2017年04月25日

【回想録】ライフ&デスの思い出

2017/02/24の記事では、原題「【回想録】アダルトPCゲームの思い出」としてシリーズ化しようと思っていたが、考えてみるとアダルトゲームに限定することもなく、また、PCゲームという囲いに入れてしまう必要もないことに気づいたので「ゲーム」というタグをつくり、それでシリーズ化することにした。
02/24の記事も「【回想録】DESIREの思い出」に変更している。

さて、今回は「ライフ&デス」。
映画「ドクター・ストレンジ」を見たら、ふと、ああこのゲームにハマっていた時期があったなあ、と懐かしく思い出したもので一筆。
これはなんと、手術のシミュレーションゲームである。最初のレベルで虫垂炎の手術ができたことは確実なのだが、それ以降はよく覚えていない。

わたしが最初に遊んだのはX68000版だった。パッケージソフトとしては発売されず、ソフトベンダーTAKERUという、ソフトをその場でフロッピーにコピーして売るソフト自動販売機で買ったはず。

まず最初に診察である。患者がいろいろ症状を訴えてくるので、手術したいはやる心を抑えて、虫垂炎かただの腹痛か風邪かなどを見分けなくてはならない。


(楳図かずお「漂流教室」9巻より引用)

虫垂炎と確定したら、ヤッター、小躍りしながら手術室へGoである。
ちなみに、術式マニュアルなどはまったくない。いきなり手術の現場に執刀医として放り込まれる。シミュレーションゲームといいながら、むしろアドベンチャー要素の方がたっぷりである。

さて、最初は患者の皮膚の消毒だ。消毒液をつけた脱脂綿を取り、露出している部分に塗り塗りする。これが……なんとも面倒くさいのである。皮膚全面に塗らないといけないのだが、ペイントソフトのバケツのように一気には塗れない。丹念に辛抱強く塗らないといけないのである。
わたしはX68k Compactで遊んでいたと思うので、CPUは無印の10MHzよりちょっと速い16MHzだったのだが、それでもゲーム内ではマウスの追従性が悪く、脱脂綿を塗り塗りするのがなんとも苦痛だった。

塗り終わったら、患者に麻酔を入れ、待望のメスを持って斜めにサーッと引き裂く。マウスの追従性が悪いX68kではかぎ裂きのようになってしまうことが多く、最初の難関だった。
ここから先は、本当にシミュレーションというよりアドベンチャーである。なにをやっていいかよくわからないまま、止血したり、また切ったり、固定したり、切除したりを、手探りで進めていかなければならない。
そんな無茶ぶりなわけで、成功するわけがないのである。


(楳図かずお「漂流教室」9巻より引用)

手術に失敗すると、眉のない外科部長が登場して、いろいろコメントをくれる。それで前回の失敗したところがわかるので、次の犠牲者^h^h^h患者を待って、再び手術に臨む。

ここで面倒なのが、前述の皮膚の消毒塗り塗りである。手術自体に慣れてくると、手術時間の半分はこの塗り塗りをしている感じになって嫌になってくる。
そこでわたしは、手術失敗なのは承知の上で、塗り塗りを省略することにした(ひでぇ)。当然、消毒をしていないので、最後の縫合まで終えても、外科部長に「感染症が云々」と怒られるわけだが、とりあえず、手術自体の手探り状態は早く進めることができる。

パソコン通信で仲間にゲームの進行状況を報告したら、「結城さんのはライフ&デス≠ナはなくデス&デス≠ナすね」とレスされたのも懐かしい思い出だ。

こんな具合で、犠牲者^h^h^h患者が百人を過ぎた頃、どうやら手術自体に自信が持ててきたので、塗り塗りを丹念にやって手術を開始。初めて虫垂切除術に成功した。外科部長が褒めてくれたかどうかは覚えていない。なにしろいつも怒られていた思い出しかない。

ちなみに、麻酔をせずにメスでサーッと切ることもできる。患者は「ギャーッ」と悲鳴をあげ、即、手術終了。外科部長は「わたしはあなたの無能さに激怒しています」と般若のような顔で言う。
あと、手術器具を腹腔部に入れたまま縫合したり、手術の途中で麻酔を切ったり、違うところを縫合したりもできる。いずれも外科部長は激怒なさるのであった。


(楳図かずお「漂流教室」9巻より引用)

わたしはよっぽどこのゲームが気に入ったのか、PC386でも動くPC98版も買って遊んだ覚えがある。そちらは演算速度が速かったため、塗り塗りも最初のメスの一刀も楽々だった。
もう「手術なら俺にまかせろ(バリバリ)」「やめて」状態である。当時もし、通りがかりの人が虫垂炎で倒れたりしたら、そこで格好よく「(無免許)外科医です」とブラックジャックのように言って、颯爽と手術ができただろうと思われる(わけがない)。

虫垂炎と言えば楳図かずお先生の「漂流教室」で、子ども同士が手術をするシーンがトラウマになっていたことを、今、思い出した(ので、この記事にも引用してみた)。このトラウマがあったからこそ、「ライフ&デス」が妙に気に入ってしまったのかも。
今なら大丈夫。俺が手術してあげる……って、もう全部忘れてしまった! 覚えているのは、塗り塗りを省略すれば楽なことと、外科部長の激怒顔だけ。

その後しばらく、こういうゲームはあまり出なかったような記憶がある。あまりに先進的過ぎたのであろうか。
今はコンシューマ機やPCでも、もっと凝った手術シミュレーションゲームがあると聞く。
どうせゲームなのだから、できれば睾丸摘出とか脳移植とかができるものがあれば良いと思ったら、あらら、そういうのももう出ているらしい。ただ、ジャンルはバカゲー扱いらしいが。

その点、手術シミュレーションゲームの始祖であるこの「ライフ&デス」は、まだまっとうな手術シミュレータであった。

ああ、名前すらあったのかどうか覚えていない外科部長様。あなたの激怒する眉のないお顔はいまでも思い浮かべることができます。お懐かしゅうございます。いつかまたお会いできる日がくることを夢見ておりま……えっ、もうおまえの顔なんか見たくないですって!? そうですか。そうですよね。

当時わたしは手術中、「ドクター・ストレンジ」のようにノリノリで歌を歌っていたのであった。
「♪外科医になったら、外科医になったら、犠牲者百人できるかな」
とほ。
タグ:ゲーム
posted by 結城恭介 at 08:00| 回想録