2023年06月07日

【日記】新型コロナでしたorz

 Twitterの方では報告したのだが、いやぁ、結城。新型コロナでした。



 時計の針は先月末くらいにさかのぼる。その年齢に比して元気な老母が、珍しく、風邪をひいたのであった。そのちょっと前に旅行へ行っていたので、そこでもらってきたのかもしれない。
 症状は、のどの痛みと高熱。コロナを疑ったが、本人が病院はいいと言うし、解熱剤がよく効いて(ふだん、あまり飲まない昭和の人)、二、三日、寝ていたら快方に向かったのである。

 そしてわたし。6月1日の午前中から、ちょっと微熱が出ていた。36.8〜37.2度くらい。母の風邪が感染ったか、まあ5月は法人確定申告もあって忙しくしていたし、気候の乱高下もあったしで、それが原因だろう、と思って過ごしていた。
 ら――夜になって、一気に熱が38度くらいまであがってしまったのである。持病のひとつメニエル病もあって、クラッとめまいにおそわれ、それで前回のブログは(ストックもなく)お休みをいただいたと、こういうわけ。

 さて、翌2日。本当は細君とカラオケに行く予定だったのだが、朝になっても熱が下がらない。これはちょっと無理だね、ということで、それはお休みに。
 この日の記憶はほとんどない。ただもう、市販の解熱剤を飲んで、39度近い高熱にうなされながら、ベッドで耐えていた。
 ただ、雨の中、細君がスーパーまで食料備蓄の買い出しに行ってくれたことは良く覚えている。

 翌3日の朝、トイレに起きるが、フラフラ。こりゃ、風邪でもコロナでも病院にかかったほうがいいな、と、思う。
 かかりつけ医のサイトを見てみると、熱が出ている場合は事前に電話で連絡せよとのこと。電話してみると、ではしばらく待って(うちから歩いて三分の病院なので)折り返し電話をするので、そうしたら、裏口から入ってくれ、との指示。そちらが発熱外来の入り口とのこと。

 着替えて、しばらく待っていると、電話がきたので、病院へ。裏口からピンポンを押してきたことを伝える。中に入る。と、待合椅子にうちの老父がw。なんと老父も発熱して、ここに来ていたのだった。
 そして、老父と看護師の会話を聞いていると、あー、コロナである。こりゃあもう自分も、と腹を決める。老父は先にクスリをもらって帰っていった。

 看護師がやってきて、ではコロナの検査をしますね、ということで、鼻の孔に細い綿棒を突っ込まれる。

 しばらく待たされた後、結果が出た。そう。わたしも新型コロナ感染症に罹患していた。
 そしてクスリをもらい、帰宅。5類になったので診察料と薬代が取られる。老父が計3,000円程度。三割負担のわたしは計6,000円程度くらいだったかな。



 ここで、不思議な現象が起きる。
 家に帰ってみると、妙に体が楽なのである。熱を測ってみると、あれっ? 36度台だ。
 うーん、とうなりながら、でもコロナだしな、とクスリを飲んで横になった。

 そうそう、一緒に住んでいる細君も微熱を出していたので病院へ行かせた。そちらの結果も――バッチリ、コロナであった。

 老母は病院で確定診断を受けていないが、やはりコロナだったのだろう。日数レベルの時間差はあったが、同居家族全員がコロナにやられていたのだ。うーむ。この感染力の強さ、これがコロナの怖さか。



 さて、上記の不思議現象に戻ると、なぜだか一気に、体が楽になり、関節痛も引いて行って、熱も下がってしまったのである。
 そして3日の夜には、もう、ごく普通に過ごせていたのであった。

 病院からは、6日まで外出禁止、という指示がくだっているので、それまでの予定がだいぶズレた。いくつかリスケの連絡を入れる。喪明けの来週後半は忙しい日々になりそうだと、それはげんなり。



 実質、家族全員、コロナなので(老母以外は)全員家に幽閉状態である。細君が食料備蓄を買ってきてくれていたので実に助かった。
 もっとも、家族全員コロナで良かった、と思う点もある。もし、わたしひとりがコロナだったら、しばらく一人でホテル暮らしをしよう、と考えていたのだから。

