2018年01月14日

【日記】五十肩とエスカレーターの片側通行

 われながら、こんなにひどくなるとは思わなかった。五十肩である。九月の中頃に始まった「背中に手が回せないな」という症状が、今や左腕に洋服の袖を通すだけで激痛にのたうちまわる。

 安静にしていても、ジンジンと痛む。キーボードはこうやって、両の肘をアームレストに置けばなんとか打てるが、今、左腕は後ろに回せないどころか、常に痺れている感じで違和感がたまらない。
 今までは、痛みで中途覚醒してしまうため就寝前だけにしていた痛み止め薬を、ついに毎食後に飲むようになってしまった。

 今は急性期と慢性期の間なのだと思う。この時期を過ぎれば楽になる、ということを信じて、激痛のたびに「おまえのできることなど、俺に肉体的な痛みを与えることのみだ。負けるかぁ!」と厨二病のように叫んで悶えている。

 こうなってみて、わかったことがひとつある。「エスカレーターの片側通行」、アレはよくない。
 わたしは東京圏に住んでいるので、京葉線から山手線への長い「動く歩道」も、成田空港の「動く歩道」も、右開けの文化の中で生きている(関西では左開けの文化らしい)。
 で、左腕がこのありさまである。左腕をあげて、手すりをつかむのがとてもシンドイ。本当は右側の手すりを右手でつかみたいのだが、「右開け文化」の中でそれはできない……。

 数年くらい前からだろうか。エスカレーターや動く歩道の「片側開け」文化は、本当は悪しきマナー≠ネのだという報道が流れるようになった。実際、日本でも東西で逆になっているのだから、ルールですらないのだ。
 また、エスカレーターの仕組み自体、動く歩道の片側開けは、ギアの片減りにもなり、機械的にもお勧めできないのだという。
 自分が五十肩で不自由するようになって、あれは、体の不自由な方のためのバリアフリーのためにも、なくすべき悪しきマナー≠セと、いまさらながらに思い知った。

 しかし今のままでは、まず、この悪しきマナー≠ヘ消えることはないだろう。日本人は同調圧力が強い民族だからだ。
 以前、京葉線の動く通路で大きな荷物を持っていて、右開けができないことがあったとき、そこを歩いて通ろうとしたサラリーマンが舌打ちして「右を開けろよな。マナー知らずなんだよ」と言ったことがあった。こういうリーマンヤクザまがいの連中がいるかぎり、この片側開け≠ェなくなることはない。

 そこでもうひとつ。日本人は同調圧力と同時に「お上に弱い」という習性も持つ。
 ここはひとつ、政府、地方自治体、あるいは公共交通機関のレベルからでもいいから「エスカレーターや動く歩道は片側開けしないのが新しいマナー」として宣伝してもらえないだろうか。
 開いた片側を闊歩する人間が白い目で見られるようになれば、日本人は同調圧力に弱いので、この悪しきマナー≠烽ネくなっていくに違いない。

 などと言っても、おそらく変わりはしないのだろうなぁ。
 2020オリンピック前に、この悪しきマナー♂善に取り組もうという大きな流れでもなければ。

 なってみなければわからない、というが、わたしも五十肩になって、本当にこの街が――構造物ばかりはなく人間的にも――バリアフリーではないことを思い知った次第である。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記