2016年10月17日

【カットリク!】死星マリア

原作:梶研呉/劇画:叶精作
「死星(シスター)マリア」1〜2巻

カット神父「主の平和。カットリク!司祭のカットです」
シスターリク「神に感謝。かもしか修道会のリクです。あぁ、日本人がみんなカットリク!信者になりますように。というわけで、今回はいきなりちょっとエロティックなマンガですよ。なお原作の梶研呉先生は小池一夫先生のお弟子さんとのこと」
カット神父「納得だなッ!」

あらすじ――
夫を殺され娘を誘拐されたマリアは、その犯人を追うために、バチカンの秘密組織ルルド≠フメンバーとなる。ルルド≠フ目的はテロリストたちを神の裁きにかけ暗殺することであった。マリアの夫もその組織の一人であったがゆえにテロリストたちに殺されたのだ。
かくてマリアはルルド≠フ一員となり、暗殺術を身につけ、テロリストたちから六百六十六万ドルの賞金首をかけられた「六百六十六万ドルの聖女」となる。
夫の復讐のため、そして娘を探すため、マリアの戦いが始まる――。


シスターリク「もう文句なしの全編通してカットリク!ですよね」
カット神父「うむッ!」
シスターリク「見てくださいこのシーン」



シスターリク「あろうことかシスターが殺人ですよ、殺人。『流れ星に懺悔なさい!』とか決め言葉まで言っちゃって」
カット神父「かっこいいねェ」
シスターリク「ねっ、って違うでしょ! カットリク!でしょこれ」
カット神父「そりゃあねッ! でもなンかツッコむ気分にならないンだよなぁ」
シスターリク「ふふふ、平静を装ってはいるけど心は正直よ。キットはちきれンばかりにツッコミたいんでしょう?」
カット神父「うーん、じゃあこんなコマはどうよ?」



カット神父「ほら、正しいこと言ってるじゃない。懺悔とか言わないし、シスターに告解はしないと言ってるし、もろカトリックだなッ」
シスターリク「またまた神父様。ガチカトの場合、路上で告解することだってあることをご存知でしょッ」
カット神父「まあ、そういうときもないとは言わないけどね」

シスターリク「じゃあこれはどうッ?」



カット神父「うーんこれは『朝の聖務日課』『朝のミサ』って言わないとダメだよねぇ」
シスターリク「でしょォ! だからカットリク!だって言ってるじゃないのよォッ!」
カット神父「うん、わたしも最初からそうだって言ってるよね」
シスターリク「どうしてなのーッ!! どうしてカットリク!ポイントしないのよーッ!!」

     *     *

カット神父「なんというかなぁ。イエスはたとえ話が好きだったから、たとえで言っていいかな?」
シスターリク「すごい……たとえをどうぞ」
カット神父「たとえば『スターウォーズ』ってあるじゃない。あれ、宇宙船の中でも別に無重量ではないし、宇宙空間でもビュンビュン音がするし、科学的におかしいよね」
シスターリク「でも『スターウォーズ』てそういうもんじゃないですか? 別に科学的に間違ってるからどうこうって話じゃないし」
カット神父「だよね。『スターウォーズ』を現役の宇宙飛行士が見て『こんなことはありえない』ってツッコんだりすると思う?」
シスターリク「……しないでしょうねぇ」

カット神父「んでさ、古い映画だけど『2001年宇宙の旅』ってあるじゃない」
シスターリク「キューブリックの名作ですね」
カット神父「あれ、たとえばディスカバリー号が航行しているシーンで星が動いているのって、科学的にはおかしいんだってさ」
シスターリク「へえー」
カット神父「でもあのシーンは、キューブリックは承知の上でやってて、船が移動してるのを表現するためにわざと非科学的に撮ったという話もある、まあどこまでがほんとの話かわからないけどね」
シスターリク「神父様のおっしゃること、わかるような、わからないような」

カット神父「つまりはさ、わかってる上でやってるかどうか、ってことなんだよ。この『死星マリア』は、『こんなこと実際にあるわけない』『でもシスターが暗殺者だったらカッコいいよね』っていう前提の上でストーリーテリングしてるでしょ? そういうのにツッコむのって『スターウォーズ』で宇宙空間で音が出るのはおかしいっていうくらい野暮だと思うんですよ。わたしは、ね」
シスターリク「ふむぅ」
カット神父「もちろんこの作品だって、ツッコみどころは本当は一杯ありますよ。でももう、『全編・承知の上でカットリク!』だから、そんな細かいところをツッコんでも意味ないでしょう。ちょっと違う例で、これはギャグマンガだけど――」


(吾妻ひでお「やけくそ天使」から引用)

カット神父「宇宙船の中でヒロインがいきなり窓あけて深呼吸するシーンね。んで、そのあとの台詞が『なんだよー、なんか科学的に間違った行動してるか?』」
シスターリク「いや、いいですけど……ギャグマンガだし」
カット神父「そう、それ! もうね、別にいいんですよ。そのレベルまでいくとギャグマンガになっちゃうわけ。そこまで行かれたらツッコんだら負け的な、ね?」
シスターリク「ところで、その線引きの基準はどうやって決めてるんです?」
カット神父「まあ感覚的なものだけど『日本人が洋画を見て、その日本人の描写に違和感を覚える』程度に、『その物語を読んで、現役ガチカトの人が違和感を覚える』程度ならばカットリク!ってとこかねェ」
シスターリク「まあ日本人だって、ミュータントタートルズの日本人描写がおかしいとかって言いませんものね」

     *     *

シスターリク「それはともかく神父様。わたしたち、『彼岸島』『マリみて』『死星マリア』と、三連敗してるんですけど」
カット神父「心がともなわないかぎり、作品にカットリク!は流れ込まンよ」
シスターリク「ええっと、きっと真面目なガチカトの方は、今回のギャグはちょーっとわかんないかもしれないです」
二人合わせて「ゴメンナサイ」
posted by 結城恭介 at 08:00| 新興宗教カットリク!の研究