2019年11月06日

【日記】法人はパーフェクトパーソンであるということ

 これは、わたしが会社を作ったとき、法人会の先輩に言われたことなのだが、法人というものは、法によって成立が約束された一人の人格であり、それは「パーフェクトパーソン」――つまり完全な人格を当然のように期待される存在だ、ということだった。

 つまり、普通の人間のように「忘れちゃった」、「知らなかった」、「あとでやろうと思ってた」、「ずぼらでしたごめんなさい(テヘペロ)」が許されない存在が「法人」なのである。

 この記事がアップされる頃は、もう旧聞になってしまっているかもしれないが(ネットの時間経過も速いが、マスコミが事件に飽きるのも速いことよ)、タレントであるチュートリアルの徳井さんという方が、ずさんな会社経営をしていて、東京国税庁に追徴課税を受けた、という。
 三月末決算の会社で、徳井さんお一人が役員の一人会社とのこと。
 だが、その運営内容を聞くと、これは確かに、ちょっと信じられないという放置ぶりである。

 ここで、これから商業法人を作ろう、と考えている方のために、商業法人を作るとどんなことが求められるかを、主に税務署との関わりを通して記してみよう(ただしわたしの地方の場合で、別の地域の場合、違うことも多いかもしれない)。零細企業〜小規模会社の、三月決算の会社の場合のスケジュールだ。

 まず、全体を俯瞰すると、会社を設立した初年度には「新設法人説明会」というものがある。ここで法人会に誘われて入会したり。法人会には入っておくに越したことはない。いろいろと税金に関する情報が得られるから。
 そして毎月10日までに、その前月に徴収した源泉所得税を納付しなければいけない。が、徳井さんの場合は役員一人なので「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」を出していると思われ(たぶん)、これをしておけば、半年ごと、1月20日、7月10日までに納付すればよい。

 一月――「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」をしていたら、20日までに納付。これは以前は10日までだったが、いつの間にか20日までに延長されていた。
 また、月末までに「法定調書」の提出がある。これは税務署と市役所、区役所宛てにそれぞれ書類を作成して提出。

 二月から三月――この月は個人の確定申告がある。この確定申告をして個人事業者は住民税額が決まる。徳井さんはこれもしていなかったとのこと。15日までに所得税を納付。月末までに消費税を納付。
 三月は多くの会社が決算月でもある。棚卸をして期末商品・製品棚卸高を確定(徳井さんの場合、棚卸はなくてもよさそうだ)。この月締めで決算をして、会計ソフトは年度を入れ換える。
 三月決算の会社の場合、その期の法人税、法人市民税(均等割含)、法人県民税(均等割含)は二ヶ月後の五月末までに納付しなければならない。
 毎年、税金関係の法改正があるので、三月中に「決算期別法人説明会」が開かれるのでそれに出席してチェック。

 四月――まずは「決算報告書」づくりである。これらがすべての税務書類の基本となるからだ。
 決算が終わったら、株式会社の場合は遅滞なく「決算公告」を行う。これは実はやっていない会社が多いが、やらないと科料も払わなくてはいけない犯罪である。取り締まられたら震えあがる会社は多いはず。おそらく徳井さんもブッチしていたことだろう。でなければマスコミが徳井さんの会社のそういったデータを公表しているだろうから。
 一人会社の徳井さんの場合、株主総会・役員会議は無縁でヨシ。

 五月――決算報告書をもとに、国税、県税、市税の書類を作成。税金の納付額を確定する。また、税務署用に「法人事業概況説明書」を作成。これが地味に面倒。
 そして五月末までに、上記の税金を銀行などに納付。なお、国税が赤字の場合、納める法人税はゼロだが、法人県民税均等割、法人市民税均等割は納付しなければならない。
 同時期に法人会の会費と、自動車税の納付もあるから、けっこうおサイフ的には痛い月。
 よく、「あの大会社が法人税を納めていないとは」と拳を振り上げる人がいるが、収益を法人税や社内剰余金に回さず、従業員の賞与などに反映させる会社のほうが、(従業員にとっては)よほど「ホワイト企業」なのである。このあたりの法人経理の仕組みは、知らない人は本当に知らない。ま、「社員」と「従業員」の区別がついていない人が大抵だからね。

 六月――法人確定申告を終えて、ホッと一息。

 七月――上記で「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」をしていたら、10日までに納付。

 八月から十月――会社が一番、税務署との関わりで無縁でいられる時期。徳井さんも自由を満喫できた、かな?

