2017年08月07日

【日記】アルチンボルド展

 夏の強い日差しがきつい八月の最中、細君と上野の国立西洋美術館へ、日本初公開という「アルチンボルド展」を観に行ってきた。



 チケット売り場は多少混雑していたが、まだ会期に余裕があるせいか、中は普通の混み具合であった。

 アルチンボルドというと日本人にはこの「寄せ絵」が有名である。



 今回は連作「四季」である「春」「夏」「秋」「冬」。連作「四大元素」である「大地」「水」「火」「大気」。描いた職業に素材を組み込んだ「法律家」「司書」「ソムリエ」といった油彩が揃って展示されている。
 ほかにも、くるりとひっくり返すと素材が顔に変わるだまし絵「コック/肉」「庭師/野菜」なども。

 はっきり言えば、アルチンボルドはこういった「寄せ絵」と「だまし絵」のみで名を残した画家だろう。わたしも正直、そういうものばかり描いている画家だと思っていた。
 が、実際は――と続けばいいのだが、展示されているアルチンボルド本人の手によるものは、あとは素描などで、ほかの展示品は「アルチンボルドに影響された画家の似たような寄せ絵」が多かった。

 解説によると本人は多才な人で、宗教画なども描いたらしい。クリスチャンとしては、そういったものも、模造品でもいいから展示して欲しかったと思う。また、チェンバロの発明も手がけたというが、これは初耳であった。

 奇妙な寄せ絵で有名になってしまったのは本人の望むところかどうかはわからないが、多数の模倣者を呼んだあたり、当時から評価は高かったのだろう。
 しかしやはり、その中でも元祖の強み、アルチンボルドのそれは群を抜いている。追従者の絵はどこか精密、精緻な感じに欠ける。

 その分、わたしは平気だが、「トライポフォビア」(ボツボツがダメな人。蓮乳とか)な方は正視するのがつらいかもしれない。けっこう細かいボツボツ、ザワザワ、ツブツブが多い絵である。

 実はウチの「とび森」の博物館にも、アルチンボルドの「夏」が展示してある。




(キツネの画商には何度もだまされました……笑)

 多才なアルチンボルドも、自分の死後数百年を経て、自作が手のひらに乗るデジタルなゲーム機の中で紹介されているとは思うまい。
 いや、天国で自作の絵が多くの人を驚かせていることを、楽しんでいるかもしれない。

 デジタルと言えば、入場直後に体験できる「アルチンボルドメーカー」が面白い。装置の前に立ち、カメラで撮られた自画像が、自動的に野菜や木々で作られた「アルチンボルド作のような自画像」になるのである。それも立体的で、正面から横顔までクルリと回る。
 ただ列に並んで眺めていると、ある程度は法則性があるなあというのがわかってしまうきらいはある。「デジタルAI福笑い」である。

 できた「アルチン画」は、自前のカメラで撮影自由である。
 わたしと細君も列に並んで、それぞれ自分のを一枚パチリ。
 わたしのはこんな感じだ。



 アルチンボルドというより、ターミネーターか、キカイダーに出てくる敵役のような顔になってしまったが、けっこう気に入っている。

「アルチンボルド展」は9月24日までである。ウェブサイトはこちら。夏休みの自由課題に、アルチン画の自画像はいかがだろう。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記