 翌4日は「三位一体の主日」だが、保菌者なので、教会は休ませてもらった。それだけでも病院へ行って、コロナの確定診断を受けていてよかったと思う。でなければ、教会へ行って、コロナウイルスをバラまいていたかもしれない。おお、考えるだけでも怖い。

 こういう病気は、後に罹る人の方が重いのだろうか。細君の症状が一番重かった。高熱がなかなか引いてくれない。
 そして5日夜、細君にも不思議現象が起こる。夕方まではボロボロだったのだが、これがいきなり、回復したのである。熱はまだ多少あるが、それでも36度台で済んでいる。

 どうも、我々が罹患したこのコロナ株。治るときは一気に快方に向かうようなのである。不思議なものだなぁ。

 というわけで、これを書いているのは6日の晩。7日が喪明けなので、やっと用事を片づけに外出できる。ふー。

 実際に自分がコロナに罹るまでは「自分はおそらく、大丈夫なんじゃないかな?」というおごりがあったような気もする。
 いや、もうこの時代に生きている限り、誰でも一回はこの新型コロナに罹ることを覚悟した方がいい、と思った経験であった。

 ちなみに、味覚・嗅覚障害は、家族全員、まったくない。
 そういう意味では「軽い」コロナだったのかもしれないし、それとも全員、ワクチンを6回打っていたからかもしれない。
 少なくとも、三年前に皆が恐れていた「死病」のイメージレベルではなくなったな、というのが実感だ。5類にしたのは良かったのではと思っている。

 5GにCONNECTEDしようが、腕に磁石がつこうが、ウダウダ妙な屁理屈こねまわしてないでワクチン打っとけ! と、思う結城なのであった。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記

2023年06月02日

結城は急病でお休みです

すまん。
38度以上の熱が出て、ちょっとブログを書いている精神的余裕がない。
コロナではないと思うのだが……。
というわけで、今回のブログはお休みである。
ではでは。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記

2023年05月31日

【日記】ONYX BOOX Poke5 その2

 さて、前回の記事では、全然Poke5の実機レポをしなかったので(1テラSDXCが使えるという情報は書いたか)、今回は実際に使ってみた感想を。


(左がPoke4 Lite、右がPoke5。一見そう変わらない)

 もちろん、運用はわたしの定番、Perfect Viewerと自炊マンガである。あとはAndroid用Kindleアプリで活字本を読むのに使っている。

 姉妹機、Poke4 LiteとPoke5を比べてみる。
 Poke4 Liteは6インチ画面で1024x758ピクセル、212ppi。Poke5は同じく6インチで1448x1072ピクセルの300ppi。重さはPoke5が10グラム増えて160グラムとなっている。

 212ppiと300ppiでは、数字上でかなり違う印象を受けるが、マンガをPerfect Viewerで読む分にはあまり差を感じない。むしろ、E-InkモードをRegalから他のレベルに変えたほうが劣化が激しい。

 BOOXをお持ちでない方のために解説を入れると、同シリーズのE-Ink表示レベルにはいくつかのモードがあって、機種ごとに微妙な違いはあるが、Poke5を例にとると――

 ノーマル:通常モード(表示効果が高く、一般的なテキストの読み取りに適しています)
 リーガル:リーガルモード(最小限のゴースト、暗い画面にわずかにちらつき、明るい色の背景に適しています)
 スピード:スピードモード(ゴーストが少なく、画像や文字を素早く早く読むのに適しています)
 A2:A2モード(ゴーストが存在する可能性があり、画像やテキストを含むページのスクロールに適しています)。
 X:Xモード(詳細が大幅に失われる可能性があり、Webページやビデオに適しています)。


 と、なっている。マンガを読むならスピードモード以上にしないと鑑賞にたえない。またスピードモードならページ遷移を、ギリ「スクロール」にできるが、それ以上だとページ遷移「なし」にしないとページめくりでイラつくことになる。
 もっとも、電子ペーパーの良さは「書き換え時以外にバッテリを使わないこと」なので、無理にページ遷移を「スクロール」させることはないという考え方もできる。

 ppiの違いが出るのは、むしろAndorid Kindleアプリの活字本かもしれない。とはいえこれも、Regal以上ならば、もとが互いに6インチという小さな画面なので、そう差は感じない。

