2017年03月02日

【カットリク!】真昼の悪魔・その4

フジテレビの土曜深夜のドラマ枠「オトナの土ドラ」で放映中のドラマ「真昼の悪魔」の「カットリク!」。今回はその四回目、2017/02/25放映分。
今回は神父も登場しないし、カットリク!はないかと見ていたら、大河内葉子女医が医局で聖書を読んでいるシーンでやってくれましたよ。



大河内葉子「百匹の羊がいて、そのうちの一匹を見失ったとしたら、羊飼いは九十九匹を野原に残して見失った一匹を見つけ出すまで捜し回る」


これは新約聖書より、イエスの「迷い出た羊」のたとえ(マタイ)=Aあるいは「見失った羊」のたとえ(ルカ)≠ナある。

新共同訳から原典を引いてみよう。

「あなたがたはどう思うか。ある人が羊を百匹持っていて、その一匹が迷い出たとすれば、九十九匹を山に残しておいて、迷い出た一匹を捜しに行かないだろうか。(マタイによる福音書 18:12) 」

「あなたがたの中に、百匹の羊を持っている人がいて、その一匹を見失ったとすれば、九十九匹を野原に残して、見失った一匹を見つけ出すまで捜し回らないだろうか。(ルカによる福音書 15:4) 」


前々回、葉子女医が読んでいたのは、出典不明の「謎文語訳」であったが、前回、芳賀病院清掃員が読んでいたのは確かに口語訳であり、引用も間違いがなかった。
なので今回も、口語訳を引いてみよう。

「あなたがたはどう思うか。ある人に百匹の羊があり、その中の一匹が迷い出たとすれば、九十九匹を山に残しておいて、その迷い出ている羊を捜しに出かけないであろうか。(マタイによる福音書 18:12)」

「あなたがたの中に、百匹の羊を持っている人がいて、その一匹を見失ったとすれば、九十九匹を野原に残して、見失った一匹を見つけ出すまで捜し回らないだろうか。(ルカによる福音書 15:4)」


葉子女医は「見失った」と言っているので、これはルカ15:4である。お読みいただければわかるとおり、正確な引用ではない。こういうのはよろしくない。聖書というのはキリスト信者の「正典(カノン)」である。翻訳によって違いが出るのは仕方がないが、シナリオライターが恣意で略すのは「正典」に対する敬意が落ちていると思う。
上記キャプチャのイメージからはどのあたりを読んでいるかはわからないが――



このカットのしおりの位置、ルカ15:4よりは微妙に中央よりであると思う。日本聖書協会の口語訳聖書で、実際の位置はここになる。



まあそれ以前に、もう引用がいい加減であることは前述の通り。
ちなみに口語訳はすでに日本聖書協会の著作権が切れているので、引用の度を越えた複製も可能である(もちろん、この程度なら引用だが)。どうして前回のように、口語訳聖書そのままを使わなかったのだろう。キリストもんとしては、こういう「素人が聖書を適当に要約した引用っぽいもの」が一番気味が悪いのである。

カットリク!ポイント42――
カットリク!では、聖書の都合のいいところだけを読んじゃう。捏造もしちゃう。


遠藤周作の原作では、こんなシーンはない。
そして、実は女医以外にも黒幕がいたことは最後にチョロっと触れられているだけだが、このドラマでは中盤にしてそれが明らかになってくる。聖書の引用はいい加減だが、まあ楽しんで見ていると書いておこう。



来週は伊武雅刀演じる「正義の神父」様が大活躍のようですよ。ワクワク!
posted by 結城恭介 at 08:00| 新興宗教カットリク!の研究