2017年12月02日

【映画評】鋼の錬金術師(実写版)

 12月1日は映画の日、1,000円で観られるということなので、今日公開で初日動員人数をしゃにむに稼ごうとしている感アリアリの「鋼の錬金術師・実写版」を、細君を誘って観劇に。

 そりゃやっぱりあーた、入場者特典の「ハガレン0」目的ですよ。一冊は裁断してデジタル化するつもりである。



 あまりに有名な名作なので、特にストーリーは書かないが――

 禁断の女体錬成に挑んだTSモノ大好き兄弟が、兄はその代償として片玉を失うとともに割礼されてしまい、弟は魂をオリエント社のラブドールに定着することで生き延びた。以降二人は、失われた弟の体、兄の片玉と包皮を取り戻すために大西ケンジの石を探す旅に出る。


 というような話だったような――おっと、多方面にケンカを売っているような気がするので、これ以上、いけない。

 肝心の映画の内容だが、実に肝臓であった。ストーリーも演出も三星ホテルである。特に焔の錬金術師ことフジヤマ(だったっけ?)を演じたディーン・フジオカが素晴らしい。彼は今後、ディーン・フジヤマに改名するべきだと思う。というか、もうわたしの中ではフジヤマである。
 ふざけて書いているように思えるかもしれないが、観ればあなたも絶対肝臓すると思うので、この冬の一本としてお勧めである。実にジワジワとリバーブローが効いてくる映画である。

 いやしかし、積極的に評価したい点はけっこうあるのだ。ひとつめは、「鋼の錬金術師・第一章」などとしないで、一作できちんと納めたところ(最後の蛇足には目をつぶる)。長い原作のいろいろなところをつぎはぎしながら「あーそういう展開にして、こういうまとめ方にしたのね」という話構成は悪くないと思う。

 ただなぁ。「ちょおま、介抱してる間に攻撃せいよ」とか「あに説明ゆっくり聞いてんだよ」とか、間延びしているシーンが多すぎるきらいはある。これではまるでラジオドラマである。ジェイソン・ボーンだったら10人、ジョン・ウィックなら30人のキルカウントをとっていそうな時間をかけて、やっと一人やっつけるようなペース。

「ハガレン」自体は、それほどファンというわけではないが、2003年からやっていた方のテレビシリーズが、原作とは解離しつつ素晴らしい設定力と独創力で好きだった憶えがあるので、ひょっとしたら実写版も、という期待はあったのであった。
 もちろん、原作も全巻読んでいるが、わたしは上記アニメのオリジナルの設定が好きだ。こういう人は珍しいかもしれない。

 でもね、ほんとにそう悪くないですよ、この実写版(マジにアレな出来だったら、わたしは観てもなにも書かないか、それをネタに別の記事を書く姿勢なのはご存知の通り)。
 おそらく「ハガレン」の実写版として「ハガレン」のファンが観たらガッカリするかもしれない。しかし日本のアイドル映画≠ニして観たら、これはかなりいい点を出せる映画なのではないかなぁ。
(ごらんになった方。逆に、このストーリーと演出でアニメにしたら、と想像してみてください。大失敗作でしょう?)

 エドを演じた山田涼介さんも熱演が良かったし、ウィンリィを演じた本田翼さんも可愛らしかったし、ヒューズを演じた佐藤隆太さんはハマっていたし、ラストを演じた松雪泰子さんは見事の一言だったし、マスタング大佐を演じたディーン・フジオカはフジヤマだった。

 少なくとも、細君に「ガッジーラ」を誘って観たときよりも、彼女に対して罪悪感を抱かずにすんだので良しとする。
 ちなみに、2003年の「ハガレン」アニメしか観たことのない細君の評としては「まあ、それなりに面白かったよ」でした。

 でもね、帰り道、「この世界の片隅に」を観たときとは違う意味で無言になってしまう二人、なぜなのだろう……。

 とにかくアレだ。「ハガレン0」を配布している間は、1,800円でもファンには価値があると思うから、在庫があるうちに劇場へ急げ、なのである。
posted by 結城恭介 at 08:00| 書評・映画評