2018年03月15日

【日記】作者繁忙中のため――

 普通こういうときは「作者急病のため――」というマクラをつけるのかもしれないが、持病はあれど、今回は倒れたわけではなく、正直者のわたしはウソをつくことをよしとしないので「作者繁忙中のため――」と書くのであった。

「作者繁忙中のため、『妻のみぞ知る』は一回お休みさせていただきます」

 実はこれも、「決算期別法人説明会」会場で説明を聞きながら、一番後ろの席で内職≠ナ書いている(笑)。



 とにかく年度末で忙しく、個人の確定申告もあり、しかも二月は28日しかないというハンデ。加えて、二月の中ごろに食あたりをやって寝込んだのも、かなり痛手となってしまった。
 おかげで、「妻のみぞ知る」を、最後まで納得いくように書き切れなかったのである。

 あっ、それと、五十肩のクスリと持病のクスリが実は併用禁忌で(お薬手帳も出していたのに薬剤師が気づいていなかった!)、本当に体が動かない日もあったという事情もあった。それは「作者急病のため」に値するのかもしれない。ちょっと仰天する出来事であった。このことはそのうち、別記事にしたい。

「妻のみぞ知る」の代わりに、今月は単行本未収録の「コードレス・ガール」を掲載する。

 この作品は、ケータイ、スマホが当然の今の若い人には解説が必要かもしれない。

 その昔、ケータイ、スマホを個人が持てない時代は、「イエデン」が普通であった。さらにその昔は「黒電話」が一般的で、これは居間などではなく、玄関や廊下に置かれているのが普通であった。

「サザエさん」のご家庭をご想像いただきたい(と言っても、わたしは「サザエさん」をずいぶん見てないので、今は違うかもしれないが)。あの家庭の電話は廊下に置かれているでしょう?
 電話機が電気店で買えるオシャレなものになったのは、回線が自由化したあとのこと。それまではみな、あの「黒電話」だったのである。
 その黒電話に服を着せたり、受話器に消臭剤をつけたりしている家庭もあった。
 ガールフレンドの家に電話をかけ、お父さんバリアを破ってカノジョを呼び出してもらうのが、当時のナウなヤングの恋愛第一関門だったのである。

 電話回線が自由化したあと、モジュラージャックを使って、電気屋で買ってきた電話をつけられるようになると、いろいろな多機能電話が登場してきた。まずは留守番電話。FAX、そして「コードレス電話」である。
 コードレス電話ができてから、「お父さんバリア」はだいぶ弱体化した。ガールフレンドも自分の部屋から電話できるようになった。今でもイエデンにコードレスホンが二台くらいついている機種は珍しくないのではないかな。

 そして――初期のコードレスホンは電波をアナログ変調で使っていたため、その手の専用受信機を使えば、電波の届く範囲なら傍聴≠キることができたのである。つまり、部屋にこもって恋人同士二人きりで電話できるようになったと思ったら、実は逆に、ご近所にラブラブ電波を伝搬していた、と、こういうわけ。

 そうそう、当時は携帯電話はまだ「ショルダーホン」の時代だが「自動車電話」はあった。そしてその自動車電話もアナログだったので、同じように傍聴≠ェできたのである。

 念のために言っておくと、この傍聴≠ヘ、なんら法律に違反していない。無線で聴いた会話を漏らしたりした場合に、初めて電波法違反になるのである。
 当時、このコードレスホンとアナログ携帯電話を傍聴できる機械は、秋葉原で数千円で購入できた。さらに高機能な受信機になると、救急車や消防車の無線も聞くことができた。
 ちなみに警察無線は、当時、もうデジタル化していて聞くことができなかった。

 こういう背景事情のもとで書いたのが「コードレス・ガール」であった。
 というわけで、当時の情景をご存知の方は思い出しながら、また、ご存知ない若い方は「こんな時代があったんだなぁ」と思いつつ、お楽しみいただければ幸いである。

 なお、今のコードレスホンや、救急、消防の無線、もちろん携帯電話なども、すべてデジタル化が進んだので、傍聴≠ヘできなくなったことを明記しておく。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記