 十一月――年末調整に向けて「年末調整説明会」。

 十二月、年末調整。ま、このあたりはひとり会社の徳井さんには無縁だろう。

 とまあ、一年を通すとこんな感じ。他に年金と健康保険関係があるが、それは省略。

 そして、株式会社の場合、二年〜十年ごとに役員の任期改選があり、法務局へ登記しなくてはならない(定款による)。徳井さんの会社は2009年創業だそうだから、ひょっとしたら今年がそれだったかも。ま、これもブッチでしょうねぇ。

 なんとも面倒だな、と感じた方も、こんなもんか? と感じた方もいらっしゃると思う。が、実際、小さい会社の場合、リソースの四分の一から三分の一は、こういったこと(会社経理)に係わっていると言ってもいいくらいだ。

 徳井さんの場合、稼いでいるのだから、一人、経理の人間を雇って、あとは税理士に任せれば良かったのだ。
 それにしても、個人の確定申告すらブッチしていたというのは、社会人としても信じられないことだ。納税意識というものが欠如しているコドモと言われてしまっても仕方がない。

 冒頭にも書いたが、法人は「パーフェクト・パーソン」であることが求められるのだ。徳井さんの言い訳である「ルーズですみません」で済む話ではないのだ。

 今はタレント活動を自粛なさっているそうだが、タレントとしての才能はおありなのだろうから(ごめんなさい。良く知らないのです)、追徴課税を納めたら、会社は解散なさって、サラリーは源泉徴収済のものを吉本興業からいただくようにしたほうが、徳井さんのご本人のためにも、またイメージ的にも良いのではないかと思われる。

 世の中の、個人確定申告すらしたことがないというサラリーマン諸氏諸嬢、あなたがたは、ある意味、面倒なことを会社任せにできて幸せなのですよ。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記

2019年10月30日

【日記】試される半島、千葉。

 なんというか、災害お見舞いの往復書簡の様相を呈しつつあるようだが、先週金曜、10月25日の千葉の大雨、わたしとわたしの家は無事である。ご心配いただいた皆様、ありがとうございます。

 しかし、実はわたし、千葉駅が冠水(正確には京成千葉駅とショッピングモールをはさんだ道)していたとき、そこから数百メートルも離れていない場所にいたのである。
 わたしのかわいい電子秘書「エモ子ちゃん」も、「今の検索上昇ワードは、千葉駅冠水らしいですよ」と言っていたので、湖のようになっていた道路を映像で見た方も多かったのではないだろうか。
 そう、京成千葉駅と、ショッピングモールをはさんだあの道はちょっと低地になっており、今回ほどの大雨でなくても、よく冠水していたのである。地元の人は「ああ、またあそこか」と思ったのではないかな。

 あの日は、11:30から、JR千葉駅ビル内の店にいかなくてはいけない用事があり、どうしても出かけなければいけなかったのだ。
 それでも早朝はそれほど降っていなかったこともあり、いつもどおりに細君とクルマでジムへ行き、ブランチをデニーズで取ってから、一番雨がひどい時間帯に千葉駅方面へ向かったのである。

