2016年09月25日

【日記】ブックフェア

と言うわけで、この記事はビッグサイトで開かれている「東京国際ブックフェア」一日目のVIPルームで書いている(相変わらず時事ネタがワンテンポ送れるのは予約投稿が埋まっている由につきご容赦)。
VIPルームと言っても、ただ単に席とテーブルがあって、少数のドリンクが飲み放題というだけの商談場所兼休憩所なのだが、こんなわたしでも一応会社の社長なのでVIPバッジをもらえるのである。ありがたや。
ちなみに以前「作家」で入ったときは、VIP待遇ではなかった(笑)。

ブックフェアには、なんだかんだとかれこれ10年くらい来続けている。

例年はだいたい7月のISOTと一緒くらいの時期だった。ISOTと同時開催のときもあり、このときは取引先への挨拶周りが楽で良かったのだが、ここ数年は開催が週違いとかになってしまい、一週おきにビッグサイト詣でをする羽目に。ただでさえ体力がないのにこれはしんどい。

それが今年からなぜか、ブックフェアだけ9月に変更になった。おかげで、今度は9月のギフトショーと近くなってしまった。ギフトショーと同時開催ということはありえないから(ギフトは全館使用のため)、今年はこちらで隔週でビッグサイト詣で(先々週がギフト)。

下道使って車で二時間かけないと上京できない地方住みはツライ――などと言ったら、本当の地方住みの方に怒られてしまうだろうか。

それにしても、毎年通っていると、正直、だんだんショボくなっている感が否めない。関係者の方、ごめんなさい。でも素直な感想。今年は西館一階半分だけだし……。

と、いきなり前提をとばして書いてきてしまったが、本好きの方の中には「東京国際ブックフェア」の名をご存知の方もいらっしゃると思う。
大手中小出版社などが大小のブースを出して、その日は割引価格で本が買えるイベントなのである。
と言っても、大手ブースのそれは売れセンのものばかりだし、中小のところはそれほど興味を引くジャンルがないとつまらない。
お目当ての本を安く買うために探すというより、いい本に巡り会う機会のあるイベントという意味合いが強いように思う。
わたしが興味を引かれるのは人文系。特に宗教系の出版社が並ぶところ。それもけっこう、普段、書店などでは見かけない新興宗教系の出版社が多いので楽しかった。

もちろん、正統派の教派も並ぶ。キリスト教系で言うなら「カトリック協議会」と「日本聖書協会」。

日本のカトリック教会には16の教区があるが、実はそれぞれが直接バチカンにつながっていて、教区としては独立している。そこで日本の教区の横のつながりとして「カトリック協議会」という組織があるのである。
で、ここがブースを出している間は、ドン・ボスコやサンパウロ、女子パウロの本など集めて販売していたのでいろいろ見て回れ、安く買えて良かったのだ。シスターがビッグサイトを歩いている姿もサマになった。
それが、四、五年前に、いきなりブックフェアから撤退してしまったのだ。風の便りでは「採算がとれないからねぇ」とのこと。えぇー。採算目的でやってたんすかアレ。それ違うっしょー、宣教目的でしょう?

なにが悔しいって、同じ会場でキリスト教系新興宗教の「モルモン教」や「JW」(は教会業界の通称。みなさんご存知の言い方をするなら「エホバの証人」)ががんばっていることである。

カトリックはでかいから横綱相撲で、こんな狭い土俵に登るまでもない、とでもいうのだろうか。
もう「日本聖書協会」さんだけが、ブックフェアにおける正統派キリスト教の最後の砦ですよほんと。

さて、ところが――
9月に移った今年のブックフェア、なんと、モルモンもJWも撤退してしまったのである。仏教系も今までは確かにあった「幸福の科学」が消えてしまった。

わたしは毎年「キリスト教ってなに?」という顔をして、モルモン教ブースでアンケートに答えて、トートバッグとモルモン書をもらうのを楽しみにしていたというのに!
ちなみにJWはケチでリーフレットはくれるけれど、新世界訳の聖書はくれないのだった(笑)。持ってるからいいけどさ。

そんなこんなで、今年は日本聖書協会で数冊、書籍を買って、あとはぐるりと回ってVIPルームへ。これを書いている、という顛末。

一緒に会場にきて別々に回っている細君も、日本聖書協会のところで再会したら「今年はしょぼいねえ」とのこと。

電子書籍が始まったばかりの頃は、楽天がKOBOブースを大々的に出していたりしたのだが、それもたしか去年には撤退していたはずである。
アマゾンのキンドルにいたっては、ブックフェアは最初から眼中になしだ。

改めて思うのだが、「ブックフェア」は、「ブック」つまり冊子体の本を売り買いする場所なのだ。そして、毎年見てきてみて、やはりそれは確実に着々と衰退しつつあることを感じる。

ネットなどでは「冊子体の本はまだまだ残る」「日本では電子書籍は普及しない」という論がまだ根強いがやはり読者の大きな流れが、冊子体から電子書籍へと移っているのは確かなのだと思う。

その昔、聖書は巻物だった。それが羊皮紙にインクで書いた書物になり、やがてグーテンベルクの活字に取って代わられた。
冊子体の聖書を数十回読んだわたしも、今はオンライン聖書を読むことが多い。
(ちなみに聖書は物理的な意味では消耗品。だからベストセラーでかつロングセラーなのである。新共同訳だと、だいたい、創世記13章あたりから本自体が裂けてくる。ここで「あるある」と笑われた方も多いハズ(笑))。

出版は斜陽産業、と、業界人は自嘲するように言うが、衰退しているのは出版という業界ではなく、冊子体というメディアなのだと感じた午前中であった。

さて、また一回りしてくるか。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記