2019年03月27日

【回想録】映画を立ち見

 このところ、毎朝のフィットネスジム通いで、毎日トレッドミルでウォーキングしながら、DVDビデオを見ている。
 だいたい三時間くらいウォーキングしているので(早朝でガラガラだから、誰の迷惑にもならない)、一本映画を見て、タブレットで読書をして、NHKの連ドラを見て、Youtubeで動画を見て、その日のワークアウトをおしまいに。

 この映画のチョイスが難しい。歩きながら見ているものだから、つまらない映画だとかなり苦痛である。逆にアタリ映画だったりすると、歩いている時間も忘れて熱中できる。
 一度見て面白かった映画は、再度見ても面白いのがわかっているが、なるべくなら、まだ見ていない作品を見たいという気持ちは強い。ハズレ作品を引いてしまったときは、見ながら同時にタブレットで検索して、みなさんの感想を読み「そうそう、そうなんだよなー」などと「歩き」ながら「映画を見」つつ「ネットサーフ」という「三重ながら」で時間をつぶすはめになる。

 そんな「三重ながら」で過ごしているとき、「そういえば、昔は映画の立ち見をしたなぁ」と思い出して、そんな昔語りをひとくさり。
「昭和の遺伝子」カテゴリにしようかと思ったのだが、最後に立ち見で見た記憶がある映画は「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」だったことを思い出し、調べてみるとBTF2の日本公開は1989年12月9日となっている。バリバリ平成元年である。そうか、平成初期の頃は、まだ劇場もシネコン形式ではなく、「シアターにお客が入れるだけ詰め込む」方式であったのだなぁ。

 そう、BTF2は細君と立ち見で見た。1990年1月2日のことだ。この頃の映画館は元日営業もしていたがその日はガラガラ(なので映画好きの父は元日に映画を見に行くことを楽しみにしていた)、反面、1月2日はぎゅうぎゅう詰めになるほど混んでいたのである。
 この頃の映画館は途中入場ができたので、上映中でもそっと劇場内に入り、立ち見をしつつ、席が空いたら座る、というようなこともあった。
 BTF2は人気作であったので、席もなかなか空かず、けっこう長い時間、席の一番後ろの手すりに寄りかかってみていたような記憶がある。
 また、人気作であっても、当時は「一本だけロードショー」ということはなく、必ず併映があった。BTF2もそうだったはずだが、併映がなんだったかはとんと思い出せない。

 トレッドミルで歩きながら映画を見る話に通じるが、面白い映画は立ち見していても熱中できるので、「この映画は丸々一本立ち見していたなぁ」という記憶は刻まれることがないのであった。
 BTF2も、結局、途中から細君と座って見られたのかどうか覚えがない。

 とんでもないところで、映画の後半を最後まで立ち見してしまったことはある。電気屋の量販店の一角で、レーザーディスクを流していたのだ。
 映画のタイトルは「遊星からの物体X」。言わずと知れた名作だが、これは劇場で見ることができず、当時、見たいと思っていた一本だったのだ。
 著作権のうるさい今、店頭で映画を流す、などということは絶対にできないだろうが、当時はそういうこともなくおおらかで、売り物の映画のディスクをそのままデモで流していたりしたのであった。
 レーザーディスクだから、A面、B面があり、流れていたのはB面。なかなかに佳境に入ったところであり、後半を全部、店頭で立ち見してしまったのであった。
 見ていたわたしもわたしだが、ハタキでポンポンもせず(今の世代にはわからないマンガ的表現か?)、エンドテロップまで見させてくれたお店も実に鷹揚であった。

 十数年経ってから、オフでこの話をしたら妙に受けてしまい、だんだん尾ひれがついて「結城さんは店頭のレーザーディスクで『遊星からの物体X』を見た」、「A面とB面を店員にひっくり返させて見た」、「いや自分で勝手にひっくり返して再生した」、「とにかく一本店頭で見た」となってしまい、なんとなく自分も過去のことなので「そうだったかなぁ?」と思いこむようになってしまった。

 しかしこうやって思い出しつつ書いてみると、やはりA面B面のひっくり返しを店員さんに頼んだり自分でやったりはしなかったと思うので、これは話半分である(笑)。

 本当に面白く作品に熱中できた小説やマンガは、その媒体が冊子体か電子書籍だったか、後で思い出せないことがある。
 映画の立ち見も同じで、昭和の時代、丸々一本立ち見した映画もあったはずだが、その状況は思い出せない。

 今はシネコンで完全入れ替え制の代わりに、座れることは約束されている。さらには遊園地のアトラクションのように椅子が動いたり、水しぶきや匂いまで漂うプログラムもある。
 併映がなくなってしまったのは寂しいが、映画好きとしては昭和の時代より楽しくなったな、と感じている。

 でもね、3Dは何度やっても流行らないから。これは先生との約束だぞ。
posted by 結城恭介 at 08:00| 回想録