2016年12月21日

【日記】とりあえず4分やれ

物事に取りかかるのが億劫なとき、「とりあえず4分やれ」ば、なんとか先に進めるようになるらしい。

これはアメリカのレナード・ズーニンという心理学者が提唱したものらしいが、まあ確かにそういうところはあるのだろうな、とも思う。

それにしても、これが3分でもなく5分でもないところが小憎らしい。

このメソッドを活かすために、百均に砂時計を買いに行ったのだが、3分計や5分計はあっても、当然ながら4分計などという中途半端なものはないのである。

レナード・ズーニン氏がどこから「4分」という具体的な数字を出したのか、そのあたりの統計を取った論文もきっとあるのだろうが、そこまでは調べる気にはならない。

実はこの記事の、最初の――

「ピロピロ、ピロピロ」

あ、鳴った鳴った。
実はこの記事の、最初の一文を書き出すと同時に、スマホの4分タイマーをかけていたのである。上の部分で4分切れ、だ。

なるほどやってみると、3分だと短すぎてエンジンがかからず、5分だと長すぎて集中力が途切れてしまうやもしれず。
この「4分」というところに、実に信憑性があるような気がしてきた。

レナード氏の「4分メソッド」のいいところは、とりあえず4分やって、それでノリが悪ければやめてしまってもいい、というところである。
なので、この記事もここでやめてしまってもいいのだが、なんとなくこうやって書き続けている。レナード氏メソッド、なかなか人間心理の妙を良くついている。

「拙速は巧遅に勝る」。これは孫子の兵法にある格言である。
わたしは筆が速くないので、耳に痛い言葉だ。
これも結局は、「4分メソッド」を拡大したものかもしれない。とりあえず4分が、まあまずは40分になり、なにはともあれ4日になり、気づいたら40日で、まあだいたいのプロジェクトは形になっているものである。

筆は遅いが、アイデアは速すぎるきらいがある。
今、NHKでやっているらしい「スニッファー」という、嗅覚が優れた探偵のアイデア。20年以上前にオリヴァー・サックスの著作で閃きを得て、そのときのSD社の担当のH氏に「嗅覚が異常に優れている探偵役というのはどうでしょうね?」と打診したことがあったのだ。
さて、H氏はどう答えたか、きっと読者はドッチラケだと思う。
「それは、被害者側の設定にした方がいいと思いますよ」
「……はあ」
今振り返っても、この答えはなんというか、正直、なぜH氏がそう考えたのかわからない。H氏は有名大学のミステリ研出身者だったから(確かそう)、わたしのようなミステリプロパーではない人間にはわからないなにかがあったのだろうたぶん。

速すぎるアイデアばかりではなく、二十代前半の頃は「これは自分があと二十年歳を取ったら書けるかも」というアイデアもわりとあった。
そのときの自分では書けないなあ、と思ったのは、圧倒的に人生経験が足りないことを自覚していたから。

「じゃあ、今なら書けるじゃん」

そうなのだが、今度は時代が変わってしまった。
根っこのところでは同じだと信じたい「ラブ・ストーリー」でも、今の人が感じるリアルと、わたしの世代が感じるリアルとでは違う。

結局のところ「十年前なら書いたんだけど」「十年経ったら書こうと思ってるんだけど」というアイデアはモノにならんということなのだなぁ……。と、これを書いていて今更ながらに痛感する。

わたしは若くしてデビューしたので、若い人の味方でありたいと思っていた。
夢を語ると、オトナに「夢みたいなことを」と言われ、現実を語ると「今の子どもは夢がない」とマッチポンプを言うようなオトナにだけはなるまいぞ、と。

しかし残念ながら、わたしも結局、わたしの世代としての物の見方しかできないのだということを、歳を取って思う。若い人の味方はできても、彼らと同じ物の見方はできないのだなぁ。
それは、仕方のないことだが。

この記事はレナード氏の4分メソッドの実証のために書き始めたので、特にテーマはない。というわけで、唐突に終わる。
途中、コーヒータイムを入れて30分。たまにはこんな記事があってもいいでしょう。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記