2017年09月12日

【日記】「ウッダーソンの法則」のホントのトコロ

「【書評】きみはペット」の最後に、ここ最近、ネットでよく見かける婚活関係のグラフとして「ウッダーソンの法則」の話をした。
 そこではこんなことを書いている。

それによると、女性はほぼすべての年齢で、だいたい同世代の男性を魅力的と思うが、男性はほぼすべての年齢で20代前半の女性を魅力的だと思う、というのである。
(中略)
ひとりの男性として、わたしはこのデータをやにわには信じがたい。これは「独身者に取ったアンケート結果」ではないだろうか。




 というわけで、この「ウッダーソンの法則」の原典である、クリスチャン・ラダー著/矢羽根薫訳「ハーバード数学科のデータサイエンティストが明かす ビッグデータの残酷な現実―――ネットの密かな行動から、私たちの何がわかってしまったのか?」を拝読したので、ネットではあまり語られない、「ウッダーソンの法則」のホントのトコロを指摘しておきたい。

 まず、この二つのグラフがネットでよく紹介される。(「【書評】きみはペット」で「著作権的に載せられないと書いたのは、わたし自身が原典に当たることができず、ネットから拾ったまた引きになってしまうからであり、これは正等な引用である)。

●女性の年齢(縦の黒の黒数字)に対し、魅力的だと思う男性の年齢(グラフ中の赤字)。

(クリックで拡大できます)

●男性の年齢(縦の黒の黒数字)に対し、魅力的だと思う女性の年齢(グラフ中の赤字)。

(クリックで拡大できます)

 このグラフを持ってきて「女性の魅力は20代前半で終わり」というようなミソジニー(女性ヘイト)に使われることが多いのが、最近のネットトレンドのようである。

 しかし、実はこのグラフ、「アメリカの最大手出会いサイトOkキューピッド≠ノ登録した未婚の男女が魅力的だと考えた異性の年齢」である。
 つまり、このグラフは、上記でも疑問として提示していたとおり「独身者の動向から導き出されたビッグデータ」であった。既婚者や、自分でデート相手を見つけられる人は蚊帳の外であることに留意されたい。

 これをもう少し(意地悪に)解きほぐせば、「自由恋愛の国アメリカで、出会いサイトに登録しなければデートできないような人が、魅力的だと思う異性の年齢」である。
 もっともっと意地悪に言ってしまえば、下のグラフは「モテない男が魅力的だと思う女性の年齢」である。

 よって、このグラフをもってして「女性はほぼすべての年齢で、だいたい同世代の男性を魅力的と思うが、男性はほぼすべての年齢で20代前半の女性を魅力的だと思う」と言い切るのは間違いだ。

 さらにこのグラフには続きがあり――

●下のグラフに、男性が実際に検索したデート相手の年齢を重ねたもの。

(クリックで拡大できます)

 というものがあり、これは年齢相応に上がっていくことがおわかりいただけると思う。
 つまり男性自身、自分を相手にしてくれる女性は歳相応に上がっていくのだということを自覚しているというデータである。

 20代の女性を魅力的と感じながら、自分を相手にしてくれる女性はそれより年齢が上だろうと思っている、というのは、かなりストレスがたまることだろう。上記二つのグラフを持ち出して「女は20代前半で終わり」というような女性ヘイトを書きたくなる理由はそこらへんにあるのではないか、と邪推する。

 よく婚活市場で「女性は高望みしすぎ」と揶揄されるが、このグラフを見ればわかるとおり、「男性も(相手の希望年齢を)高望みしすぎ」なのである。

 また「ウッダーソンの法則」という名称だが、これは別に「ウッダーソン博士が発見、提唱した」というようなものではなく、青春映画「バッド・チューニング」で、マシュー・マコノヒーが演じたウッダーソンの台詞。「俺が年を取っても、彼女たちはいつも同じ年。そこが女子高生のいいところさ」から取っただけ、である。ロリコンか!?
 日本だったら――


(原作:蒼山サグ/作画:たかみ裕紀「ロウきゅーぶ!」2巻より引用)

 から、「長谷川の法則」と呼ばれていただろう。

 といったところで、ネット、特に掲示板などに貼られている「ウッダーソンの法則」とコメントを読んで、アラサー、アラフォー、アラフィフの女性が怒ったりうなだれる必要はまったくない。わかる男性はあなたがたの魅力をきちんと理解している。

 なお、同著は読み物としてはなかなか面白い一冊ではあるが、ビッグデータを解析する一冊としては、上記のように、使いようによっては「誤解をまねく」データもあり、統計的および科学的根拠に乏しいところもあると感じた。

 わたし自身の「ウッダーソンの法則」の感想としては、うーん、そうだな……。わたしにとって女性は細君ひとりなので――



 と言ってしまったら無責任だろうか。ごめんね。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記