2019年08月07日

【日記】イケアにみる印象と実際

 もう10年以上も前になる。私の住んでいる地方都市からちょっと離れたところに、北欧家具の店「イケア」ができたのであった。
 特に家具を買う用事はなかったが、大きなショッピングモールも近いこともあり、その帰りに寄ってみたのである。

 なんとなく、北欧家具店ということで、根拠はなにもなのだが、品質も良く、古いものを大事に大切に使っていく、というような、そんなイメージがあった。
 通して見ていって、洒落た感じの家具が多いのが気に入った。
 日本での対抗店はニトリよりも無印良品という感じがした。なにより、デザインがシンプルでいい。
 いい感じのウォールランプがあったので、書斎での読書用にひとつ購入。家に帰って壁面につけてみると、なかなか具合が良い。


(こんな製品。左右のロッドの長さを調節したり、電灯部分を壁に向けて間接光にできる)

 ブログに載せているいろいろな写真からおわかりいただける方も多いかもしれないが、わたしは「めちゃくちゃ明るい室内」が苦手である。室内の灯りは間接光がよい。このあたり、イケアのウォールランプは「さすが北欧」という感じで良かった。いや、北欧だからということになんの根拠もないのだが、高緯度のイメージでね、あくまでイメージ。

 このウォールランプが、ある日を境に点灯しなくなってしまった。球切れだろうとIKEAへ行って、同じ型番のものを買って交換してみる。これで解決、と思ったら、あら、点かない。よく調べてみたら、なんと付属の変圧器の方が故障していた。


(換えの電球自体はIKEAでもまだ扱っていた。IKEAロゴがおわかりいただけるだろう。今はもうないかも。とはいえこれは規格品だからIKEA以外でも買える製品)

 ムダになってしまった買い物にガックリしながらも、ウォールライト自体はけっこうお気に入りのデザインであるし、イケアは北欧家具の店であるということから、そう廃版などすることもなく同じ製品を売り続けているだろう、修理もできるだろうと思い(イメージ先行。根拠なし)、問い合わせてみると――

「申しわけありませんが、弊社では修理サービスはいたしておらず、変圧器などのパーツのみ販売については行ってない状況でございます。該当のライトは廃番となっております。なにとぞご理解うけたまわりますようお願い申しあげます。これからもニケアをよろしくお願いいたします」

「がーんだな……」
 いや、ショックだったのは、ウォールランプがもう直せないからというより、わたしが勝手に持っていた「イケアは北欧家具の店だから、古いものを大切に使っていく品質もいい製品を出している」というイメージが、根底から覆されてしまったことであった。
 それまで興味がなかったので検索することなどなかっったのだが「イケア 品質」で検索してみると、あらら、あら、ふーん、そうか、そうなのか。

 北欧家具の店、ということで、勝手なイメージを持っていたわたしが悪かったのである。

 これでイケアと縁を切ったかというとそうでもなく、別のウォールランプを二種類購入したり、別の買い物をして、それが不良品で交換などもしている。
「そういう店」だと最初から思ってつきあえば、特段、腹をたてることもない。ウォールランプも「壊れたら修理はできない製品」と納得の上で使っている。

 その昔、わたしはソニー党であった。テレビ、ビデオ、レーザーディスクはもちろん、オーディオ関係や電話機、そのアクセサリまで、全部ソニーで揃えていた。
 今では誰でも「ソニータイマー」という言葉を知っているくらいだが、確かにソニー製品は一年を越えると良く壊れた。昔は街にソニーサービスの事務所があったので、数ヶ月に一回はなにかを持ち込んでいたものだ。

 そんなに故障ばかりするソニーのなにが好きだったのかというと、デザインなのであった。家電家電した他社のそれと違い、ソニーのそれはわりとシンプルで、多機能ではあってもそれを感じさせない美しさがあった。
 今は、ソニーが変わったのか、自分の感性が変わったのか、ソニー製品をそれほど美しいとは思わない。
 今はソニー製品をほとんど持っていないことは、以前「【昭和の遺伝子】VAIOのMPEGはなぜ駄目だったか」に記した。

 デザインに定評があると言えばアップル社の製品だが、これも自分は、アップルIIの頃から美しいと思ったことがない。どうもアップル社の製品のデザインと自分の感性は性が合わないらしい。
 実はマッキントッシュII Siを持っていた時代もあったが、OS的にも、あの「中身がブラックボックス」的な感じがイヤでメインで使うことは一度もなかった。


(書斎の隅に放置されていたマッキントッシュII Si。自分でもこの記事を書くまで、持っていたことを忘れていた)

 わたしのプログラマ、エンジニア仲間で「マックが好き」と本心から言っている人は一人もいない。これが類友なのか、(本当の意味の)ハッカー連中の本心なのか。まあそれは触れないでおこう。

 モノにつけ人につけ、持っていた印象と実際が違うことなど、珍しくもないことである。
 イケアはイメージ戦略がうまくいった例だと思う。実際の品質は良いとは言えないのに、わたしのような「それでもいいや」という顧客を得ることに成功している。

 ソニーはイメージ戦略はうまくいっていたが、実際の品質の悪さに顧客を手放した例として、アップルは(極めて個人的にだが)イメージ戦略に落とされなかった例としてあげてみた。
 こういうのも人それぞれだろう。だからこそ世界はおもしろいし、うまく回っている。

 わたしが細君に持っていた最初の印象も、実際とは違っていた。
 これはそのうち、別記事で触れよう。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記