2017年12月13日

【日記】聖書通読のコツ

「一生に一度は読んでおきたい本」というアンケートを取ってみれば、キリスト教国ではないこの日本でも、「聖書」はかなり上位に入る本ではないだろうか。
 実際、手にとってチャレンジした、という方も少なくないと思う。と、同時に、その多くの方が読破を果たせず、書棚の肥やしにしてしまった、という経験があるのではないか。



 なにしろ、物語性の高い創世記はまだしも、出エジプト記になると、後半でいきなり、延々と幕屋の作り方や細かい衣装の記述などがあり、レビ記になるとさらに「決まりごと」の話ばかり。ここでたいていの人は脱落してしまうのである。

 歴史書をなんとか読み終わり、詩編もたんたんと続け、箴言、コヘレトの言葉、雅歌あたりで調子を取り戻すが、次に来るのは、わけのわからない預言書である。時代背景もなにも知らずにこれらを読み続けるのはツライ。

 旧約が終わると新約に入って四福音書だが、知らない人には「同じ話が四回続く」としか思えない。使徒言行録はけっこう面白いハズ。だが書簡文書はパウロや当時のユダヤ教ナザレ派の裏事情がわかっていないと、ただ流すだけになってしまうだろう。
 最後に有名な「ヨハネの黙示録」だが、オカルト好きの人には面白いのかもしれないが、通常の感性の方だと、なにがなんだかわからない、というのが正直なところなのでは?

 ここで残念なことをお話してしまうと、「最初の一回目」は、もう、無理してでも最後まで読み通すしかないのである。聖書の各書を解説した本などもあるが、そういうのを読んで「お勉強」してから、などと思うと、たぶん挫折する。とにかく意地でも「読み通す」しかない。一日10章と決めて、淡々と読み貫くしかないのである。

 ただ、詩編だけは並行して「一日一編」で読んで良いと思う。聖書は冒頭から続けてよまなければならない書集ではない。
 とは言え、やはり最初の一回目は「創世記」から「ヨハネの黙示録」までを読み通すのがお勧め。わけがわからなくともとりあえず読む、というのは、それはそれで面白い読書体験である。

 聖書は新共同訳の場合、プロテスタントは新旧合わせて39+27の66書(「サンキューニーナ」と覚える)、その中に1,189章がある。(「いい訳」と覚える)。原稿用紙にしてほぼ5,000枚のボリューム。最近の本は薄くなっているが、一冊を原稿用紙300枚とすれば、ふつうの本16冊少々である。

 カトリックはアポクリファが入るので、プロテスタントのように具体的な書数は本来書けないが、新共同訳全部という意味では、51+27の78書(「ナハ」と覚える)、章立ては1,365章だったはず(「父さんむごい」と覚える)。
 こちらは原稿用紙にして約6,000枚。ふつうの本20冊程度である。

 せっかくキリスト者でない人が聖書を読むのならば、カトリックのアポクリファも読んでいただきたい。「トビト記」は当時のユダヤ人の生活がわかる物語として面白いものだし、「ユディト記」は名画のモチーフとしてよく用いられるものだからだ。

 聖書は実際、こういう「わけのわからない本」ではあるので、読んだからといって、あなたが洗脳されてクリスチャンになってしまう、などということはない。安心して、ひとつの有名な古典として、一度、読破にチャレンジしてみられたらいかがだろう。

 とにかく最初の一回目は意地でも読み通す、と書いたが、クリスチャンが、日々、通読するためにはやはりコツがある。
 聖書通読表、というものがあるので、一日何章と決めてチェックを入れていく、という方法は有名だが、実はこれが陥穽のひとつ。聖書の章立ては、分量で決められているわけではないからである。
 単純に章の数で読んでいくと、「今日の10章は短いな」「今日の10章はすごく長い……」という事態に、往々にしてぶつかる。

 そこでわたしは、新共同訳のテキストファイルのバイト数から、一日分がなるべく同じ分量になる章数で区切って、新しい聖書通読表を作ってみた。
 これである。


(クリックで拡大できます)

「91日間聖書通読表」(エクセルファイル)

 右下の「開始」カラムの日付を変えれば、表の日付も自動的に変わる。土曜日は青色、日曜日は赤色の背景色がつく。
 基本、詩篇は一日二篇、旧約、新約を必ず読むように作ってある。また、旧約続編は最後に集中的に読むようにして、プロテスタントの66書だけならば75日で読み終わるように作ってある。

 91日間というのは、キリよく13週間ピッタリで、一年365日で四回通読できるよう調整してみた結果だが(91×4=364で一日休みがとれる)、読むのが遅い方でも、一日一時間くらいの読書時間を取ればいける数字ではないだろうか。

 クリスチャン用、と書いたが、もちろん初読の方にもお使いいただけると思う。

「聖書」というぐらいだから、神のメッセージを伝える「聖なる書」で、下世話な話がなくてつまらないだろうと考える方もいらっしゃるかもしれないが、とんでもない。中には買春、NTR、近親相姦、妹萌話などもあり、戦記でもあり、恋愛譚もあり、ダビデとヨナタンのBLぽい話もあり、ちょっと波に乗れば面白い読み方がわかるはず。

 中には吹き出してしまう一文もある。
 旧約聖書続編だが、長々と格言が続いたあと――

「晴れやかな顔は、良い心の表れである。それにしても、格言作りは、骨が折れる。(シラ書〔集会の書〕 13:26)」

 初読のとき、これにはやられた(笑)。
 アポクリファが読めるカトリックはいいなぁ、と思ったものである。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記