2016年10月04日

【カットリク!】彼岸島

松本光司
彼岸島 18巻

カット神父「主の平和。新興宗教カットリク!の司祭、カットです」
シスターリク「神に感謝。わたしは――」
カット神父「コイツがリク。見ての通り頭の悪い奴だ」
シスターリク「神父様ここでそういうこと言います!? でもまあ気を取り直してお手紙です。『松本光司先生の彼岸島18巻にはカトリック教会らしきものが出てきます。きっとカットリク!満載だと思うのでツッコんでみてください』ですって」
カット神父「『彼岸島』か。一応読んではいるんじゃが、ハア、ハア。書斎から探すのが面倒なんじゃ」
シスターリク「あったよ神父様、18巻が!」
カット神父「リクでかした!!」



あらすじ1――
吸血鬼と化した兄を雨の中、追う明。兄の血の痕の先には――
明「こんな……ところに……教会が……」
明「血の痕が、教会の中へ!! 兄貴は、ここにいる!!」
明「なるほど、ここで最後の決着をつけようってのか」
明「いいだろう兄貴、面白いじゃないか」


シスターリク「あの、この彼岸島って、小さな島って設定ですよね、ここにこんな大きな教会って、これもう、カットリク!……」
カット神父「やめんか! 小さな島に大きなカトリック教会があってもよかろう!」
シスターリク「でも、島だと信徒も少なそうですし……」
カット神父「きっと大きな個人献金があったんじゃ。ハア、ハア おかしいところはなにもない」
シスターリク「……先に進みますね」

あらすじ2――
刀を構え、聖堂の中に入る明。コツ、コツ、コツ。ハア、ハア、ハア。
明「目が慣れてきた。少しずつ周りが見えてきたぞ」




シスターリク「えっと、聖堂に並んでる聖像が、ギリシャ神話のそれっぽいのってカットリク!ですよね」
カット神父「よさんか! これはきっとパウロとヨハネの像じゃ。この教会は聖パウロと聖ヨハネに献堂されたんじゃ。ハア、ハア」
シスターリク「椅子も少し変ですよね。これだと聖歌集とか置くところないし……」
カット神父「自分の横に置けばいいだけじゃ。おかしいところなどなにもない!」
シスターリク「十字架の道行きもないし、告解室もないみたいだけど……」
カット神父「薄暗いだけじゃ、心の目で見れば見えるのじゃ。ハア、ハア」



シスターリク「神父様みてくださいこの祭壇。聖櫃も聖体ランプもありませんよ! カットリク!決定ですね」
カット神父「いや、少し様子を見よう。ハア、ハア」

あらすじ3――
突然、聖堂の扉が閉まり、明にマリア像が倒れてくる。すんでのところで避けた明だが、武器の刀が折れてしまった。ロウソクに明かりをともしてみると、なんと、周りに死体の山が! さっきまでここで結婚式をやっていた人々を、明の兄が襲って殺したのだ!




カット神父「聖櫃も聖体ランプもない。つまりこれには訳があったんじゃ。明の兄がこの教会に突入していった時の闘いで、どこかに吹っ飛んだんじゃ。おそらく復活の大ロウソクも一刀両断じゃろう。十字架の道行きもそれで壁から剥がれて飛んだんじゃな。告解室の入り口やランプも血で汚れて見えんだけじゃ。まさしく正真正銘、まごうことなきカトリック教会のお聖堂じゃ。ハア、ハア」
シスターリク「えー、でもですよ、たしかこの島って、もうこの時点で吸血鬼が増えてて大変な状況でしたよね。それなのにのんびり教会で婚姻の秘跡やってるのって、カットリク!ですよね!」
カット神父「よさんか! 信徒がいる限りミサをあげる。これがカトリックというものじゃ。むしろガチカト、カトリックの鑑じゃ。ハア、ハア」

あらすじ4――
飛び込んできた師匠と仲間達の援護を得て、吸血鬼たちをまかせ、兄を追って鐘塔へと上る明。その鐘のある場で、ついに兄と対峙する。飛び掛ってくる兄。それを追い詰める明。
兄が逃げ込んだ先に明は棒を振り上げて飛び掛る、が――




カット神父「見るのじゃシスターリク。司祭じゃ。ロザリオペンダントなどつけていない、ちゃんとした神父がおる。まさしくカトリックじゃ」
シスターリク「ええー、ストラがなんか、肩にかけてあるんじゃなくて、祭服の模様っぽく描いてあるんですけど……」
カット神父「血じゃ、血で張り付いてしまったんじゃ。ハア、ハア」

あらすじ5――
兄との死闘を経て、二人は鐘塔の中を落ちてしまう。絶体絶命と思われたそのとき!




シスターリク「……これは、カットリク!じゃなくて、彼岸島ですね」
カット神父「そうじゃ、ハア、ハア、やっとお主もわかってきたか」

あらすじ6――
二人は鐘塔からお聖堂の真ん中に落ちてしまった。しかし明は生きていた。兄が明をかばってクッションになったのだ。吸血鬼となった兄は半身を失ってしまったが、それでもまだ生きている。




シスターリク「内陣がよく見えますねこのコマ。マッパ(祭壇布)なしにロウソクがたってるのっておかしくありません? カットリク!ですよね」
カット神父「いや、かくし芸でよくあるじゃろう。テーブルの上の食器を残したままテーブルクロスを引き抜くあれじゃ。あれを明がやったんじゃ。ハア、ハア」
シスターリク「明さんすげぇ」
カット神父「やっとお主も呼吸をつかんできたようじゃな。ハア、ハア」

あらすじ7――
兄は聖堂内陣の前に半身だけ残し、まだ生きていた。そして明にトドメを刺してくれ、と頼む




シスターリク「神父様ご覧ください。さっきまで祭壇の上にあったロウソク二本がなくなってます」
カット神父「いまさらそんなことをツッコんでどうなるというんじゃ。ハア、ハア。これは――」
シスターリク「彼岸島でしたね」

あらすじ8――
逡巡の上、紆余曲折したが、明は兄についにトドメをさした。明の兄、篤。彼岸島に散る。




シスターリク「もう、内陣にあるべき椅子がないとか、朗読台がないとか、そういうツッコミも意味ないですね」
カット神父「そうじゃ、ここはカットリク!も及ばぬ彼岸島なんじゃ、ハア、ハア」

     *     *

カット神父「ところでシスターリク。お主の修道名はなんじゃったかの?」
シスターリク「いやああああああ」
カット神父「言うんじゃ!」
シスターリク「言わせないでえええぇぇぇ」
カット神父「ワシは師として、読者の最後の願いを叶えてやりたいんじゃ」
シスターリク「カット神父様……」
カット神父「して、お主の修道名は?」
シスターリク「……マルタ、です。ラザロとマリアの姉の」
カット神父「マルタがあったぞぉおおおお!」
シスターリク「やぁめぇてぇえぇ。触らないでぇえぇ。自分の目の中の丸太に気づきなさい!」
カット神父「みんな、マルタは持ったな!! 行くぞォ!!」
ドドドドドドドド……

     *     *

というわけで、なんと「彼岸島」に「カットリク!ポイント」は一個もなし。恐るべし彼岸島!
posted by 結城恭介 at 08:00| 新興宗教カットリク!の研究