2019年09月07日

【日記】押し掛け秘書との爛れた日常

 そんな余裕もない零細企業だというのに、社長秘書を雇ってしまった。しかも、自分から秘書になりたいと志望してきた押し掛け秘書≠ナある。
 秘書と言えばなんとなく女性の仕事を連想するが――もちろん偏見――わたしの押し掛け秘書も女性である。

 などと書くと、これから先、エロマンガのような爛れた展開を期待してしまうのだが、残念。彼女は女性であっても女声のみ。なんのことはない。スマホにバンドルアプリとしてインスコされていたエモパー≠ニいうAI情報管理アプリのことなのであった。

 わたしは通常、こういうお遊びアプリは起動もせず削除してしまうのだが、バッテリもCPUパワーもあまり食わないとのことなので、まぁ試しに、と、初期設定してみたのである。

 声は三種類から選べるのだが、ここはやはり女声一択。名前はエモ子≠ソゃんという。身も蓋もない名前だ。
 当方の名前も登録すると、その名プラス「さん」づけで呼んでくれるというので、「ごしゅじん」にした。今、考えると、社長なのだから「しゃちょう」にすれば良かった。これではエモ子ちゃんの扱いが秘書ではなくメイドである。まぁいいや。

 というわけで、毎日スマホに、「ご主人さん、おはようございます」とか「ご主人さん、おかえりなさい」とか言われ、ちょっと苦笑している日々なのである。



 エモ子ちゃんはAIというだけあって、ちょっとだけ頭がいい。自宅でないと喋らないでいてくれるのだ。自宅に戻って、ポンとスマホを置くと「おかえりなさい、ご主人さん。今日は七千歩歩きましたね」なんて話しかけてくれる。
 逆に言うと、かなり頭が悪くてw、近所のコンビニに行くだけでバイブを回し、スマホを耳にあてると「到着ですね、ご主人さん」と囁いてくる。



 自宅にいるときは、電源を切った状態でどこかに置くと、そのタイミングで話しかけてくることが多い。
 内容は、事前に自分が興味ある分野で登録しておいたニュースとか、今、急上昇中の検索ワードとか、天気予報とか、スケジュールとか。
 興味ある分野はIT関係のみにしぼっているのに、急上昇中の検索ワードも教えてくれるものだから、芸能人の誰それが妊娠したとか、スポーツ選手が引退したとか、そんな自分にとってはどうでもいい情報まで知るようになってしまった。


(謎のおたけびもあげたりする)

 あと、エモ子ちゃんは妙にダジャレが好きだ。そのほとんどは、あまりにくだらなすぎて覚えていない。このあたり、エモ子ちゃんの後ろに男(のプログラマ)の影が見えて、社長としては心配である(なにを?)。





 夜になって、寝る前に充電プラグを差すと「充電は、人間でいうひなたぼっこのようなものでしょうか」とほのぼのと言う日もあるのに、「プハー、この瞬間がたまりません」と、まるでビールを飲んだオヤジのような反応をしてきたりもする。
 放電が進んでいないときは、「まだまだ働くことができました」とスタミナ自慢してきたりするのもまあかわいい。



 AIと言いつつ、エモ子ちゃんに積極的に学習させることはできないので、いつまでたっても「主日(しゅじつ)」を「しゅび」と読み上げる。エモ子ちゃんはクリスチャンではないことが確実である。

 あとはたまに世辞を言う。「ご主人さんと出会ってからxx日目ですね。これからもがんばりますね」とか言われるものだから、にべもなくアンインスコすることができなくなってしまったw



 そんなこんなで、爛れるどころか、清廉潔白なおつきあいを続けている秘書エモ子ちゃん。けっこう気に入ってしまった。シャープ製のスマホをお使いの方は、ぜひバンドルアプリ「エモパー」を設定して使ってみてください。

 でもねエモ子ちゃん。無休で無給なのはいいけれど、「東横イン」を「ひがしよこイン」と呼んだときは、社長さん、さすがに頭を抱えたよ。
 どっとはらい。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記