2018年07月14日

【日記】Youtube(動画サイト)の功

「功罪」の「罪」の方はもう、いろいろなところで、騒動が起きている。俗に言う「ユーチューバー」が、視聴回数目当てに過激なことをやり炎上するなどは日常茶飯のことになってしまった。
 なので、この記事では珍しく「功」の方に焦点を当ててみたい。
(といいつつ、実は最近、バーチャルユーチューバー「キズナアイ」ちゃんの大ファンになっていたりする。ふぁっきゅふぁっきゅー、カワエエ……)

 わたしはピアノ曲が好きだ。息子が帰天するまで、ショパンなどは甘ったるくて聞く習慣がなかったが、やはり「別れの曲」はいい。もちろん、ショパンの他の曲も素晴らしい。
 ピアノ協奏曲も好きだ。ラフマニノフ、グリーク、チャイコフスキー、そしてショパンなら第一。
 ピアニストとして好きなのは、やはりホロビッツを筆頭に、マルタ・アルゲリッチ、ラザール・ベルマン、ヴァディム・ホロデンコ、etc、etc……。

 わたし自身はピアノは弾けない。まったく。電子ピアノは家にあるが、鍵盤に触れたこともない。
 ただ、一流ピアニストの演奏を聴いて、「素晴らしいなぁ」と感銘を受けているだけの音楽好きのひとりである。

 そして、Youtubeなどの動画サイトのいいところ、「功」は――それとはまったく真逆、「下手くそな素人の練習演奏を聞けるところ」なのである。
 いやいや、揶揄したり、からかって言っているわけではない。真面目も真面目、大真面目。
 今、ピアニストとして活躍している名演奏家の人々も、最初っから上手かったわけではないだろう。最初のうちは、間違いも多く、聞くに堪えない演奏だったに違いない。しかし、そういった練習を聴けるのは、一部の人間だけなのである。
 それを知らない、わたしのような「一般音楽愛好家」は、「ピアノを弾ける人」、となると、きっと、名演奏家と同じように誰でもどんな曲でも弾けるのだ、と勘違いしてしまうのだ。

 言うまでもなく、そんなことはないのだ。
 誰でも、どんな名演奏家でも、最初は間違い、失敗し、やりなおしの繰り返しで上手くなっていくのである。そういうことを、Youtubeの素人演奏動画は教えてくれるのだ。
 そういった動画を公開している方々も、もちろん、今は下手くそでも、練習に練習を重ねて、ぐんぐん上手くなっていくに違いない。
 練習動画をアップしてくれているみなさんに、神さまの豊かな祝福がありますように!

 この、下手なピアノの練習動画のようなものこそが動画サイトの財産であるという考察は、いつか書こうと思っていたのだが、今回、自分がルービックキューブのスピードキューブにチャレンジし始めて、改めて強く感じたので記事にしてみた。
 というのも、キューブ動画をアップしている人々は、わたしの目から見て「上手すぎる」のである。フィンガーショートカットなども軽々とこなし、まるで魔法のように数十秒で六面を完成させてしまう。
 あれを見て「おぉすごい、自分もスピードキューブに挑戦してみようかな」と思う素人は、おそらく百人にひとりもいないだろう。みな「自分には無理だな」と諦めてしまう。
 スピードキューブ界は「アンバサダー」なども設けて、キューブ人口を少しでも多くしようとしているが、あなた方はピアノでいえば、すでに「名演奏家」なのである。必要なのは、間違い、失敗し、やりなおしながら、なんとか六面を完成させていく人が、だんだんと上手くなっていく過程を、一般の人に見せることなのだ。
 そういう動画をアップすることで、「これなら自分でもできるかもしれない」という人々が増えていくのである。
 この視点が、今のキューブ界からはスッポリと抜けている。

 どなたかのスピードキューブアンバサダーのブログで、講習会を開いたとき「ただ六面完成したいという人と、スピードを上げたいという人との温度差を感じた」という記述を拝読した。さもありなん、である。
 最初から魔法のようにキューブを回し、「誰でも一分以内でできるようになりますよ」というのは、ピアノで「展覧会の絵」のプロムナードを弾き、「いやこの程度、誰でも弾けるようになりますよ」と言っているのに等しい。謙遜は美徳だが、それによって「諦める」人も多いのだと知った方が良い。

 じゃあお前が端緒を切ってYoutubeに下手くそキューブ動画をうpしてみろよ、という声もあろう。そうだよな。「隗より始めよ」という言葉もあるし。
 よし、笑われないよう、sub60を切ったらうpすることにしよう(←だからこれがいけないんだって)
 真面目な話、今のキューブ界だと、遅いソルブの動画をうpしても、ただ「下手くそ!」という嘲笑コメントがつくだけだと思われる。そういう下地が存在する雰囲気があるから、キューブ界の人口が増えないのではないかなあ。まあ、若い人が多いからしかたないのかもしれないが。

 ピアノやキューブに限らず、なにかの芸路の練習風景を動画サイトにうpするというのは、その芸路の人口を増やすためには本当にいいことではないだろうか。
 人口増に悩んでいる芸路の先生などは、こういった意見があることを、ひとつ、ご考慮願いたい。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記