2017年07月17日

【日記】ビニテじゃ無理!

 四半世紀前くらいに、書斎を改築したときのこと。
 そのころの電話線は、当然、二本のメタル回線だった。
 改築中、様子を見に行って、むき出しになった床下をふと見ると、そこに引かれた電話線が、なんとブッツリと切断され、ビニテで修復されている。
 大工さんが工事の邪魔なので一度切って、つないだという。
 なんとまあ、呆れたが(当時、電話回線は宅内でも買い取りしなければ電電公社に所有権があり、本当は勝手に切ったりつないだりはできなかった)、それでもつながってしまうのが、メタル回線二本で着呼、発呼、通話まですべてできてしまう「電話」のたくましいところだった。
 実際、書斎の改築が終わるまで、このビニテで修復された電話線は、ごく普通に用を足してくれたのである。

 大工さんの鷹揚さというか、いい加減さには恐れ入ったが、きっとどこへ行ってもそんな感じでやっているんだろうなぁ、と、内心、思ったものだった。

 その改築工事のときは、工事後、電話線をFAX線と一緒に宅内パイプの中へ引き直したので、この「ビニテで修復」した電話線は未使用となった。きっと未だ、床下を這っているはずである。

 さて、時代は移って、21世紀のこと。
 ある日、お得意様の邸宅から、「ネットがつながらない」とご相談をいただいた。
 あそこは確か光回線だったはずだなあ、と思いつつ、とにかく、行ってみなければ話は始まらない。クルマでご邸宅へ。いつもながら見事に手入れされているお庭の植木に感心しながら、お宅にお邪魔し、さっそくメインPCがあるリビングへと。

 デスクトップPCを立ち上げる。確かにネットにつながっていない。が、ルータには入れる。PCの問題ではなさそうだ。
 ルータがネットにつながっていないとなると、プロバイダに登録しているIDやパスワードを誤って変更してしまったことなどを疑うが、話を聞いてみると、なにもいじってはいないという。
「昨日の夕方から、突然、つながらなくなっちゃったんですよ」とは、もうお年を召した旦那様の弁。
 ルータからONUへのラインはつながっている。ん? んんん? ONUがオンラインになっていない。なんだこれは!?

 ONUから出ている光ファイバーはエアコンのダストから外に出ている。
 ひょっとして――と閃き、一言声をおかけしてから邸外へ出て、電柱へと伸びている光ファイバーのラインを見上げると、一直線に伸びていて、特に問題は……ん? なんだあれ!

 なんと、光ファイバーが途中で、ビニテでつながれている!

 原因はこれか! 昨日、植木の職人が入って剪定をしたとき、光ファイバーを誤って切ってしまったのだ。そして、なんということか、「ビニテで修復」していたのである。メタル時代の電話線のように。

 あまりのことに、思わず、笑ってしまった。この光ファイバーを切った植木の職人さんも、昔、ウチの電話線を切った大工さんと同じ感覚でしでかしてくれちゃったのである。
 違うのはメタルラインと違って、光ファイバーはビニテでつなぐのは無理、ということ。
 居間に戻って、これはわたしの手に負えない、NTTに頼む事案である、と話すと、よくわからないからそこまでやってほしい、と懇願されたので、仕方なくNTTへ連絡。光ファイバー補修工事の立ち会いまで見届け、外が暗くなるころにはネットは回復していた。
 NTTの工事が当日に間に合い、迅速に行ってくれたのはありがたかった。


(光ファイバーの接続にはそれなりの治具が必要です)

 それにしても、切れた光ファイバーがビニテでつながれているのを見たときは、本当に吹き出してしまった。
 ご主人には、剪定の職人さんに気をつけるよう一言お願いします、と伝え、某チェーン店なら数万円取るだろうところを、その消費税くらいのお代をいただいて、今日のお仕事、終了。

 ネットがいきなりつながらなくなった、というご相談は少なくないが、以降、こんなケースもある、という話を、笑い話のひとつとしてするようにしている。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記