2017年12月09日

【日記】俺のヨメ

 もともと、「嫁」という言葉は、息子の妻を指していう言葉だった。旧約聖書で言えば、イスラエル民族の始祖アブラハムの息子イサクの妻ラケルが、アブラハムにとっての「俺の嫁」である。

 がしかし、現代ではもう、男性が自分の配偶者を指して「俺のヨメ」というのが普通になっているので、ここはカタカナの「ヨメ」で、俺のヨメ、細君の話を進めたい。

 振り返ってみると、細君は、現代から見ればとても若い頃に、わたしの妻になってくれたのであった。
 今のわたしに、もし細君と同い年で結婚しようという知り合いのお嬢さんがいたとしたら「え、ちょっと大丈夫? 早いんじゃない?」と心配するくらいの若さである。

 なにしろわたしは、細君の女子校時代の制服姿を知っている。プロポーズしたのも婚約したのもハイティーンの頃だった。
 それでも、友人たちから「犯罪!」と言われなかったのだから、わたしの年回りも相応に(今の時代から見れば)若かったのだと言える。

 現代日本の問題の根は、少子高齢化ではなく「非婚化」にあるのだな、と、この頃、つくづく考えるようになった。
 それは最近、昔からの友人に「あなたたちは早い結婚だったね」と言われ、あれっ、そうだったかな? とふりかえり、上記のように、今の自分ですら「(今の時代から見たら)早い結婚だったなあ」と思ってしまったからである。

 銀婚式を迎える程度には結婚生活というものを経験してきた者として、多少なりとも、若い人にアドバイスできることは、ひとつである。

「相手がいるなら、結婚は、一年でも二年でも早いほうがいい」

 男でも女でも同じである。
 高校生の間にカップルになったのなら、大学生の間に相思相愛になったのなら、二十歳そこそこで結婚に踏み切ったっていい。一人前になってから、稼げるようになってから、そんなことを考えず、社会人になるまえに結婚した方がいい。わたしは学生結婚大賛成である。

 社会人になって、結婚について、メリット、デメリットを計算するようになったら、結婚で一番大切な勢い≠ェそがれていく。そうなった時点で、結婚できない可能性が非常に高くなる。それこそ、一生ダメかもしれない、と脅かしておく。

 それは、結婚というものが、本来、メリット、デメリットを計算してするものではないからだ。

 学歴だの、年収だの、年齢だの、容姿だの、そういったものを度外視して「この人と一緒にいたい」という衝動がわかない相手とは、結婚できないのである。

 結婚というものは、広い海洋で、ぽっかりと体を浮かばせるような感覚に似ている。泳ごう泳ごうともがいているうちは、いつかは疲れて沈んでいってしまう。そういったものを放棄して、仰向けになり、ぽーんと体を海洋線に投げ出してしまえば、人間、自然に浮かぶようにできているのである。
「婚活」というものは「スイミングスクール」のようなものだ。いくら早く泳ぐ練習をしたところで、この「浮かぶ」感覚は習得することができない。

 広い海洋で、男女二人が(最近は男女に限らないが)、手をつないで、ぽかーんと浮かんでいるのが結婚である。競泳をしていれば、いつかはどちらかが、そして両方が沈むのである。

 若くしてわたしの妻になってくれた細君には、感謝しかない。よくもまあ、こんなわたしと一生をともにするという決意を、あの若さでしてくれたと思う。
 できた夫でないことは承知している。できた夫ではないが、わたし以上に細君を愛している男性はいないとも断言する。

 わたしが筆を断っていた時期があったことを、古い読者の方はご存じだろうと思う。そんなわたしがもう一度、ネットやブログで文章を書くようになったきっかけのひとつは、当時、別ペンネームで雑記を書いていたわたしに、細君が「あなたはやっぱり、書く人なのよ」と言ってくれたことだった。

 以前のウェブサイトでは「めおとまんざい」というコーナーをつくっており、そこで夫婦のかけあいを紹介していた。

 昨春、ブログを書き始めるにあたって、「俺のヨメ」のことをどう書こうか、と、一瞬思い悩み、「細君」と書くことにきめた。敬愛する文豪、夏目漱石に倣って、である。
 文豪にはなれなかったが、よい人生を送れていると思う。なにより、細君がともにいてくれるから。

 わたしがノロケ話を臆面もなく書くのは、少しでも多くの若い方に「結婚て世間で言うほど悪くないな」と思ってほしいからである。メリット、デメリットを越えて、愛している人が一緒にいてくれるということの良さを伝えたいのである。

「寒くなったねえ」「ほんとだねぇ」
 こんなつまらない会話ですら、夫婦の間で交わされれば暖かい記憶になっていく。
 そんな結婚の良さを伝えたい。

 さぁ、あなたも「俺のヨメがさ」と、ノロケたくなりませんか?
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記