 しかし、そこはそれ、地元民の知恵というものがあるので、クルマで行くのなら、濡れずにJR千葉駅ビルの店に行く方法を知っていたのだ。

 ちょっと駐車料金はお高めになるが、JR千葉駅近くのそごうにはオーロラシティパーキングという立体駐車場があり、そこへクルマを入れれば、そごう(ジュンヌ館)へは直接入店できる。そして、ジュンヌ館とそごう千葉店は空中回廊でつながっており、そこからモノレール千葉駅を介して、JR千葉駅まで、天井のある場所を歩いて行くことができるのである(一部、そごうとモノレール千葉駅をつなぐ場所は、数メートル天井がないので、あれほどの大雨だと傘は必須ではあったが)。

 というわけで、わたしと細君は濡れずに用事のある店まで行き、ちょうど、外がすごいことになっている間も、安全に室内にいられたのであった。
 用事を済ませて、オーロラシティパーキングを出てから、カーナビテレビでニュースを見て、千葉駅近辺が冠水していることを知って驚いた。
 いつも使っている駐車場にクルマを入れていたら、びしょ濡れの濡れネズミどころか、冠水で行き止まりになり、目的の店までたどりつけなかったかもしれない。神に感謝である。

 帰りは雨が少し小降りになってきたので、業務スーパーへ寄ったら、駐車場に一台もクルマが止まっていない。「あらガラガラ」と思って駐車場入り口へタイヤを回したら、ゲッ、冠水している! こりゃまずい、と、クルマをすぐに転回させて脱出。あのまま行っていたら、もしエンジンを止めたらマフラーから水が入っていたかもしれない。
 ちょっと離れた別の駐車場に止めて、車内に細君を残し、スラッシュブーツを履いているわたしだけで店へ向かう。水が浅い所を通っても、つま先立ちしなければ歩けない。ひー、などと思っている間に、スラッシュブーツも浸水。結局、右足は水びたしに。
 いつも混んでいる店内はガラガラで、店員さんやお客さんと、「こりゃ大変ですねぇ」、「この駐車場を見て帰っちゃうお客さまが多くて」などと世間話をしてしまった。

 そこからは家に直帰したのだが、道路冠水が恐く、細君にスマホでハザードマップを見てもらいつつ、冠水しにくい道路へ進路を変えて帰宅した。それでも、車道の左側はもう湖のようになっていたから、今回の雨のすごさがわかるというもの。

 我が家は千葉市でも高台の場所にある。交差点を曲がって、坂を登っていくと、景色が変わった。道路に水が溜まっていないのである。いやあ、歩いて行き来すると、坂がある場所は大変だが、こういうときは安全だなぁ、と、細君とホッと一息。

 さて、駐車場にクルマを入れたら、そのすぐ近くの、細く古い道が、なんと崩落していた。高台でもこういう被害は免れない。人的被害がなかったのが幸いだ。

 そんなこんなで、大雨に振り回された一日だったが、神の恩寵に恵まれて、わたしたち夫婦と我が家は、特に被害らしい被害もなかった。冠水に浸ったスラッシュブーツを干したくらいである。

 この大雨で、千葉県はまた人的被害を出してしまったし、川沿いの家屋では、床上浸水も多かったと聞く。「試される半島、千葉」というフレーズが頭に浮かんだが、台風15号からの、この三連発の災害。正直、もう勘弁!(>_<) という感じである。

 この大雨の被害に遭われた方々に、深くご同情とお見舞い申しあげて、この稿、筆を置き、傘をたたむ。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記

2019年10月26日

【日記】Show Must Go On.