 しかし、Poke5はMicro SDXCが使え、Poke4 Liteの完全上位互換なので、いまさらPoke4 Liteを新規に買い求める必要はないだろう(というか、もうSKTNETSHOPでも売ってないし)。

 さて、PC Watchの山口真弘先生のレポートや、ほかのサイトでも触れられていない、実際の運用上の感想をあげると――

「純正ケースがBOOXにしてはまとも!」

 である。BOOXシリーズの純正ケースは今まで、ケースの蓋を閉じるのに「粘着テープ」を使うのが好きで、これがベタベタしたり、すぐに粘着力がなくなってしまうので不評だった。
 しかもペラッペラの純正ケースに4、5千円取るのだから「ふざくんな!」とユーザに大不評だったのである。わたしもBOOX Leaf2の記事で文句を言った覚えがある。

 それが今回、閉じるのに使われているのは「マグネット」なのだ。磁力でピタっと閉じる。
 それどころか――なんと、本体をケースに止めるのも磁力なのである!(これはBOOX Ultraもそうだったが)。



 これがケースを開いたところの写真。ただの一枚の板だ。
 これに本体を持っていくと、ピタリと定位置で止まる。ほぉおー、大したものだ。



 この磁力は非常に強力で――



 ケースの蓋の部分を持ち上げても、本体が落ちたりはしない。
 いやむしろ磁力が強力すぎて――



 鉄の缶が貼りついてしまうのには苦笑してしまった。
 なんというか、このBOOXシリーズ、極端から極端へ走るなァ、という感想である。

 こんなに磁力が強いので、Poke5を入れるカバンの中には、磁力で傷む系のモノは同梱しない方がいい。古いタイプのクレカや、フロッピーディスクなどは一緒に持ち歩かない方がいいだろう(え?)。
 あと、砂場に落としたりしたら砂鉄がついて大変そうなので、海などでは使いたくないな、という気もする。
 ちなみに、やってどうするという気もするが、本体をホワイトボードや冷蔵庫に貼りつけることも可能だw

 残念なのは、ケースがこの一種類だけなこと。Poke4 Liteには、可愛いネコちゃんのケースがあって、迷ったのだが、結局無難なグレイ色の方を買ってしまい、後で「ネコちゃんのを買っておけば」と後悔したのだ。
 で、Poke5が出るなら、絶対ネコちゃんのケースにしようと思っていたのに、選べるのは――いや選べない。黒一色のこのマグネットケースだけしかないのである。

 実際の運用にあたっては、この「ケースにマグネットで止める」という仕様がけっこういい(磁力で悪影響がでる事象があれば別だが)。
 読書をしていて、ちょっと重く感じてきたら、パッとケースから外して、本体160グラムだけで読み続けていける。

 わたしのPoke5背面には、PDA工房さんから出ている背面用フィルムが貼ってあるので、ケースなしの全裸勇者使用でキズを心配することもない。
 この、パッとケースから外し、またケースにストッと付けられる運用が、こんなに快適だとは思わなかった。
 ネコちゃん柄のケースも出してくれればねぇ。

 そんなこんなで、ONYX BOOX Poke5、わたしはとても気にいった。Micro SDXCメモカに1テラが使えるというのも最高である(ちなみに現在、SDXCの最大容量は1テラである)。どんどこ自炊ファイルを入れていける。

(ナイショだが、実験してみたところ、BOOX Leaf2でも1テラSDXCメモカが使えた。前回の失敗もあるが、おそらく、まともな1テラSDXCメモカなら、BOOX Ultraもいけると思う(そちらはまだ試していない))。

 今は、完全下位機になってしまったPoke4 Liteの運用をどうしようか考え中である。メルカリで売ってしまえばいいのだが、そう高いものでもないし、それなりに気に入っているので、活字本の消化のために使ってもいいかなぁ、などと考えていたりもするのだ。

 こうしてツンドクならぬ、ツン端末も増えていくのである。あぁ……。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記

2023年05月27日

【日記】ONYX BOOX Poke5 その1

 予告通り、ONYX BOOX Poke5 を導入したので、そのレポートを。


(左からPoke4 Lite、Poke5、Leaf2。なんとPoke4 Liteより小さい!)

