2017年05月31日

【日記】(ピー)とJASRACは使いよう

JASRACと言えば、ネットユーザーなら知らぬ者のない、泣く子も黙る著作権管理団体である。
正直、この団体の姿勢は、音楽を愛する一般ユーザー側にも、当の音楽著作権保持者であるミュージシャン側にも向いておらず、ただひたすら銭ゲバのように「自らの団体の維持のために演奏者から金を取り続ける行為ばかりしている」という悪評から、通称「カスラック」などと呼ばれているのはご存知の通り。
そのうち、鼻歌からすら著作権料を取るようになるのではなどと揶揄されている始末だ。


(ヘンなロゴの憎いやつ)

さて、そんなJASRAC。別に肩を持つわけではないが、「使いようによっては便利だな」と思った一件があったのである。

以前、100人程度が集まると予想されたあるイベントがあり、そのとき、皆で合唱する歌を、きちんと著作権関係をクリアして歌おうではないか、と、チームリーダーが言い出したのである。
特に反対する理由もなかったので、会議では「それでいきましょう」という結論になり、どういうわけか、そのあたりに詳しそうな結城さんに著作権関係クリアの作業をお願いしますよ、という流れになったのだった。

ここでJASRACの登場である。こちらの組織名をJASRACに登録し、歌いたい曲がJASRAC登録曲ならば、これこれこの場合、いくらくらい払えば良い、というものが、ウェブサイトには明確に掲示されていた。
このあたり、評判と違って、けっこう明朗会計である。
金銭が後払いだったのか、前払いだったのかは覚えていないが、とにかく、提示されるお金を支払ってしまえば、その曲を歌う著作権関係はクリアになってしまうのだから楽だ。

問題はむしろ――JASRAC非登録曲であった。「この曲を歌いたい」という合唱の選曲担当者から受け取った一覧の中に、数曲、JASRAC非登録曲があった。
この場合、作詞者と作曲者に別々に話を通して、それぞれ、合唱するという了解を得なければならない。もちろん、著作権料が必要ならそれをお支払いする用意があるともお伝えする。

で、これが――見つからないのよ! はああー(ため息)。

作曲者、作詞者に接触できないのである。日本語の曲でも、今はどこにいるかすらわからない方もいらっしゃる。ましてや、海外の作詞者など、まず、どこの国の方なのか、その方にどういった伝手でアクセスして話を通せばいいものやら、初手からもう頭を抱えてしまった。
ネット時代で、いくらでもメールで海外とやりとりできる時代だというのに、検索しても検索しても、その作詞者の情報のきっかけすら見つけることができない。

そうこうしているうちに、イベント期日は迫ってきてしまう。ロードマップでは、もう著作権関係はクリアしていなければいけないのだが、とても間に合いそうにない。

仕方ないので、チームリーダーと選曲担当者にことの次第を伝え、結局、JASRAC非登録曲は歌わない、ということで落ち着いた。

この一件で、わたしは「(ピー)とJASRACは使いようだなぁ」と、痛感したのであった。

JASRACのサイトを眺めていると「のれんに歌詞を使う場合はいくら」「扇子に使う場合はいくら」などとも決められている。
著作権者を探して直接交渉し、いくらいくら払うと決めて契約書を交わして――などという手間をブッチして、JASRACを通せば、そのあたりは全部クリアできてしまう、というのは、確かに楽だ。もちろん、権利者に黙って歌詞、曲を利用し、後ろめたい気持ちを抱かなくていい、という精神的安定感もある。

わたし個人は、著作権についてはもっとラジカルな思想をもっているのだが、あまりに過激過ぎると思われるのでここでは書かない。少なくとも、世界の著作物のすべては神の啓発により与えられたものであると信じている。
現実的な落としどころとしては、著作者が他界したら即フリーでもいいと思っているくらいなのだが、実際には死後、遺族が著作権保持者となり、50年それを維持できる。しかも、その期間を伸ばす方向で進んでいるのがなんともである。

なお、日本の現行法では、著作者が法人の場合、公表後50年で著作権切れとなる。こちらの方がよほど現実的ではなかろうか。文語訳、口語訳聖書は、すでに日本聖書協会の著作権が切れているので、誰でも自由に配布できる使える聖書となっている。

というわけで、忌み嫌われるJASRACも、まあ時と場合によっては便利に使える組織なんだよ、というお話。
でも嫌いだけどね、JASRAC。


(あるクリスチャン関係のCDに挟み込まれていたリーフレット。クリックで拡大できます。これはJASRACではないが、さすがにここまでやられると、「引く!」。正直、逆効果だと思う。まるで詩篇にも【指揮者によって。「はるかな沈黙の鳩」に合わせて。ダビデの詩。ミクタム。ダビデがガトでペリシテ人に捕えられたとき。著作権料は支払いましょう】と書きそうな勢いである)
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記