2017年03月20日

【日記】加水分解

昔のデジタルガジェットにはなかったことなのだが、この十年くらい「ラバー塗装」で高級感を装った製品の表面がベトベトになって使えなくなる、という体験を何度かしている。

最初に遭遇したのは、ポータブルMP3プレイヤーでだった。細君とおそろいで買ったのだが、わたしの黒いラバー塗装してある製品の方が、数年後、ベトベトするようになり、ホコリはつくし指紋が残るくらいネトネトするしで、「こりゃあ持ち運べない」と捨てざるを得なかったのである。
ちなみに、青くプラスチッキーな表面だった細君の同じプレイヤーは大丈夫だった。

調べると、これは「加水分解」という化学変化で、高級感を出そうとラバー塗装した製品に起こる現象らしい。

二回目の被害は有線マウス。買って一年くらいだろうか。なんかベトベトしだしたなあ、と思ったら、あっという間にポータブルMP3プレイヤーと同じネトネト状態に。
マウスは消耗品だが、吝嗇家のわたしにとって、一年で使えなくなるのは悔しい。が、捨てざるを得なかった。

我が家は決して高湿度ということはなく、むしろ四季を通して乾燥しすぎているくらいである。加水分解が進む好条件が揃っているわけではないはずだ。
ただ、特に潔癖症というわけではないのだが、MP3プレイヤーもマウスも、定期的にアルコール綿で拭いて汚れを取っていた。どうやらそれが加水分解を早く進行させた(というか、ラバー塗装を溶かした)原因のひとつだったらしい。

三回目もマウス。MicrosoftのBluetoothのやつ。これは側面だけがラバー塗装だったので、そこだけがベトベトになった。
お気に入りで、すぐに捨てるのが惜しかったので、分解して本体からケースを外し、アルコールや中性洗剤でベトベトをこそぎ落として再組み立てたら、無事、また使えるようになった。今でも現役である。

四回目はスマホカバー。買ったときから、「あ、これはいつかベトベトくるな」というラバー塗装だったが、数年後、やはりホコリを吸着しだした。
これもアルコールと中性洗剤でネトネトをこそぎ落とそうとしたのだが、面積が広くて面倒くさくなり、耐水ペーパーでゴシゴシ削ったら、本来黒かった下地の塗装まで剥げて一部透明になってしまった。やってしまったときは思わず草が生えたw。が、これはこれで使い込んだ味がいいと思って使用続行。

わたしは買わなかったが、ポメラのDM10の筐体も加水分解でひどいことになったと聞く。あのベトベトは、気づいたときは本当にショックで気分が凹むものだ。ベトベトが原因でDM10の使用を諦めたというユーザーの皆様のお気持ち、本当によくわかる。

こんなことで使えなくなる製品を出すくらいなら、プラスチッキーな製品の方が七倍も良い。
どうかメーカーのデザイナーの皆様、これだけネットで「ラバー塗装は勘弁」というユーザーからの声が上がっているのだから、もうラバー塗装だけはやめていただきたい。
繰り返すが、プラスチッキーな質感の方が、いつかベトベトになるラバー塗装より七の七十倍も良い。

少なくとも、今、わたしがなにか新しいデジタルガジェットを購入するときは「ラバー塗装でない」ことがひとつの条件となっている。

と、こんなことを思い出して書いたのは――ふと書棚から取り出したハードカバーの「モルモン書」の装丁が、なんと、ちょっとベタついてホコリ吸着しつつあることに気づいたからである。「末日聖徒イエス・キリスト教会」なにやってんの!? 装丁をラバー塗装になんてしなくていいんだよ!!


(すごくネットリ。ホコリが吸着しているのがおわかりいただけるだろうか。触るのに躊躇してしまう。)

書籍の装丁が加水分解でネットリベッチョリしだした体験は初めてである。
満寿屋の原稿用紙でカバーしておくか、と思っているが、それ自体がベッチョリ剥がれなくなってしまいそうで憂鬱だ。

あぁ主よ、この世からラバー塗装などというものをなくしてください。と、射祷して筆を置く。

今までのことは仕方ないとして、これから先、製品にラバー塗装を指定したデザイナーは、七の七十万倍赦さないんだからねっ。ツンデレじゃないよ、もうっ。

追記:もしこれをお読みのモルモン教徒の方で、布教のために「新しいのを送りましょうか?」と心を傷めてくださった方がいたら恐縮。もう一冊、ソフトカバーのを持っているので大丈夫です。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記