 ところで、このONYX BOOX Poke5。国内総代理店のSKTから5月中に発売されると聞いていたものの――メールでお尋ねしてしまった! その節は丁寧なお返事ありがとうございます――イラチなわたしは待ちかねて、結局、海外輸入で買った方から別ルートで購入してしまったのだった。
 そうしたら、わたしが入手した次の日にSKTNETSHOPが発売開始というタイミング。なんともである。

 そのタイミング差のおかげで、良いこともあった。
 発売前は、SKTの本家サイトおよびSKTNETSHOPサイトに当然まだPoke5の詳細は載っておらず、SDXCスロットがついたPokeシリーズというだけで、肝心のSDXCサイズの最大容量が書いていなかったのだ。
 この情報、実はONYXの公式サイトにも書いていない。ただSDXCカードスロット装備、というだけなのである。

 わたしは海外のサイトまでレポをググりまくり、その中に「SDXC Card(Max:1T)」という記述があったので「これは1テラいけるか!」と、本体と同時にアマゾンで1テラのSDXCメモカを買っていたのだ。
 前回の失敗で懲りたので、今回は定評あるコレを購入。もちろん、アマゾン出荷および販売のものを選んだことは言うまでもない。


(【 サンディスク 正規品 】 microSD 1TB UHS-I U3 V30 書込最大130MB/s Full HD & 4K SanDisk Extreme SDSQXAV-1T00-GH3MA 新パッケージ)

 そして本体に挿入してフォーマット。



 前回と違い、本機でフォーマットしても、ちゃんと1Tと表示されている。
 しかしこれで安心はできないので、FreeFileSyncを使い自炊ファイル群をコピー。
 途中、MTP接続外れで何回かやりなおしたが、最後までコピーでき、3,000冊余のファイルを余裕で飲み込んでくれた。



 まだまだ余裕があるのはイイネ。
 しかし、400ギガが最大容量のFire8旧世代にも同じファイル群をコピーし、出かける都度、適当な端末を持って行くことにしているので、400ギガ以上の自炊ファイルを入れるかどうか、まだ迷っているところだ。

 それはともかく、1テラが使えることがわかったところで、いつもとても参考にしているPC Watchの山口真弘先生のレポートが。
 えっ、それによると、SDXCメモカの最大容量は512ギガとな!?

 山口先生とTwitterでお話ししたところ(山口先生、その節は大変ありがとうございました!)、なんとこの時点でSKT本家のPoke5紹介ページに――



 こんな情報が載っていることをお教えくださった! なんと! 汗顔のいたりである。
 うわー、先にこれを見ていたら、1テラは(前回懲りたので)試さなかったかもしれない。
 たった一日のタイミングのズレで、結果的に1テラいけることがわかったので、これはこれで怪我の功名である。
 山口先生のお話しだと「BOOXはこのへんの仕様はあまり正確でない印象はありますね」とのこと。わたしも同感である。なにしろ今でも、ONYX本家のPoke5ページにも情報が載っていないのだから。

 前にも書いたが、おそらく1テラが使えてしまうのは結果論。ONYXが1テラメモカの動作チェックをしていないだけなのだろうと思う。
 こういう経緯なので、今回のこの記事を読んで「BOOX Poke5は必ず1テラいける」とは思わないでいただきたい。あなたのPoke5で1テラが使えなくても、わたしにクレームをつけないように(笑)。代理店が保証しているのは、あくまで512ギガまでだ。

 さて、こんな状況でPoke5を入手したので、わたしが必ず貼っている画面保護シートは、AmazonJPでまだ1、2社しか出していなかった。わたしが全幅の信頼を置いているPDA工房さんからも出ていない。
 これはチャンスかもしれないと、PDA工房さんにメールする。

 BOOX Poke5入手しちゃった。そちらでまだ保護シート出していないようですけど、お貸ししましょうか?(意訳)


 PDA工房さんから、数時間待たず返事がきた。好感。

 おけ。貸してくれたら即採寸して保護シート作るね。もち着払いでいいよ。しかも作ったら一枚貼って返すし、さらに一枚サービスしちゃうぞ(意訳)。


 つまりタダで二枚の保護シートが入手できる上に、プロの貼りつけサービスで画面に貼ってくださるのというのである。ラッキー!

