「あれっ? 思っていたより軽い……」
「【日記】DM30への期待と不安」の記事で、重さがDM200とそう変わらなくなってしまうことを危惧していたが、そう「重い」という感じがない。
これはDM30の「折り畳んでコンパクトになる」カタチがそう感じさせるのだろう。
同じ重さのものでも、持ち方によっては重く感じる。400グラムの重さの鉄球を指先で持てばそれは重いが、掌で持てばそれほどの重量とは感じない。そういう感覚。
これはカバンに入れたときにも顕著になる。

(上の黒く長いのが、ケースに入れたDM200。左下がシステム手帳で、その横にあるのがケースに入ったDM30)
DM100、DM200はクラムシェルの横長筐体のため、リュックタイプになるビジネスバッグの背中で折り曲がってしまうと嫌だな、という気持ちから、アクリサンデーという板を細工してカバンに入れ、DM100、DM200をそれでサンドイッチして運んでいる、ということを以前記した(写真の黄、緑、赤の板)。
しかし、DM30は折りたたみ筐体のためコンパクトである。システム手帳の横にスルッと入る。これなら、持ち出すときのちょっとした覚悟(しかしこれがけっこう大きい)が、DM100、DM200より少なそうだ。
試しに、「【日記】ポメラDM100 & DM200用キャリングバッグ」の記事で紹介した、DM100、DM200専用のキャリングバッグとして使っているHHKのカバンに入れてみたが、こんなに隙間ができる。

そしてちゃんとチャックもしめて持ち運びができる。この右側の隙間の分がDM30の「メリット」と言えそうだ。
そうそう、写真をごらんいただければおわかりのとおり、純正のケースも買ってしまった。これは本当にただのケースである。慰めに、タグに「pomera」と書いてあるだけ。チャックなのはDM200のケースよりいいと思うが(DM200のケースは磁石をつかっていた)、そのチャックでDM30に傷を付けてしまいやしないか気を遣うところだ。
さて、文章を打っていくと、確かに気にかかることも出てくる。カーソル移動、スクロールなどがそれだ。カーソルはしばらく点滅した後、点灯状態になって止まってしまう(説明書によるとこの状態は「スリープ」だという。ここがE-Inkのいいところか)。カーソルを見失うことも多そうだ。しかし、カーソルが止まってしまうのは(個人的な感覚だが)急かされている感がなくて、わたし自身は好きだ。
バックスペースやカーソル移動が、押し続けると数文字おきになってしまう。これにはいらつく人も多そうだ。が、わたしはこれも許容範囲だった。DM5よりよっぽどマシである。
DM200は、まあ、バッテリー駆動と重さいう点を抜かせば、絶賛できる執筆機だった。
それに比べれば、もちろん、このDM30はずいぶんアラが多い。無線機能も搭載しておらず、現実的に長文をPCに持っていくには、SDカードかUSBケーブルを挿抜してやりとりするしかない。Flash AirやQRコードは「できる」というだけで、現実的な選択ではないような気もする。
それでも、わたしがけっこう、このDM30を気に入ったのは、DM5の経験者だから、というところもあると思う。DM5はコンパクトさと軽量なところは非常に良かったが、CapsLockとCtrlの交換もできないし、もちろんCtrl-hでバックスペースもできなかった。液晶は見にくく、バックライトがないので、薄暗いところでは使えなかった。
DM30もフロントライトのないE-Inkだが、DM5ほどの見にくさはない。こうして薄暗い蟄居房で書いていても手元灯の明かりで十分書けて、雰囲気もよい。

このE-Inkだが、どうしてDM30に採用したのかなぁ? と疑問に思わないではない。一応、文章を表示したまま電源断できるのだが、電源を再投入すると、エディタ画面が消えて、一面にポメラロゴがババーンと出てくるので、ササッと続きが書けるわけではない。ここはロゴを出さずカーソルを再点滅させるだけ、とかいう工夫がほしかったところだ。
正直、E-Inkのいいところは、あまりこのポメラDM30では活かされていないと感じる。
あとはいちファイルの最大文字数がなぁ……。DM200では十万文字だが、このDM30はDM100相当の五万文字である(正確にはDM100は四万文字)。せっかく本体メモリを8ギガとおごったのだから、ここももうちょっとがんばってほしかったところだ。
DM200も最初は五万字だったのを、ファームアップで十万文字に改良したのである。このあたり、DM30もファームアップに期待してしまう。
さて、正直なところを書くと、DM5、DM100、DM200と持っていて、やっぱり一番使うのはDM200になってしまうのである。DM5はコンパクトで軽く持ち運びにはいいが、あまりに非力、DM100は電池駆動でいいが、DM200がある今となっては持ち運ぶ気にならない。
かといってDM200はヘビー級で、持って出た日には「なにか書いていかないともったいない」と強迫観念にとらわれることになる。
本機DM30は、わたしのようなユーザーのニッチに実にうまく切り込んだと思う。
もちろん、本当はもうちょっと軽い方が良かった。E-Inkも普通のバックライトつき液晶で十分、冒険する必要などなかった。
それでも、選択肢がこのDM30しかないのだから仕方ない。
総論として、いまだ折りたたみのDM2桁番代が現役で、それに満足している方は買う必要はないだろう。
また、初めてポメラを買う、という人にもお勧めできない。そういう方はハイエンドのDM200を買うべきだ。
わたしのように「DM100も経験済みで、今はDM200をメインで使っているが、持ち運びにはヘビーさを感じている。しかしDM5はちょっとね」という方は、買い換えを考慮してもいいかもしれない。
前回の記事で「個人の許容量による」というようなことを書いたが、それこそ昔っからのワープロユーザーなら、現在、DM30で指摘されている問題など「屁でもない」のである(笑)。
現代っ子ほど、本機DM30には文句たらたらだろうなぁ。
なお、これまでポメラの記事で再三指摘してきた禁則の甘さなどは、ぜーんぜん直っていない。ここはもう、直す気はないのだろうな。残念である。
まあ、しばらく運用してみて、そのうち思うところが出てきたら、またひとくさり感想など書いてみるつもりである。
タグ:執筆機
【日記の最新記事】