2017年10月03日

【回想録】カーナビの思い出

 所要で夕方家を出て近くの公園脇を歩いていると、やけに若い人たちが路上にクルマを止め、一カ所に集まっている。服もまちまちで、みなスマホ画面を見つめており、仲間というわけでもなさそうだ。
 なんだろうと思って訊ねてみると、案の定「ポケモンGO」であった。わたしはやっていないのでよくわからないが、この公園にレアなポケモンが出た(?)のだという。

 ふうむ。楽しんで遊んでいる人々に特に文句はない。事故に気をつけて、よい午後を。

 ひと昔、いや、ふた昔前は、こうやって「電波で操られる人々」は、それなりにぁゃιぃ人扱いされたのだが、今や皆、本当に電波に操られて移動しているのだなぁ(笑)。

 というわけで、元祖電波で操られるのをよしとしたカーナビの思い出話を。
 わたしが最初にGPS(ナビ機能はまだなかった)に触れたのは、ソニーが出していた肩掛けタイプの「Digital Map Discman」であった。実は友人K氏からの借り物である。K氏はその肩掛けタイプのGPSを使って、自転車で「チャリナビ」を楽しんでいたのである。
 スマホの徒歩ナビが当然の時代に生きる若者には想像できないかもしれないが、当時のGPSは筐体も重く、バッテリーも持ちがいいとはお世辞にも言えなかった。だいたい、カーナビ自体がまだ珍しい時代である。そんな頃に「チャリナビ」を現実にしていたK氏は本当にすごい(ガジェット好きなK氏は、シャープのザウルスを使いニフティのチャットに乱入してくるような好事家であった)。


(これが「Digital Map Diskcan」)


(現在位置が出せるだけで、ナビ機能はない)

 この話を編集者にしたところ大変面白がり、GPSを誌面で紹介してみようかという流れになって、K氏からそのソニーのGPSを借りたのが、わたしの初ナビ(というかGPS体験)。

 軟弱者のわたしはチャリではなくクルマ使用で。助手席の細君にGPSオペレータをさせて移動してみた。車速パルスもとれずジャイロもないソニーのGPSは頼りなかったが、それなりに現在地が表示されるのがとても楽しく、一日、ドライブを楽しんだような記憶がある。

 ついで、畏友R氏がマイカーに後付けナビを設置。クラリオンAZZESTブランドのものだった。カーナビも実用域に入っているなぁと感じたわたしも、クルマを買い換えたとき、1DINに収まる液晶収納型のAZZESTをイエローハットで購入。

 お姉さん「工事費は○○円となります」
 わたし「あっ、いいです設置は自分でやります」
 お姉さん「そうですか。では本体のみお求めということで」

 わたしもまだ若く、クルマのダッシュボードを外していろいろやるのが苦にならない(むしろ楽しかった)歳だったのである。
 後に部品をイエローハットへ買いに行ったとき、お姉さんがわたしのことを覚えていて――

 お姉さん「カーナビはつきましたか?」
 わたし「バッチリです!」
 お姉さん「それはよかったー(笑顔)」

 などという会話を交わしたものだった。


(今はこんな面倒くさい作業、やりたくもない)

 さて、初期のナビは信頼性もまだ低く、現在位置を見失うこともたびたび。さすがに外国をポインタされたことはなかったが、海の中を走っていることや、バイパスを走っているのに高速を飛ばしている(しかも対向車線を逆走)していることなど珍しくなかった。

 このAZZESTナビにはログ機能があって、今までの速度やダッシュのベスト5くらいが記録されるようになっていたのだが、常に安全運転しているわたしの最高速度が300キロを越えていたのには笑ってしまった。海を走っていて、突然、本来の場所にポインタが戻ったときに、理論値を計算したものだから出したことになったらしい。
 使い続けていたら、いつの日か、ひょっとしたら光速を越えられたかもしれないが、何度か故障を修理し、最後にはクルマの買い換えとともに廃棄処分に。

 このAZZESTには、方言でもナビ案内できるという機能がついていた。たしか津軽弁ではなかったかなぁ。あとはクラリオンガール版も選べた。最初は面白がって使っていたが、やはりこういうのは飽きがくる。そのうち、機能があることさえ忘れてしまった。いまこうして書いていて、そういえばあったなぁ、と思い出している。

 数機種を乗り換えて、現在は、今はなきサンヨーのゴリラ2DINタイプのものを使っている。SSDでマップROMを入れる必要もない。ミニSDに入れたmp3の音楽が一日のドライブでも一曲もかぶらず再生できる。立体駐車場をくるくる回って外へ出ても、現在位置をロストするようなこともない。
 ソニーのショルダーGPSを楽しんでいた時代からすると、本当に便利になったものだ。

 初めてカーナビを入れたとき、それでも細君は地図をクルマから捨てることに反対したのだった。確かに当時のナビは、地図がなければまだ少し心許なかった。
 ナビがなかった頃は、出先で迷ってコンビニに駆け込み、地図帳を買ったこともあったなぁ、などと懐かしく思い出す。

 先に触れた雑誌記事では「あまりGPSに頼ると、電波に操られるぁゃιぃ人と言われるかもしれませんよ」とオチをつけたのだが、わたしも今やすっかり、電波に操られる人になってしまっているようだ。
posted by 結城恭介 at 08:00| 回想録