2018年05月03日

【日記】大きなのっぽの古冷蔵庫

 冷蔵庫が壊れたの。
 だけど、すぐ直らなかったの(ぐすん)。

 というわけで、冷蔵庫が壊れたの。そして細君や忌野清志郎さんのように治らなかったの(「【甘味】スシロー「苺すぎるパフェ」」参照)。

 正直、いまこの時期に、いや、実はこの先も、この冷蔵庫が壊れるとは思っていなかった。なにせこの冷蔵庫――わたしたちが結婚したときに買った、26年モノなのである。26年も動けば、もうこの先、ずっと動くと思うじゃないですかぁあぁ。泣いてる子もいるんですよ!

 いやいやいや、まさか、わたしだって常識は知っている。寿命がとっくにきていたのである。普通、冷蔵庫の寿命など10年ちょいというところ。わたしたちが結婚した頃の家電は、いまと違い製品のモチは良かったが、それでも26年は保ちすぎだ。むしろ、いままでよく保ったと誉めてやるべきなのだ。


(ラベルを見ればお分かりのとおり、すごい年代物である)

 それも、まったくいきなり壊れた、というのではない。どうにも、あまり冷えなくなってしまったのである。だんだん、だんだんと冷えなくなっていき、いまも、ちょっと涼しいくらいは冷やしてくれている。
 ゼロイチ的な故障なら、即、買い換えるしかなく未練もなにもないのだが、こういう「ぼく、まだがんばれるよ」的な故障はなんともである。

 それでも、氷も作れないというのはさすがに冷蔵庫とは言えないので、細君に適価な代替機を探してもらった。PDFの説明書なども印刷し、これでいくか、と決め、翌日買おうと同じページを見たら――

「SOLD OUT!」

 ああああ。このネット時代、やっぱり同じことを考えている人は全国にいるんだなぁ。
 再び代替機種を細君に選定してもらうが、当初考えていたご予算よりちょっと高めになってしまう。なにしろ、突然の高額の出費であるから、気分もへこみ気味である。先月は家族の入院もあったし、ヘトヘト状態でこの仕打ち、十字架の道行きで言うなら、「イエス、二度倒れる」あたりである。

 代替機種を選定し、今度は即購入。搬入は4月15日(日)の午後、というメールがきた。日曜日で教会があるが、午後なら大丈夫だ。
 で、4月15日の夕方、古い冷蔵庫から食品を出して待機。


(ドナドナを待つ冷蔵庫。哀愁ただよう……)

 26年も使ったこの冷蔵庫には、もちろん、それだけの思い出がこもっているのである。
 新婚生活のために買って、新居のアパートに搬入してもらったのだが、数年後、引っ越す段になって、細君の嫁入り家具を買った、地域では有名な家具屋に運搬を頼んだのだ。
 というのも、その家具屋、嫁入り家具を買うときに「引っ越すときは家具と冷蔵庫の運搬もしますよ」という約束をしていたのである。これは口約束で、あとで、担当者の「売りたいがためのウソ」とわかった。
 引っ越しのとき、もちろん約束は生きていると思って「冷蔵庫も頼みますよー」と言うと、そのとききた家具屋の運搬業者が「冷蔵庫はできない。別料金を払ってもできない」と言う。なんだよそれ、約束が違うじゃん。

 憤っていても仕方ない。家具屋の担当者は辞めてしまっていた。この地方都市では有名だが、いい加減な商売をしている業者であることが露呈してしまった。

 急遽、親戚から軽トラを借りて、若いわたしたち二人だけで、冷蔵庫を搬出、搬入することにした。若いからこそできた無茶だったなぁ、といまになって思う。
 冷蔵庫は、故障の原因となるので、横にして運んではいけないのだそうだ。しかし、当時ネットもなく、そんな知識もないわたしたちは、大汗をかきながら横にして二人で運び軽トラに載せ、引っ越し先へ搬入した。
 そのときついた傷がコレである。



 いまとなっては、この傷も愛おしい。

 さて、新しい冷蔵庫がくるのを待機、待機、待機……するのだが、一向に業者がこない。
 細君がスマホを確かめるが、わたしが見ても4月15日の夕方、になっている。
 と――細君の顔が青ざめた。なんと、4月15日の夕方までというのは、搬入に関するこちらの情報を入力する期限であったのだ。冷蔵庫というのは、ブラウザの「購入」ボタンを押しておしまいではなく、階段があるとか、廊下の最小幅とか、そういったものを販売店に情報送信して、その上で、搬入の日を決める、というプロトコルになっていたのである。

 あわててリミットまでにPCから該当画面を出し、そういった情報を入力。ウチは階段もなく、玄関からキッチンまで広く、一直線である。問題になるところはなにもない(なにもないからこそ、こんなトラップがあるとは思ってもみなかったのだ)。

 というわけで、日曜日のドナドナは中止。一度出した食材を再び詰めて、業者からの連絡とあいなった。

 その後はトントンと話が進み、翌水曜日には新しい冷蔵庫が搬入された。業者さんは本当に気持ちよく仕事をしてくれた。あまりに爽やかで見事な仕事だったので、わたしにしてはめずらしく、販売店の名を書いてしまう。大手の「上新電気」さんである。もちろん、搬入は下請け業者さんで、すべての下請け業者さんがこれほど見事で気持ちのいい仕事をしてくれるかどうかはわからないが。
 アンケートハガキをいただいたので、全部「とても良い」に丸をして感謝の言葉を書いて「上新電機」に送るつもりだ。

 さて、26年も古い冷蔵庫を使っていると、新しい冷蔵庫はもう、浦島太郎状態である。冷凍庫が下にある。野菜室が真ん中だ。へえ、冷蔵部分は上なのか。氷も自動製氷でできあがる。スイッチ類もタッチパネルになっているし、驚くことばかりだ。
 この子も長く保ってほしいが、最近の家電の寿命は10年程度だという。まあ、そうだろうな、というあきらめもある。

 いま、ウチで一番長保ちしているのは、セイコーの壁掛け時計。これは30年以上、動き続けているはずだ。
 童謡「大きな古時計」は、作者があるイギリスのホテルにとまったとき、そこの主人から「90年間、ときを刻み続けている時計がある」と聞いた逸話から生まれたそうだ。
 現代では、もうこういう歌は生まれないだろうなぁ、と淋しく思う。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記