2017年05月21日

【日記】ご意見番などと言われまいぞ

お、なんじゃ? わしに聞きたいことがあると?
メールにWSFの拡張子がついたファイルがあるが動かしていいかって?

ばっかもーん。そんなもん怪しいファイルにきまっとろうが。ダメじゃダメじゃ。
いやしかし、日本語ファイル名でWSFのトロイが添付される時代になったんじゃなあ。
わしも歳をとったもんじゃよ。

おまえさんもスマホばっかりいじってないで、PCをちったぁ使えるようにしといたほうがいいぞ。
こら、こらこらこら、聞くだけ聞いて帰る奴があるか。せっかくきたんだからわしの話に最後までつきあえ。
WSFと言えばWSHと関係があるわけじゃが、WSHにはのう、思い出があるんじゃ。

むかーしむかし、まだパソコン通信が全盛期だった頃のお話じゃ。

昔とは言っても、もう、Windows95は出ておった。当時はフリーソフトウェアが、それはたくさん出ていたものじゃ。たいていの作業はフリーソフトで間に合ったし、売っているソフトより、フリーのソフトの方が高機能なことが珍しくない、そんな古き良き時代だったのう。

なにしろその頃は、まだパソコンを使える人口自体が少なかった。パソコン関係の雑誌も多く出ていたし、各社、フリーソフトをCD-ROMに納めた付録をつけていたものじゃ。

え、そんなもん、ネットで落とせばいいだろうって?
そうさのう。今の子はそう思うんじゃなあ。

昔はな――昔のパソコン通信は、パソコン通信にログインするだけで、一分いくらでお金がかかったんじゃ。しかもそれにプラスして、電話代もかかるのじゃよ。テレホーダイ? ないない そんなもん。
だから、ちょっと大きなソフトウェアは、雑誌の付録のCD-ROMについていると、とてもありがたかったんじゃ。

わしもその頃は、現役のプログラマでな。いや今だってそうじゃが、当時は脂が乗っていたのう。X68kやPC9801、Windowsで動くフリーソフトを作っては、雑誌や本に掲載されていたもんじゃ。
中にはフォーラムのSYSOPが直々に「すごいソフトが登場しました」とおっしゃってくれたソフトもあるのじゃぞい。ふふん。

さてそんなご時勢の中、パソコン通信界には「フリーソフトのご意見番」と呼ばれるご老人がいたのじゃ。
いや、本人がそう言っていたのかはどうかは知らんよ。まわりが勝手に担ぎ上げていたのかも知れんな。まあ、本人が言っていたら、チョト痛い人間じゃわなあ。わしは知らんがの。
「フリーソフトのご意見番」とは言われていても、そのご意見番殿はPC-9801をメインフィールドにしておられたようで、わしとはあまり、というか、まず関わりがなかったのう。幸か不幸か、わしが作ったソフトに「ご意見」されることはなかったしな。

ある日のことじゃ、わしがある情報を求めてフォーラムログを読んでいると、あるIDの人が、WSHのことを知らなくて、それで何かがうまくいかず、文句を垂れている書き込みがあったんじゃ。

ん? そうか、おぬしもWSHを知らんか。まあ今の子は知らなくても当然かもしれんのう。
これはな、Windows Scripting Hostと言って、まあ、WindowsにおけるDOSのバッチファイルみたいなもん、じゃな。
わしはWindows Scripting Hostで覚えたが、少し経ってからはingが抜けて、Windows Script Hostと呼ばれるようになったようじゃ。が、わしは今でもWindows Scripting Hostと言っちまうのう。
なんにせよ、今の時代にはほとんど使われることがない、時代の徒花みたいな存在じゃ。

さて、なんの話だったかのう。ばあさんや、晩飯はまだかいな? え? さっき食べた? どうもいかんのう。

ああそうじゃ。でな、WSHというとわしが思い出すのは、あるIDの人がWSHのことを知らなくて文句を垂れている書き込みが……え、さっきも言った? そうじゃっけか?

でなあ、わしは驚いたんじゃよ。なぜって、ほかの人は気づかなかったかもしれんが、そのIDの持ち主は、例の「フリーソフトのご意見番」じゃったんじゃ。よりにもよって、「ご意見番」と称されるような人間が、当時、WSHを知らなかっただなんて、正直、驚くというより、内心、けいべ、ん? なんじゃばあさん、晩飯か? おぉ、甘いものか。よしよし。うまうま。やはり虎屋の羊羹は格別じゃな。

なんの話じゃったっけか。ああそうじゃ。わしが言いたいのはな、自称はもちろんのこと、他人に呼ばれるにしろ「ご意見番」なんて言われるもんにはなっちゃいけねぇぜってことさね。
見てる人間は見てるんじゃよ。その「ご意見番」の中身にゃポーッカリと穴が空いていて、アンコの入ってないマンジュウみたいなできそこないになってるってことをさね。

だって、本当に中身があるなら「ご意見番」になんざならねぇもんじゃからなあ。いちいち人が丹精こめて作ったもんに「ご意見」なんてしないで、自分で満足いくものをつくりゃいい。それができねぇから「ご意見番」になるんじゃねえか。
じゃなけりゃ、いろいろうるせぇから「ご意見番」と名前をつけて隔離しちまおうっていう周りの魂胆もあるんじゃろうなあ。

まあおまえさんも若いからまだわからんと思うが、「ご意見番」の意見なんぞまともに取り合うこたぁねえ、右から左へ聞き流していればいいってことさね。
それとおまえさん自身が「ご意見番」を名乗りたくなったり、人にそう呼ばれるようになったら気をつけろ、ってことじゃなあ。

ん? ばあさんや、なんじゃ? ああそうじゃな。一応、付け足しておくか。

「この記事は耄碌して溶けたわしの脳が書いたものであり、実在の人物、団体、事件などには一切関係ありません」

これでいいかのう?
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記