2017年04月17日

【日記】ネコにアジの干物を与えてはいけない

乳児にハチミツを与えてはいけない、という知識を知らず、生後五ヶ月の乳児にハチミツを食べさせてしまい、その子が乳児ボツリヌス症で他界してしまったという、痛ましい事件が起こってしまった。

それに関連し、原作:雁屋哲先生、画:花咲アキラ先生の「美味しんぼ」で、過去に離乳食にハチミツを与えるという話があったということが、再び話題になっている。

これは第469話「はじめての卵」という話だそうだが、単行本には収録されていない。
単行本派のわたしは、ネットで拾える「お詫び」の画像しか見ることができないのが残念だが、間違った知識が広まるよりは良いのだろう。

ところで、「美味しんぼ」は、ずいぶん以前の巻から、こういう「食問題」以外に無知な点を露呈することがあった。
他に触れている方がいらっしゃらないようなので、注意喚起のため記事にしておく。
29巻の「天日の贈り物」という話である。内容は下記の通り。

 小泉局長の元気がない。原因は愛猫の食欲がなくなったこと。前の飼い主(ブリーダー)に聞いてみたところアジの干物≠ェ好物だという。局長はさっそくアジの干物を買ってきて焼いて与えてみたが、愛猫は食べない。
 主人公・山岡は、そのアジの干物が天日干し≠ナはないことを看破し、局長にアジの干物の製造の現実を教える。
 天日干しのアジの干物を与えると、愛猫は喜んで食べるようになった。大団円。




局長モノローグ「キャットフード、猫まんま、ナマリブシ、牛乳、チーズ、鶏のささみ……。あれこれやってもぜんぜん食べないんだ……。そこで、仔猫を譲ってくれたもとの飼主に電話をしたところ……」
局長「え! アジの干物!? この子が一番すきなのはアジの干物ですか!? 助かりましたどうもありがとうございます!」




山岡「前の飼主が買っていた魚屋の干物は自家製なんだそうです。」
局長「だから、ほかの魚屋やスーパーで買った干物をこの子は食べなかったんだ。」


最初に結論を書いておく。「ネコにアジの干物を常食させてはいけない」。

まず、塩分濃度が高すぎるので、猫にとって一番弱い臓器である腎臓にダメージがたまる。また不飽和脂肪酸が多いので、「黄色脂肪症」(イエローファット、汎脂肪組織炎とも)を起こす可能性がある。
ネコは魚が好物、というのは、メディアによって刷り込まれた誤った知識である。青身魚はネコには禁忌なのだ。

一番おかしいのは「愛猫家」であるこの小泉局長はもちろん、「前の飼い主(ブリーダー)」までもが、このことを知らなかったばかりか、進んで与えていたという、このあらすじの設定である。こんなことはあり得ない。むしろ、緩やかな虐待である。

他にも、局長が与えていたという「猫まんま」や「ナマリブシ」も薦められないし、「牛乳」も人間用のものを与えてはいけない。

この話が載っている「美味しんぼ」29巻は1991年発行のものなので、今のように手軽にネット検索で情報が得られる時代ではなかったが、猫を飼っていて、その健康に関心のある家庭ならば、このことにすぐ気づいたと思う。少なくともわたしはすぐ気がついた。
なので、ネコの飼育本の類には触れられていたということだろう。原作者や編集者が、労を厭わず、少し調べればわかることだったはずだ。

が、今のようにすぐネットで過ちを指摘できる時代でもなかったし、一介のモノカキ風情が、天下の小学館の「美味しんぼ」様にぉヵしぃと言えるような空気ではなかった(うーん、日本教徒)。第一、そんな指摘記事を載せてくれるメディアもなかったろう。

というわけで「ネコにアジの干物を与えてはいけない」と、いまさらながらこうやってブログで指摘できる今はいい時代である。

「乳児にハチミツを与えてはいけない」というのも、「美味しんぼ」がやらかす前から常識だと思っていたが、2017年の今になっても、まだ乳児にハチミツを与えてしまう家庭があるということに、少々、驚きを隠せない。

同じように、ネコに青身魚、しょっぱい干物はダメ! である。よろしく。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記