2017年03月12日

【日記】ヒゲ剃り

本当にコレをしなければいけないというだけで、男を廃業したくなる。ヒゲ剃りである。

いやほんと、女性の皆様に訴えたい。面倒だし、楽しくないんですよ。この作業。
女性も化粧をしなければいけないからお互い様という方もいらっしゃるかもしれないが、化粧っ気のない女性はそれなりに世間で通っても、無精ヒゲの男は逆にそれなりの扱いをされるのが日本である。

FtM GIDの方が男性ホルモンを服用して、薄いヒゲを生やされて男らしさを出しているが、「ヒゲを剃るのがめんどくさい!」と思うメンタルにならなければ、残念ながら、まだまだ「心は男」ではないと思う。

日本でヒゲを剃るのが当たり前になったのは、徳川家綱すなわち江戸幕府が「大髭禁止令」を出してからである。天下太平の世に武将のようなヒゲは合わん、というお触れ書きだ。それが1670年のことだから、以降340余年、日本人はお上に刷り込まれた「まともな男の顔はツルツル」という意識のもとに、ヒゲをそり続けてきたのであった。

今の日本人の宗教意識が「自称無宗教だけどなんちゃって仏教」なのも、徳川260年の間に刷り込まれたものに他ならない。江戸幕府の呪縛は、明治を越え大正を過ぎ、昭和になって敗戦国になり平成の世になっても、日本人の思考のベースとして続いているのである。徳川家康恐るべし。

なお、外国のヒゲ事情は知らない。
アラブ系に出張する男性は、ヒゲを生やしてから行くという話を聞いた。顎がツルツルでは一人前の男としてみられないからだそうだ。

以前「【日記】シェーバーはフィリップスにしとけ」で書いたとおり、電気シェーバーは同社のものを使っているが、入浴時にT字カミソリを使うこともある。かなり古い型番になるが、ジレット社の「センサーエクセル」という二枚刃のものだ。

好景気の頃は、文藝家協会の会員に、販促品がたまに送られてきたものだった。新しく出す辞書とか、時計とか、ペントレイとか、デスクライトとか。もちろんメーカー側としては、雑文などで紹介してほしいという下心があったのだろうが、ありがたい話である。
今で言えば、有名ブロガーにモニターしてもらうような感じだ。

ジレットのこれもそのひとつ。当時の文藝家協会の会員すべてに送ったのだと思う。女性会員へは送ったのかな? そのあたりはわからない。

ジレットとしてはかなりの自信作であったのだろう。実際、使ってみると、それまでのT字カミソリとは剃り味が全然違った。順剃りでかなりサラリとヒゲが剃れる。しかし、逆剃りなしでツルツルというわけにはいかない。そして逆剃りすると、わたしの顔は血だらけになるのであった orz

なので、入浴時に剃るときは、もう逆剃りはしないと決めた。「どうせ伸びるものだから」と諦めて、意固地になって深剃りなどしないほうがいいのだと、男の人生半分を過ぎて、やっと悟ったのである。
夜のうちにある程度剃っておけば、翌朝のフィリップスの時間も短縮になってよい。このあたり、男の流儀は人それぞれである。

さて、この愛用のジレットセンサーエクセル、数年前までは替え刃が近所のホームセンターで買えたのだが、買い置きがなくなったので、先日、足を向けてみると、なんと、もう置いていないのである。
ジレット社の替え刃も、多枚刃のものが主流になってしまい、すでにセンサーエクセルのそれは時代遅れのものになってしまったらしい。
ずっと買えるものだと思っていたものだから、少々ショックであった。

仕方ないので、新しいT字カミソリのホルダーを買おうかと迷ったが、多枚刃のものも製品が多数出ており、どれが良いのかわからない。
そこで、センサーエクセルが出てから年月も経っているし、文明も進んでいるからそう変わらんだろうと、そのホームセンターブランドの使い捨ての二枚刃10本組を買ってみた。

その夜、入浴時に剃ってみると――ああ、なんてこった。センサーエクセルの剃り味とは全然違う。やはり使い捨ては所詮使い捨てということか。

これは本気で多枚刃の新しいホルダーを買わねばなるまいか、と、評判を検索してみるのだが、どれもいまいちピンとしないのが正直なところ。
愛用のセンサーエクセルのホルダーは生産中止になっていることもわかったが、アマゾンではまだ替え刃が購入できる。やるなアマゾン。というわけでポチッとな。

とりあえず、センサーエクセルのホルダーが壊れるか、アマゾンで替え刃が購入できなくなるまで、わたしはこれを使い続けることに決めた。
自分でも、この「慣れた環境にしがみつく」習性に苦笑してしまう。なにか命名したいくらいだ。「結城的日常継続性」とかなんとか。

というわけで、センサーエクセルに新しい替え刃をセットしてヒゲを剃った風呂上がりにこれを書いている。やはりツルッとした顎は気持ちがいい(ええいこの徳川の呪縛が忌まわしい……)。

ヒゲのことを嘆くと、細君は「前みたいに伸ばしちゃえばいいじゃない」と簡単に言ってくれる。
そういえば、ヒゲにもだいぶ白いものが混じるようになってきた。そうだね。白いヒゲを蓄えられるくらいにまで増えてきたら、いっそのこと伸ばしてしまうという手もあるかもしれない。

白髪というのは不思議なもので、若い方はご存知ないと思うが――と、これはさすがに話が飛びすぎだ、またの機会にしよう。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記