2017年09月27日

【日記】クーポン券

 細君はクーポン券のたぐいが大好きである。チラシ広告のクーポン券をマメに切り取っておいたり、スマホで表示できるクーポンを使える店を優先したりと、かなりのクーポン大好きっ子。

 わたしはと言えば、極度の面倒くさがり屋なので、そういったものは滅多に使わない。
 よく、店を利用するとカードにスタンプを押してくれて、一定数溜まるとなにか割引があったりプレゼントがある、というサービスがあるが、細君と交際前は、そんなもの、もらってもすぐ捨てていた。

 これには理由がある。わたしは、物との出会いはある意味、運命的なものがあると思っていたのである。なので、購買する店をひとつに決めたくなかったのだ。
 昔はアマゾンなどなかったから、欲しい商品を探しにいくつかの店を回る、などということは珍しくなかった。そこで「ピン!」ときた商品に巡り会ったら、しがらみなく、その店ですぐに自分のものにしたいのである。
 そういうとき、クーポンとか、スタンプサービスに囚われていると、自分の「買い物」の自由度が減ってしまう。「ピン!」ときた直感が酸化して錆びていってしまうように感じるのだ。

 こういう感覚は、けっこう若いダンスィにはあるようで、ある人に同じ話をしたときに、「そうそうそうなんだよね」と同意してくれたことがある。

 ところが細君はわたしとはまったく逆のタチ。目に見える形で安くないと嫌なタイプの吝嗇家なのである(つまり、ガソリンなどの経費を念頭に入れず遠くの店まで行ってクーポンを使って買う、といったタイプ)。

 交際当初は、わりとこの意見の違いでぶつかった。わたしは気に入ったレコードを見つけると、その店で買ってしまいたいタイプ。細君は「どこそこの店で取り寄せてもらえば、スタンプを押してもらえるよ」と言う。「俺は今買って、家に帰ってすぐ聞きたいんだよ!」とケンカである。

 現代で定期的にネットにあがる話題に「デートのとき、男性がクーポン券を使っていてガッカリしてしまった、という女性の話」があがるが、ウチはまったく逆。わたしがクーポンとかスタンプとか、そういうものを使いたくなくて、細君が使いたくてケンカになるのだから、時代が変わったのか、ウチがもとからおかしいのか、ちょっと可笑しい。

 交際期間を含めると、細君とは30年近く過ごしているわけだが、結局、折れたのはわたしの方だった。
 もう、クーポンもスタンプサービスも自由にして、という気持ちである。店も細君の裁量度を高くして、自分はもう適当でいいや、という感じ。
 ただ、レジで会計中、サービスカードを探して財布やカバンをひっくり返されるのはイヤなので、その前に「サービスカード使うなら出しといてね」と注意をするようにはしている。

 ひとつにはAmazonやヨドバシドットコムなどネット通販の隆盛と、それをスマホですぐ調べられるようになった現実が確実にある。
 昔の自分だったら、店頭で見て「ピン!」と来たらそこで買っていたが、今や検索するとAmazonやヨドバシドットコムの方が安いのだから、そうなると店頭で買うのはちょっとためらうようになる。
 買い物対象の知識も、あらかじめネットで調べるようになったから、店員さんに聞く必要もなく「せっかく丁寧に教えてくれたのだからここで買おう」という流れもなくなってしまった。
 リアル店舗は、本当に今、厳しい岐路に立たされているのだろうな、と思う。

 さて、先述の「デートのとき、男性がクーポン券を使っていてガッカリしてしまった、という女性の話」。まあ、うちの細君とは全然違う女性のタイプ、というわけだが、今どきのダンスィはきっと、三十年以上前のバブル世代のわたしより、要領良く、頭が良い子ばかりなのである。
 こういう時代に、持っているクーポン券を使わないという選択はない。そんなダンスィを莫迦にしていると、きっとあなたの婚期がバブルになると警告しておこう。

 わたしはクーポン券もサービススタンプも集めないダンスィだったが、そういうものにこだわる細君を見て(ケンカをしつつも)しっかりしているいい娘だな、と思っていたのである。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記