならまだしも、書斎で使っているような大画面のディスプレイ二枚表示だと、すぐにマウスポインタを見失う。
DesktopMateのミクさんの視線を頼りにポインタを探すこともしばしばだ。

(赤乳首に交換してみた)
また、この乳首ポインタを「ポン」と押すことで左クリックにすることも可能なのだが、しばらく使ってみて、思ったようにクリックすることはできないこと、さらにはAndroidとWindows兼用ではむしろ混同しかねないと悟ったので、この機能も「HHKB Studioキーマップ変更ツール」で止めてしまった。
結局のところ――HHKBのウリである乳首ポインタはAndroid使用のときだけに使い、もうひとつのウリのジェスチャーパッドも機能停止しているという――
ごく普通のHHKBの使い方! に、落ち着いてしまった。
オイオイ、これじゃ、Windowsで使う分にはHHKB Professional HYBRID Type-sと変わらんではないか。
しかも、ポータブルAndroidデバイスのためにHHKB Studioをモバイルしようとすると、今度は「単三電池4本使用で重い」という障壁もあったりするのである。うーむ。
まあこの点に関しては、HHKB Studioでもモバイルバッテリーが使えるので、それでしのぐという手もあるかとは思うが。
そうそう、キータッチについて書いていなかった。
これについては、静電容量無接点方式の従来のものと、メカニカルスイッチのStudioで、そう差は感じられなかった。どちらも良い「スコスコ感」である。
わたし自身が、けっこう、この「キータッチの差」に無頓着なことをいまさら理解した。HHKB BTのカチャカチャ音も気にしないタチなのだ。
だがやはり、Studioの、Professionalと同じ「スコスコ感」は悪くない。
結論として、「HHKB Studioは、やはりHHKBではない」とまでは言わないが、HHKB Professional HYBRID Type-sをなんら越えてはいない。
これからHHKBを使おう、という方は、別にStudioを買う必要はない。結局、HHKB StudioをHHKBらしく使おうとしたら、Studio特有の機能をほとんど封じて使うことになるからだ。
WindowsやMacでも乳首ポインタをバリバリ活用しているし、オモチャ機能のジェスチャーパッドも便利に使っている、という方は、まあ別にいいんじゃないですか? でもそれでHHKBをフルに使いこなしているってのは違うと思うよ。F1でサーキットを疾走するのがHHKBで、HHKB Studioはオモチャ機能満載の007のボンドカーだから。
なんというかこれ(HHKB Studio)、時代のあだ花としてラインナップからそのうち静かに消えていくんじゃないですかねぇ。
そうそう、HHKB Professionalなら、公式が発売している色つきキートップを使い、キートップの色を変えて楽しむ、という遊び方もある。このあたりはStudioではできないことだ。
Studioで公式がカラーキートップを出すかどうかが、ある意味、このデバイスの将来を占う分水嶺かな、と思う。