2017年02月10日

【回想録】コンタクトレンズ

十代の終わりから結婚してしばらくは、コンタクトレンズとメガネを併用していた。
外出時はコンタクト、家の中ではメガネ、という感じ。というか昔のコンタクトは酸素透過性が悪かったので、せいぜい12時間くらいしか装用できず、そうするしかなかったのである。

前にも書いたが、わたしがメガネをかけ始めた頃に主流だった大きなメタルフレームのメガネは、自分の線の細い感じが強調され、おたくくさく見えるので好きではなかった。
セルフレームのメガネでは、結構ふつうに出歩いていたと思う。著者近影のポートレートでセルフレームをかけていた写真もあったはず。

あとは、メガネとコンタクト併用の方ならわかっていただけるとおもうが、メガネだと物が小さく見えてしまうのが嫌だった。こればかりは近眼の宿命だから仕方がないが。

わたしのマイコン友人K君もド近眼なのだが、彼も成人してからコンタクトにした。そのとき、あまりの視界のすばらしさに「海を見にいく!」と言ったのだった。その気持ち、よくわかる。

最初に作ったのはソフトコンタクトレンズである。今と違って、ワンデー使い捨て、ウィークリー使い捨てではない。同じ物を一年くらい使うのである。
なので、定期的に煮沸消毒と脱酵素剤による洗浄が必要だった。
煮沸消毒と言ってもレンズを鍋で直接煮るのではない。ケースにはいったまま、煮沸消毒する器具があるのである。ポンとセットしてスイッチを押すだけだが、毎週のこととなると面倒だ。

今の使い捨てレンズと違って、一枚もけっこう高かった。たかがフニョフニョのビニールみたいな小さなものが一万なにがし円である。
毎日の洗浄もあるわけだが、そのとき破いてしまわないよう、それは気を遣うのであった。

大事に使っていても、一年たったら吸水性が悪くなって、もう寿命である。

なので、次はハードコンタクトにすると決めていた。

最初にハードを入れたときは「うわー、これはゴロゴロする」と口からついてでた。しかしこのあたり、実に昭和の遺伝子で、コンタクトレンズ屋さんも「すぐ慣れますよ」とハナからとりあってくれないのであった。
そして実際、わたしはすぐ慣れた。
当時は酸素透過性ではないハードコンタクトである。左のレンズにはLのマークが入っていてわかりやすかった。

当時、後の細君とデートするときは、たいていコンタクトだったと思う。
ラブソングに「♪見つめあーえばー」というような歌詞は多いと思うが、細君はわたしの目を見るのを嫌がった。瞳の上にレンズが乗っているのが見えるのが怖いのだそうだ。そんな理由で!? ひでぇ(笑)。

そんなこんなで、結婚後から30代後半はずっとメガネだったが、40近くなった頃、老眼になる前に、またいっちょコンタクトで広い世の中を見てみるか、と、新しく高酸素透過性レンズを作ってみた。
今のレンズはハードでも薄くていい。たしか第一の大病が寛解中で、営業で歩き回れる時期だったので、使い捨てソフトレンズも買って、水泳もやってみた。
使い捨てソフトレンズをポイと出して縮んでいくのを見つつ、昔の面倒だったソフトコンタクトの取り回しを思い出して、本当にいい時代になったと思ったものだ。

コンタクトレンズをあまり使わなくなり、今、メガネオンリーに戻ってしまったのは、やはり老眼が強くなってきたからである。コンタクトで矯正した上に、老眼鏡で本を読むのはちょっと莫迦莫迦しい。裸眼なら、メガネをはずせばなんとか読書はできる程度の近視だからだ。

遠近両用コンタクトレンズというものも気になっているのだが、どれくらい実用になるのだかわからないので手を出すのを躊躇っている。
細君は基本的にわたしの自由行動を制限しないタイプだが、坊主頭と同様、コンタクトレンズは細君の嫌うところでもあるので、あまりいい顔はしないだろう。

ところで世の中にはいろんなフェチがあって、めがねっ娘フェチというはよく聞くが、逆にコンタクトレンズ(をした異性)フェチという人々もいるのであった。
ポートレートの瞳にコンタクトを発見して「うひょー」と喜んだりするわけだ。細君とは逆ですな。

以前、どこかで読んだのだが、「本当のメガネっ娘好きはコンタクトを憎まない。なぜなら、家に帰ってコンタクトを外し、お家メガネにした瞬間にこそ萌えるから」という方がいて、これはわかりあえる、と思った。そうそう、自分にしか見せないメガネ姿には萌えません?

そんな感じで、わたしはメタルフレーム姿は細君にしか見せないことにしているのだが、いかんせん細君にはそんな機微はわかってもらえないのであった。ガクシ。

細君は視力がよく、今でもノーメガネの生活を送っている。まだ手暗がりにもなっていない。

ふむ、いいのだ。君だってそのうち、否が応でも老眼鏡をかけなければいけなくなるのだ、よ。
そのときは、わたしの前だけで見せておくれでないかい?

まぁ、そういうわけにいもいかないか。
posted by 結城恭介 at 08:00| 回想録