2017年09月06日

【書評】青春しょんぼりクラブ

 アサダニッキ「青春しょんぼりクラブ」1〜15巻(完結)

「【書評】ナビガトリア」でもご紹介したが、今一番、脂がのっているマンガ家、アサダニッキ先生の「青春しょんぼりクラブ」が、2011年から足掛け6年で完結(単行本化)したので、そのレビューを。

 とはいえ、先に嬉しいお知らせが!



 とのことなので、まだまだお話は終わらない。きっと、依子や香菜の恋の結末や、みかんの缶詰が好きなアニ研部長にも彼女ができるとみた!?(わくわく)

 あらすじ――
 好きになった相手が、かならず他の女の子とくっついてしまう「当て馬体質」の」スタンドを持つ少女、桃里にま。彼女に目をつけたのが、「青年心理研究会」というクラブを主宰する、学園長の娘、三刀屋依子だった。
 同研究会には、麗しい女装のスタンドを持つ先輩、隠岐島武、2.5次元の相手に恋が可能なスタンドを持つ簸川諒という二名の能力者が控えており、にまは自分の意志の好むと好まざるに関わらず、恋愛の闘いの中へしょんぼりと巻き込まれていく。
 戦闘の中で成長し、また、隠岐島に惹かれていくにま。しかし、自分が好きになるという事は、また誰かの当て馬になり、隠岐島にフラれるということ。自らの心を抑えて、日々の闘いの中へとしょんぼりしていく彼女だったが――。


 こんな話だったっけ? いくら映画「ジョジョの奇妙な冒険・ダイヤモンドは砕けない・第一章」が公開中とはいえふざけすぎだ。アサダニッキ先生ごめんなさい。
 いやしかし、本作は傑作ラブコメストーリーを十二分に楽しめるマンガなのである。あらすじをここでわたしが書いてしまうくらいなら、読者諸兄姉、ぜひとも全巻、通してお読みくださいな。

 わたしは正直、テコイレで順繰りに新キャラが出てくる、いまどきのマンガの手法には飽き飽きしているのだが、アサダ先生のストーリーテリングはそれが実に自然で無理がない。いつの間にか新しいキャラクターが登場していて、気づくと読みやめられないのである。

 そして二転三転のストーリーはもちろん、とにかく、にまちゃんをはじめ、登場人物が実に生き生きとしている。次々と出てくるキャラクター全員で15巻を駆け抜けた、という感じ。


(お気に入りのトビラ絵を一枚。こんな感じで駆け抜ける!)

 キャラ一人ひとりに焦点を当てていくときりがないので、ヒロインにまちゃんの恋を追いつつ、好きなシーンを抜き出してみたり。

 そうそう、書き忘れていたが「青年心理研究会」とは――


(こんなクラブでございます)

 改めて1巻から読み直してみると、にまちゃんはずいぶん早い時期から隠岐島先輩のことを好きになっていたのだなぁ、とびっくり。なにしろ全73話のうち2話目(2nd STEP)で自覚しているのだから。読後の印象では、自覚するのはもっと後だったと感じていた。


(せつないよね)

 いろいろあって、確実に自分の「好き」に気づいてしまったのが20話目。翌21話で玉砕覚悟で、隠岐島先輩に告白。それまで失恋ばかりで、にまちゃんが告白までたどりついたのは、実はこれが生まれて初めて。けれど結果は――


(しょんぼり……)

 とはいえ「当て馬」スタンド未発動! 隠岐島先輩との微妙な仲は進展中へ。


(ふったくせに独占欲も見せる先輩に、こんなにまちゃんも可愛い)


(簸川先輩ねらいだったさおりんがなぜかライバルに!?。このシーンのさおりんの捨て台詞が好き♪「沿道で旗ふって見守ってな!」)

 この後も修学旅行やら珠算部廃部騒動やら、ラブコメの王道を突っ走って、一分に一度はニマニマ、クスリ、プッとしてしまう。にしても、隠岐島先輩を想うにまちゃんのストレートなけなげぶりが愛おしい。
 そしていつの間にか形勢逆転――。





 58話のここから先の10ページ。本作屈指の名シーンである。しかも衆人環視の中、ステージ上で愛の告白(委員長談)。よかったね、にまちゃん。
 そしてその後の不吉な予感の連続に大爆笑。

 全編通してアニ研部長がおいしいところをかっさらっているのもいい。
 まさか14巻のヒキのハリウッドオファーが15巻でもこんなに長く続くとは思わなかったが、生徒会介入の接近禁止令からテスト騒動を経て、最終的には――



 よかった、よかったよー。ラストはしょんぼりどころか満面の笑顔でハッピーエンド♥

 ところで、本作「青春しょんぼりクラブ」は、出る巻出る巻、表紙の雰囲気が全然違うのである。統一感がなくて、それがまた不思議といい感じ。
 逆に毎巻、あらすじとキャラクター紹介ページを隔てて、中トビラと目次のところで、にまちゃんが誰かと手を握っているという統一感。


(これは11巻。ページをまたいでいるのがおわかりいただけるでしょうか)

 それが14巻でにまちゃんの背中姿だけになって、15巻は進級したからか、はたまた全員集合写真を撮るためか、桜の花びらだけになっているという凝りよう。

 ベストの表紙は、やっぱり最終巻のこれかなぁ。



 右上……(笑) 最後まで不憫なアニ研部長に、これからの番外編「青春しょんぼりクラブ+」でも名前がつきませんようにと祈って(鬼)、今回、ミーハーで引用成分多めな記事の筆を置こう。
posted by 結城恭介 at 08:00| 書評・映画評