2017年05月28日

【回想録】miyuki.comの思い出

今では、個人が独自ドメインを取ることなど、簡単なことになった。その手の業者を通して、年額数千円で、.comや.net、.jpなどのドメインを取れる。わたしが個人および会社で管理しているドメインも、過去には数十個あったが、譲渡したり、整理したりして、今はかなり数を減らしている。

ちなみに、「深夜のお茶会いまさら」の(oops.)eek.jpと、この「いまさら日記」の(toolate.)sblo.jpは、独自ドメインではない。両者ともさくらインターネット所有のものである。どちらもシンプルでいいものが借りられ気に入ったので、これでいくことにした。

Googleで検索してサイトに飛ぶ今の時代、組織か法人でもなければ、独自ドメインを取る必要はないかな、とも感じているのが正直なところだ。
一昔前は、コンサルの顧客にも独自ドメインの取得を勧めていたが、最近は積極的に水を向けることはない。独自鯖を建てるなら別だが、なるべく安くということでレン鯖を使うのなら、そこが用意した適当なドメインにサブドメインを振って使うほうが、お客さまのためにもいいと考えを変えた。

ちなみに、相手が商業法人や、教育組織(幼稚園など)なら話は別である。強くco.jpかad.jpの取得をお勧めする。これは商業法人や学校組織でないと取得できないドメインで、それだけで、ニセでない正規の法人、教育組織であることを主張できるからである。
逆に、商業法人なのに.comとか.jpなどを会社のメインのウェブサイトとして使っている会社は、ちょっとどうかと感じてしまう。実際、そういうサイトの「会社」は登記されていないニセ法人ということもないとは言えないから、読者諸氏も注意されたい。

ある炎上事件で飛び火した「会社」が、実は法人ではなく個人事業であったことが、ドメインひとつでバレてしまった実話もあるのである。

さて、これもインターネット黎明期中の黎明期の話。
当時は、個人が独自ドメインを取ることはとても難しかった。たいていの個人サイトは、プロバイダが用意したドメインの下に個人ディレクトリを用意してもらって、bekkoame.ne.jp/~kyosuke/のように、チルダつきのダサいURLで我慢していたのである。

そんな時代に、miyuki.comというドメインを取って個人サイトをつくっている方がいたのである。ウェブマスターのお名前はもちろん「みゆきさん」。

「みゆきさん」は、決して「こちら側」の人、つまりIT関係の人ではなかった。サイトの内容をほぼ覚えていないのが残念なのだが、それはそれだけ、中身が薄かった(失礼)ということだろう。
ただ、本当に個人でドメインを取ることが珍しい時代だったし、まだGoogleのような高性能な検索サイトもなく(千里眼はあった)、ブラウザのURL欄に文字列をタイピングしてアクセスすることも珍しくない頃だったので、miyuki.comは知る人ぞ知るサイトではあった。

「みゆきさん」がこちら側の人ではないのに、miyuki.comドメインを取得できたのは、こちら側の協力者である男性がいたからであった。これは確実である。
というのも、「みゆきさん」ご自身が、自分の名前を冠したドメインがとれたことを喜んで書いているページがあり、そこに「詳しいことがわからないのですが、お友だちが、わたしの名前がついたドメインを取ってくれたのです」といったことを書いていたからだ。

ここから先は本当に勝手な想像だが、「みゆきさん」は、「お水」関係の人っぽいな、という印象を感じた。その「みゆきさん」のパトロンか、あるいは気をひこうとしていた男性が、当時は珍しかった個人名のついたドメインを取得してくれた、という感じ。
「みゆきさん」当人は、多少、当惑していたが、あまり独自ドメインの意味もわからず、それでも喜んでいたのだと思う。
今でも思い出せるのが、3Dレンダリングされた「miyuki.com」という文字列のグラフィックである。

ただ、「みゆきさん」をウェブマスターにしたこのサイトは、一年続かなかった、というような覚えがある。「みゆきさん」本人が、あまりインターネットに興味がなかったのかもしれない。

このmiyuki.com、アクセスしてみればわかるのだが、今はもう個人サイトではない。whoisを確認すると、ドメイン管理会社として有名なenom社が所有権を保持しているようだ。

「miyuki.com」のようなシンプルで覚えやすいドメインである。インターネットがどんどん隆盛を極めていくのに比例して、欲しい人はたくさん出てきたであろう。ドメインは売られたのであろうか。

わたしが覚えている中では、「みゆきさん」は、日本国内で最初に、個人名でドメインを取った方だった、という記憶である。

まだ「サイバースクワッティング」などという言葉すらない時代であった。
今となっては「惜しかったな。あのドメイン、手放さなければ良かった」とお思いになられているであろうか。

そんなわけで、けっこう当時でも謎のサイトであったmiyuki.com。ご存知の方がいらっしゃいましたら、懐かしいお話と思ってくだされば幸い。
もし、もっと詳しい内情のお話をご存知の方がいらっしゃいましたら、コッソリとメールでお教えくだされば、とも。
posted by 結城恭介 at 08:00| 回想録