 PDA工房さんは本当に仕事が早い。クロネコヤマトの着払いで向こうに着いたと思ったら(追跡サービスで到着を確認していた)、数時間後にはPDA工房のサイトにPoke5の各種保護シートが並んでおり、しかもその日のうちにわたし宅へPoke5を返送してくださった。


(さすがプロの手によって貼られた保護シート。貼ってあるのがわからないぐらい! あ、でも小さなホコリ混入を一か所見っけw)

 というわけで、今、PDA工房さんが販売しているPoke5の各種フィルムや背面スキンシールは、わたしが手にしている実機から採寸されたものなのである。ちょっと誇らしい(笑)。

 およ、長くなったのに、まだPoke5入手の経緯に関するアレコレばかりである。
 よし、Poke5の実機レポは次回に続く、ということで。

 あ、わたしの記事はだいぶ個人の感想を含んでいるので、正確性を望むのなら、上記の山口真弘先生の記事をお読みいただいた方が絶対いいです。為念。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記

2023年05月24日

【書評】「魔法少女・三十路」2巻

 三倉ゆめ「魔法少女・三十路」(1〜2巻:以下続刊)



 あれはまだ、クリスチャンではないので(日曜朝に出かける必要がないから)ニチアサのアニメを見られた大昔の思い出。

 わたし「魔法少女ってさ、汚い方法で契約させられる、要は傭兵だよね」
 細君「ええ!?」
 わたし「花の国だか夢の国だか知らないけど、自分の国が危機だからって勝手に人間界にやってきて、何も知らない女の子を騙くらかして兵士に仕立てあげ敵と戦わせるんだから、こんなに非人道的な話はないよ」
 細君「いや確かにそうだけどさw」


「まどマギ」よりずいぶん前、人みな「魔法少女」が夢のあるストーリーだと思っていた頃に喝破した、自分エライの話である。

 それから十数年が経って魔法少女モノも多様化し「奥様は魔法少女」とか――


(かんの糖子「奥様は魔法少女」1巻より引用/アニメのコミカライズ)

 ムキムキ男が魔法少女(?)に変身する「魔法少女プリティベル」とか――


(KAKERU「魔法少女プリティベル」1巻より引用)

 そして「魔法少女」に夢のかけらもない、あの――


(原作:Magica Quartet/作画:ハノカゲ「魔法少女まどか☆マギカ」3巻より引用)

「まどマギ」が登場して、「魔法少女もつらいよ」というネタが普通にはなってきたのであった。

 前置きが長くなってしまった。本作「魔法少女・三十路」も、その流れのひとつではあるのだが「つらさのリアリティさ」が特筆ものであったりする。
 って、作者は三倉ゆめ先生!? 「バカップル」は尊死に身もだえしました。「事故物件の幽霊ちゃん」ではウルッときました。そして今作は――というわけで、引き出しの多いマンガ家さんでいらっしゃるなぁ。

 ストーリー――保守(ほし)ようこは35歳。目立たず、小さな幸せに生きる。それが信条の三十路(アラサー)独身。ところが地下鉄に乗っていたある日、小さな声が脳内に響いた。
 ???「お願い! 助けてうさ!!」
 ようこ「(何? どこからか声が聞こえる…)」
 ???「うさの声が聞こえるうさ!? やっと見つけたうさ!! さあ!! 変身うさ!!」
 ようこ「へ!!」



 いやー、本当はここは見開き2ページなのだが、その迫力はここでは出せないなぁ(笑)。ぜひともこの衝撃は本書をお手に取って味わっていただきたい。

 こうして魔法少女として「妖精うさ」とともに、敵「エビルハート」と戦うことになった35歳のようこ。果たして、もう無理しているコスプレにしか見えないこの変身した体で、使命を果たすことができるのか。「妖精うさ」もあまりのことにちょっと戸惑っているぞ(笑)

 こうして、魔法少女三十路ことようこの、とてもリアルな冒険が始まったのである。


 いやとにかく、ようこさんの描写がリアルである。


(鏡に映った自分を見て呆然とするようこ)

 おっと、もちろん、マンガ的にカワイイところも。最初の1コマ目は――



 十分、美女じゃないですかヤダー。いや別にイヤじゃないですけど!

