2017年11月17日

【日記】思考点……、思考線――。

 ワープロ時代になる前、「……」と「――」は原稿用紙に手書きだったので、間違いようがなかった。これは原稿用紙ふた枡単位を使って書くもので、ひと枡やさん枡で使うことは(商業誌では)ほぼほぼない。もしあったとしたら、そこの校正者はいい加減である(ただしマンガを除く)。

「……」は、ネット時代の今は「三点リーダ(ふた枡)」と言われることが多いが、本来「思考点」と呼ぶ。
「――」は、ダッシュと言うこともあるが、上記に倣って「思考線」と呼ぶ。
「・」は「ナカグロ」であり「・・・・・・」という表記を思考点の代わりに使うのはトーシロである。同様に「−」はマイナス記号であり「−−」と使うのはトーシロである。

「々」は「繰り返し記号」と呼んでもいいが、古い活字屋は「ノマ」という。ほら、「ノ」と「マ」の字が組み合わさっているでしょう? だから「ノマ」。

 ちなみに「〓」は「ゲタ」だ。これは活字がないとき代用で使われた。適当な活字を上下ひっくり返すとこの記号になったのが由来。

 わたしはワープロを黎明期から使ってきた旧いユーザーだが、新しいワープロ、FEP、IMEを使い始めると最初に単語登録するのが、この「……」「――」「々」「〓」である。
「ゝ」「ゞ」「ヽ」「ヾ」「〃」などはそうそう使う機会はないが、わたしは「……」と「――」をわりと使うモノカキなので、この二つが変換で、即、出てこないと思考が途切れてしまうからである。思考点、思考線だけに。

「……」は初期は「シコテン」、今は「シテ」。「――」は「シコセン」、今は「シセ」で登録している。

 思考点の使い方だが、これは行間を読んでほしいとき、ちょっとした無言の時間経過を表したいとき、言葉に詰まった様子を表現したいときなどに用いる。
 非常に例外的に、思考点を「…………」と、よん枡で使うときがある。これは本当に例外中の例外。言外の意思を読み取ってほしい、という書き手の感情を強く表すときに使った。わたしは今までのモノカキ人生で一回しか使ったことがない。業界いち、校正が厳しいという新潮社で用いたが、校正チェックが入り、ここだけはよん枡でやってほしい、と著者要望を入れたと思う。

 思考線は、思考点ほど迷いはないが、続けてなにかを言いたいところをグッと抑えた台詞や、地の文では括弧がわり――(←これと→)――こんなふうに使う。
 思考線を一番うまく使われた作家は小松左京先生ではないかな、と思っている。

 そうそう、「!?」は「疑問感嘆符」。その名のとおり、驚きつつ疑問を呈したいときに使う。おそらくわたしがこの記号をマンガから持ち込んだモノカキ第一世代ではないかなぁ。昭和中期までは、こんなマンガチックな記号を使う作家は見かけなかった。それでも――

「そうなの!」
「そうなの?」
「そうなの!?」

 どうだろう、みっつとも表現したい感情が違うことが、今のマンガ当然の世代のみなさんにはおわかりいただけるのではないだろうか。
「?!」という表記もあるが、個人的には「!?」の方がシックリくるのでそちらを愛用している。

 もうひとつ。「!」「?」「!!」「!?」の後はひとマスあけることが規則である! こんなふうに!! ね。ただし、台詞の閉じ括弧直前のそれは例外となる。「へぇー!」だ。
「そりゃないよ!。ベイベー」と、読点句点を入れる使い方は間違いだ。
「そうなんだ! 勉強になります」と、こうなる。

 思考点、思考線とも、使いすぎると雑な印象を受けるが、逆にまったく使わないとドシロートっぽくなる。使っていても、ナカグロやマイナス記号で流用していたりすると点が辛くなる。
 スポーツに「正しいフォーム」があるように、モノカキも「……」や「――」を用いるのが正しい表記法なのだ。ナカグロやマイナス記号で代用していたり、三点リーダをひと枡で使ったりしていると、中身を読まずとも「ああこの人は文章を書き慣れてないな」と判断されかねない。これから文章を書こうという若い方は注意されたい。

 逆に、匿名掲示板の書き込みで「……」を用いると、プロっぽいニオイが漂ってしまうので、わたしはわざと「、、、」などと読点を代用して使っていた。

 ほかにトーシロとプロの文章を見分ける点として「禁則」があったのだが、これはワープロ、PC時代になってからはエディタやワープロソフト、ブラウザのレンダリングの問題になってしまった。
 昔のワープロはひどかった。印刷で禁則はできても、画面上ではできなかったり、読点と句点しか処理できなかったりしたものだった。

 これは以前、レビューでも書いたが、文章書き集中デバイスとして宣伝されているポメラDM200でも、この禁則が不完全で残念である。また、縦書きの「回転」がいまいちなことにも触れた。
 ファームアップで直せるところであるから、「文章書き集中デバイス」として宣伝するのなら、このあたりも手を入れてほしいところだ。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記