2017年03月07日

【カットリク!】真昼の悪魔・その5

フジテレビの土曜深夜のドラマ枠「オトナの土ドラ」で放映中のドラマ「真昼の悪魔」の「カットリク!」。今回はその五回目、2017/03/04放映分。

このドラマの一回目から、洗礼を受けていない未信者がズカズカ告解室に乱入して「懺悔(ぷ)」をしているというありえない点について、わたしは「【カットリク!】真昼の悪魔・その1」でこう書いた。

ものすごーくこのテレビドラマ製作者の肩を持って解釈するとしたら「この女医は幼児洗礼で、初聖体も子どもの頃に済ませているが、大人になってからはずっと教会に通っておらず、ここ一年、また通うようになった」という設定なら、まだいける。
遠藤原作にそのような設定がないことは前述の通りだが、今後、上の設定を匂わせたり回想シーンがあるのならウルトラCだ。


さて、前回見逃していたのだが、ヒロイン女医の父親の死後のシーンで、こんなカットがあった。



なんと父親はブッキョートである。位牌はよく判読できないが、戒名に「和○○○○○○○信士」と読める。ほかのカットには仏壇もある。ヒロイン女医の家の宗教が仏教で、常識的に考えてヒロインだけが幼児洗礼ということはありえないので、上記のような設定は――


(原作:神尾龍/漫画:中原裕「ラストイニング」42巻より引用)

ヒロインの女医葉子がカトリック未洗礼のノンクリスチャンであることが判明した。なので以降、この点で容赦はしない。

というわけで、今回は冒頭から、ノンクリ葉子女医のどこかでの告白から始まる。



葉子「わたしが初めて患者を死なせたのは、医師になって一年ほどしたときでした。ある手術でわたしがミスをしたと患者が言い出して、ヤブ医者よばわりして、ハッとしたんです。我慢してたんですけど、ふと思ったんです。そうだ。わたしは医者になったんだ。もう我慢しなくていいんだって」
神父「あなたの勇気ある告白に感謝します。神のご加護があらんことを」




なんと、また告解室!
何度も何度も何度も何度も書いてきているが「洗礼を受けていない未信者は告解室でゆるしの秘跡を受けることはできません!」
もういいかげん出禁にしろよこの女! つーか、そんな中二病な話はガルちゃんでスレたててやれっての。

カットリク!ポイント65――
カットリク!では、未信者が告解室で神父に相談しちゃったりする。


さて、その神父が葉子の勤める病院に現れる。



神父「すみません。お尋ねしたいのですが。人間ドッグの申し込みはどちらに行けばよろしいでしょうか」
葉子「ご案内いたします」


いきなり他人行儀な会話で始まるこの不思議。
イグナチオくらい大きな教会ならともかく、この神父が司祭を勤めている小教区くらいの大きさで、「一年くらい通っている」求道者(未信者のことをこう言う)の顔を、司祭が覚えていないということはありえない。
外で他人行儀ということは求道者の事情を考えてそうすることもあるかもしれないが、告解室にまで入れるような相手にそこまでするかどうか。普通に知己のようにふるまうと思う。

勘違いしている人は多いと思うが、イグナチオのように大きな教会は別として、普通の規模の小教区では、神父様に「告解お願いします」とまずお願いしてから、二人でコソコソ告解室に入るものなのである。
まさか皆さん、神父はヒマなとき、いつも告解室にいると思われているのだろうか? ちょっと考えれば、そんなことはないとわかると思うのだが……。
もちろん、クリスマス前や四旬節中の告解シーズンには「何時から何時まで、神父様は告解室にいらっしゃいますので、ゆるしの秘跡を受けたい方はどうぞ」ということもある。しかしそういうときはたいてい「行列のできる告解部屋」となっているのである。未信者が並んでいられるような雰囲気ではない。「あらあなたは洗礼をお受けになってからね」と注意されるのが関の山である。

というかもう、未信者を告解室に招き入れてしまうという最大の矛盾が、この混乱を招いている元凶なのである!



神父「わたくし、近所の教会の神父でして」
葉子「そうですか」
神父「どこかでお会いしましたか? お声に聞き覚えがあるような気がして」
葉子「もう、へたなお芝居やめたらどうですか? 最初からわかってたくせに。いつわりは、聖書で禁じられていないんでしたっけ?」
神父「懺悔にきておられた方ですね。大河内葉子さん」


現役神父が「懺悔(ぷ)」なんて言わねーよ! 「告解」か「ゆるしの秘跡」だバーロー。

カットリク!ポイント65――
カットリク!では、神父が自ら「懺悔(ぷ)」って言っちゃう。


さて、神父と葉子女医は、病院の外で対峙する。



神父「最後に教会にいらしたとき、あなたは言いました。ご自分の父親を殺すつもりだと」
葉子「はい」
神父「実行されたのですか? ここは懺悔室ではありませんが、ここでの会話は外に漏らさないと約束します」
葉子「していません、できませんでした。実行する前に、父がみずから死んでしまったので」


だーかーらー、現役神父が「懺悔室(ぷ)」なんて言わねーよバーロー。

まず、「告解室で信者が話した内容を聴罪司祭が外で話すというのはどうか」と思う方もいらっしゃるかと思うが、葉子は未洗礼のノンクリなので実は問題はない。
このあたりの混乱も、未信者の告白を告解室で聞いてしまうという最大の矛盾からきてしまっているのである。
もちろん、洗礼を受けたカトリック信徒が告解室で話したことを、聴罪司祭が外に漏らすことはありえない。

話は進んで、葉子と婚約者が教会に現れ――

葉子「今度あたし、結婚するんです」
大塚「彼女の希望で、こちらで式をあげさせていただきたくて、さっそくお邪魔しました」




このシーンでも「懺悔」「懺悔」とうるさいが、もういちいちツッコむ気力もない。
大塚婚約者を「懺悔室(ぷ)」へ入れた後、神父を挑発する葉子。
神父様には、カトリック教会で結婚式を挙げたいのなら、結婚講座に通ってからにしろと言い返していただきたかったですな。



あーあ。カトリックの祈り方は、基本「合掌」。もちろん、人や状況にもよるが。こういうふうに握りこむ祈り方はあまりしない。「合掌」でも仏教のそれとは違い、左右の親指を重ねて十字架をつくる、独特の合掌なのである。

カットリク!ポイント66――
カットリク!では、祈りのときに手を握りこんじゃう。


さて……。
ちょっとこれは――太字で改めて書いておいたほうがいいよなぁ。

「カトリック教会の告解室で罪の告白をできるのは、洗礼を受けたカトリック信者だけです!」

「カトリック教会の告解室で罪の告白をできるのは、洗礼を受けたカトリック信者だけです!」

「カトリック教会の告解室で罪の告白をできるのは、洗礼を受けたカトリック信者だけです!」


大事なことなので、コピペ厨レベルで何度も書きました。
本当に、このドラマ後、全国のカトリック教会に、悩みを抱えた未信者が告解室で罪の告白をしたいとやってくるケースが増えそうで憂鬱である。

なお、カトリック作家遠藤周作の名誉のために書いておくが、このドラマ、すでに原作からかなり乖離している。遠藤原作にも「ん?」と思うところなきにしもあらずなのだが、ここまでカットリク!の限りを尽くしてはいないので、念のため。

さすがに「新・警視庁捜査一課9係「殺意のロザリオ」」ほどのカットリク!ではないが、現役ガチカトとして、見ていてつらくなりつつありますよ……。
posted by 結城恭介 at 08:00| 新興宗教カットリク!の研究