2017年10月13日

【回想録】メールの誤配!

 わたしは「メールの誤配」に遭遇したことがある。
 といっても、インターネットメールではない。パソコン通信時代、ニフティサーブのニフティ内メールのお話であるからご安心を。

 ニフティはある時期、「年賀メール」というイベントをやっていたのである。これは「お年玉付年賀メール」で――

 このサービスは期日指定メールを利用したサービスです。
 本サービスから電子メールを送信すると、自動的に1月1日に配信され
 期日指定メールとなると同時に抽選番号が付けられ、受信された方に抽選でニフティサーブ使用権をプレゼントいたします。
 ・1等 ニフティサーブ使用権 1万円分 10本
 ・2等 ニフティサーブ使用権 5千円分 20本
 ・3等 ニフティサーブ使用権 3千円分 60本
 ・4等 ニフティサーブ使用権 1千円分 200本


 というものであった。当たればけっこうオイシイのである。
 もっとも、当たったという人を聞いたことがないのが不思議だが……。

 わたしと細君は、1994年の正月にこのサービスを使って友人たちに年賀メールを送っておいたのだが、年末年始のメール増加にニフティのシステムが追い付けなくなって異常が起こり、なんと、年賀メール利用者の文面が誤配されまくったのであった。

 元日に、友人から電話が入った。
「恭介、いつからハンドルをペックルちゃん≠ノしたの。似合わねー」
 えっ!? と思い、聞きなおしてみると、わたしから友人に送った年賀メールの内容がすっかり他人のものになってしまっているのである。
 ヘッダなどのIDはいつものわたしのものであるので、まるでわたしがそのメールを送っているかのように見えるのは無理もなかった。

 メールが誤配されていたのである。

 わたしのIDで友人に送られたペックルちゃん≠フ文面が、あまりにフレンドリーでいつものわたしの口調と違ったため、不審に思った友人が電話をくれたから発覚したものの、もし、ごく普通の年賀状の内容だったら、彼もスルーしていたかもしれなかった。

 当時はまだパソコン通信を使う業界人や編集者も極めて少なく、こちらから仕事関係者に年賀メールを送っていなかったのが幸いした。確か、パソコン通信をやっている友人数人にしか送っていなかったのだと思う。
 他の友人にもペックルちゃん≠フメールが届いていたのかというとそんなことはなく、ごく普通にわたしが送ったメールが届いていたり、また違う人のメールだったりと、もう滅茶苦茶だった。

 わたしはニフティサーブ運営に「トップのインフォメーションに、年賀メールの誤配があったことをお詫びすべきだ」とメールしたが、返事はなかったと思う。当時、ニフティサーブの運営は強硬で居丈高であった。

 もちろん、ニフティ各所でこのことは話題になり、他にも被害者はたくさんいたことが明らかになったが、ニフティはこの件について、完全にほっかむりで通した。
 メールの誤配などということは、遅延以上に、絶対あってはならないことだというのに。

 そしてわたしは、しばらく仲間うちでペックルちゃん≠ニ呼ばれることになったのであった。なんだよこの罰ゲーム。

 このニフティの「年賀メールサービス」は、1996年以降は行われなかった。あまりに事故が多く、とても実施できないと運営が判断したのだろう。
 わたしはペックルちゃん≠ニ呼ばれる程度で済んだが、不倫メールとかを送受していた人がいたかも、とか思うと、笑い事では済まなかっただろう。

 インターネットメールにおいては、システムによる誤配は経験したことがない(もちろん人為的原因、つまり、送り手側のうっかりミスでの「誤配」経験は山ほどある)。
 インターネット黎明期、メールは必ずしも、即時、送られるものではなかった。わたしの経験では、送ってから一日経って、やっと相手方に届いた、ということがあった。

 遅配はいい。誤配はあってはならない。今、安心してインターネットメールを気軽に送受できる我々は幸せである。
 あとは早いところ、ケータイのキャリアメールとSMSが消えてくれれば一番なのだが。
posted by 結城恭介 at 08:00| 回想録