2018年02月12日

【日記】マッド・エレベーターの夢

 久々に「マッド・エレベーター」の夢を見た。
 これは青年期頃によく見るようになった悪夢である。

 普通に、普通のエレベーターに乗る。ボタンを押して扉が閉まる。ところが、エレベーターの挙動が普通ではない。超スピードで上へ飛んでいったかと思うと、いきなり止まって、今度はそのまま自由落下していく。
 まったくコントロールができず、エレベーターはどこの階にも止まらない。乗っているわたしは中で翻弄されるばかり。上昇中は床にへばりつき、下降中は無重力の中でもがくばかり。
 他にお客が乗っているときもあれば、ひとりのときもある。

 たいてい途中で、恐怖のあまり目を覚ましてしまうので、この夢のオチを見たことはほとんどない。というか、無事にどこかの階に降りられた、というオチは今までなかったのではないだろうか。

 この夢は、十七歳から二十歳前半にかけて、よく見たものだった。
 新潮社のエレベーターに乗ったとき、一緒に乗ったMIさん、MAさんに「こんな悪夢をよく見るんですよー」と話したら、年上のMIさんがバリトンのいい声で――

「エレベーターの夢ってのは、性的なものらしいよ」

 とおっしゃったことを、昨日のことのように思い出せる。自分的には性的な夢≠セとは思っていなかったので(実際、そうではないと思う)、「たいてい、いろいろなことがうまくいっていないときに見るんですよね−」と言ったら、「そりゃそうだよ」と笑われてしまった。

 ここで自分のスタンスを書いておくと、わたしは「夢判断」「夢占い」などというものは一切信じていない。ユング派の「夢コンサルティング」はある程度「アリ」だと思っているが、あれは術者と患者の間にある一定の了解≠ェ生まれていく中で内察し完成されていくことであるので、「夢判断」「夢占い」とはまったく別物だと思っている。

 さて、マッド・エレベーターの夢だが、それが性的なものかどうかはどうでもいいことだが、結婚したら見なくなった。
 結婚後数年、いやぁ、そういや、あのマッド・エレベーターの夢もめっきり見なくなった、と思っていたら、なんとパワーアップしてもどってきやがったのである。

 今度のエレベーターは、なんと全面ガラス張りである。普通のガラス張りエレベーターのように小さいときも、展望レストランのように大きなときもある。それが今度は、回転しながら激しく上下する。自分は高所恐怖症もあるので、今までのマッド・エレベーターよりも恐怖数倍である。
 もうこうなると、エレベーターというより、遊園地のアトラクションに近い。

 わたしは、夢の中で「これは夢だ」と気づくことが多いタチだとは前に書いた(これは青年期後に取得した能力)。
 そこで、この「透明ガラス張りマッド・エレベーター」に乗ったときは「ちくしょう、むしろ楽しんでやるぜー」という決意を持って体験するようになったのである。
 そうしたら、なんということか、透明ガラス張りエレベーターは、ただの高級ホテルのエレベーターと化し、特にマッドな挙動も示すことなく、普通に階に止まるようになってしまったのであった。

 起きて「ああ、この夢もコントロールできるようになったんだなぁ」と思って以来、エレベーターの夢は、ノーマルエレベーターも、透明ガラス張りエレベーターも見なくなった。

 それが先日、久々に見たのである。夢の中で、「あっ、懐かしい。このホテルはマッド・エレベーター≠フあるホテルだ」と気づいて、むしろ懐かしさから、自分から乗り込んでいったのだった。
 久々に乗ったマッド・エレベーター≠ヘ、ガラス張りの、回転展望レストランタイプであった。乗ると、回転しながらぐんぐんと空中へ登っていく。おぉお、この遠心力感と上昇力がたまらない。恐怖は多少感じていたと思う。でも、夢であることを理解しているからガクブルではない。
 ここで意外なことが起こった。エレベーター(というか、回転展望レストラン)が斜めになったのである。これは初めての体験であった。
「うぉお、これはガラスが割れて落ちるかもなー」
 と、思ったところで目が覚めた。

 と、特にオチはないが、こういう夢をみたんだよ、という話。
 もしこれが性的≠ネ夢だったら、なんだろう。わたしのアレ、そのうち回転しながらモゲるのだろうか。ガラス張りということは、それも衆人環視の中でということ!? いやだなぁ(笑)。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記