 とにかく本作、お手に取って読んでいただければわかるが、ようこの巻き込まれるトラブル(のいくつか)がリアルである。
 とにかく世間体のために身バレを避けたい彼女。なのにテレビには映ってしまうし、それでも会社には出勤しなければいけないし、一番仲のいい同僚の「あの魔法少女ってオトナなんじゃない?」という洞察にあせったりと、ようこには悪いが笑ってしまう。

 笑ってしまうといえば、敵「イビルハート」の「ゴッデム」が、ようこに忖度して身バレをかばってくれたりするのがまたおかしい。

 さらに、容赦ないことに仲間の魔法少女が――
 魔法少女の強さの秘密は実は――
 そして二巻では、新しい敵も――
 ゴッデムとようこが!?――

 ネタバレを避けるために、こうやってボカして書かなければいけないのがツラいところだが、とにかく、爆笑、苦笑、憐笑の連続である。

 ようこさんの名誉のために書いておくと、アラカンのわたしから見れば、35歳の女性は、まだまだ「お嬢さん」ですよ。いろいろ「フリフリコスが似合わない」のに悩むのもまたカワイイと思ってしまいますな。

 ところで、年齢とコスプレのギャップに悩む、シリアスなシリーズとしては、佐久間結衣先生の傑作「コンプレックス・エイジ」という作品がある。
 この作品のもととなった「読み切り版・コンプレックス・エイジ」で、ヒロインがゴスロリを諦めた歳が――


(佐久間結衣「コンプレックス・エイジ」1巻より引用)

 くしくも、ようこと同じ35歳だったりする。
 昔は「女性は24歳を過ぎ25歳になったらクリスマスケーキと同じように価値がさがる」という侮蔑的な言葉があったのだが、現代女性は35歳あたりに自らの価値をシフトしているのだろうか?

 本作を笑って楽しませていただいたあと、もう一度「コンプレックス・エイジ」を読み直して、しばらく考えてしまった。
 わたしは今まで、「似合っていれば歳なんて関係ないじゃない」という人だった。35歳でもゴスロリ、コスプレ、いいんじゃない? と。
 実際、その歳でそういう服を着こなせる人は、みな、それなりに体形維持に努力しているし、それは誰にでも真似できることではない。

 がしかし、この「似合っていればいい」というのも、またなにか違うのかもしれないな、と、ふと思ったのである。それは――


(佐久間結衣「コンプレックス・エイジ」1巻より引用)

 この男性のセリフに、むしろ「こいつの方が世間知らずのガキ!」という感想を持ってしまったからかもしれない。
 アラカンのわたしは、ここに描かれている男性より歳が上だが、オトナというものが「年相応のカッコをしなければいけない」ものだとは思わなくなったのである(つまり、昔はこの男性と同じように思っていたのだな)。

 歳とってからも、Tシャツにジーパンでいいじゃない。フリフリ着たっていいじゃない。似合う、似合わないを決めるのは世間じゃない。自分で自分にカセをはめたらいけないよ、という気持ち。それが大切。

 本当の多様化っていうのは、そういうものではないのかなぁ。

 などと、真面目にいろいろと考察もしてしまうきっかけとなった本作、「魔法少女・三十路」。いよいよ敵も本格的にようこの根城に乗り込んできて、はてさて先が実に楽しみである。

 繰り返して書くが、アラカンのわたしから見れば、35の女性なんて「お嬢さん」ですよ。人生100年時代、まだまだいろいろ楽しめる歳じゃないですか。
 ようこさんも思いっきりはっちゃけちゃえば、むしろ楽になれるのかも、ね。
posted by 結城恭介 at 08:00| 書評・映画評