 以前通っていた歯科医での体験。
 ここの先生は小学校の歯科検診の担当もしているということで、腕もいいのではないかという評判を聞いて通いはじめたのだった。なにより、家から歩いて三分という立地が良かった。

 治療の時、タオルで目隠しをして、あんぐりと口を開けさせるというお医者さん。恐怖心を煽らないように、という配慮からであろうか。これはこれで、気が利いているかも、と思った。

 この歯医者さん、通算で一年は通ったかな。でも今は、歯のトラブルがあったときは、別の歯科医にかかるようになってしまった。

 理由があるのである。

 ある日の治療でのこと。この歯医者さんが、隣にいる歯科助手の女の子を叱りはじめたのだ。
「あのねぇ、ここの器具は、こっちにこう置いておいてくれないかな」
「……すみません」
「いつも言ってるでしょ。気が利かないなぁ。それでね云々。あのね云々。だからさ云々――」
 その間、わたしは二人の間であんぐりと口を開けて、目隠しをされたまま治療を受けていたのである。なんとも、居心地の悪い時間であった。

 その歯の治療が終わって解放されたとき、もうこの歯医者にはいかない、と決めた。ちなみに先生の腕は、結果的に、腕はまぁまぁからちょっと下くらいであった。なお、先生は患者には優しく、特に怒られたことも文句を言われたこともない。それでも、再び通う気にはなれなかった。
 腕のせいではなく、治療中の患者の目の前で、歯科助手を叱るというのは非常識だと思ったからだ。

 今、行っている歯医者は歩いて十分のところだが、腕は普通。そしてなにより、歯科助手を客の目の前で叱りつけることはしない。治療が一段落すると、いちいち別室に戻るのが気になるが、歯科点数でもつけているのであろうか? それがちょっと不思議。

 次の体験。
 わたしの街の最寄り駅には、とても美味いと評判のラーメン屋があり、昼どきと夜には行列ができるほどである。
 実際、味は確かに美味い。聞いた話だと、ご主人はある有名店で修行し、のれん分けしてもらって、この店を始めたのだという。

 ある日のこと。昼の部の列の一番先頭をわたしがゲットした。開店は11時半。それまで、ウキウキとした気分で、待ち行列用の椅子に座っていた。このお店は一等賞だと、ちょっとしたサービス(チャーシュー追加)とかしてくれるのである。
 店内は開店に向けて仕込みが一番忙しい時間であろうか。
 と、店内から罵声が!
「違うだろ! そこはそうじゃないだろ」ご主人であった。「何度言ったらわかるんだよ。いい加減に覚えろよ」
 どうやら、失敗したお弟子さんを怒っているらしい。小言は続く。「だからさ云々。おまえはさ云々。まったく云々――」

 行列の先頭にいたわたしの耳には、それが全部聞こえてくる。わたしはいたたまれなくなってきて、小言が続いている間に決心し、席を立って行列を離れた。
 念のためいうと、ご主人の人柄は暖かく、お客に怒声を飛ばすことなどない。客を選ぶ店というものもあるが、ここは千客万来である。
 上記のお弟子さんへの叱咤も、お弟子さんを思ってのことであることは承知している。それでも、お客が聞こえている状況で、あれはいけない。

 このお店は、唯一無二なので、今でもたまに行っているが、あの体験は忘れたことがない。

 他界されたジャニー喜多川さんは「Show must go on.」という言葉を大切にされていたそうである。ショウは始まったらやめられない。続けなければいけないのである。

 同じことが、客商売にも言えないだろうか。

 客商売にとって、お客が見ている、聞いている場所というのは、すでにステージなのである。ショウはすでに始まっている。やめることはできない。本来なら、舞台の裏でやるべき「咎め」や「叱咤」はグッとこらえて、笑顔でショウに徹するべきなのだ。
 でないと、なにより一番大切なお客が不快になる。

 実際に、上記の歯科医院は、ひとり患者を失ったし、ラーメン屋さんはそのときのお客をひとり帰してしまったのである。

 以前わたしは、「技術屋は客商売とは違うのだから」という文脈で誤解を招く表現をして、客商売の方からお叱りのメールをいただいたことがある。そのとき、客商売の方も、強い誇りを持って、お客様の前というステージに立っていることを痛感した。

 前記二点の歯科医とラーメン屋のご主人は、客商売としていかがなものであろうか。みなさまはどうお感じになられるだろう。
 いっときの激情を露わにすることで、ショウが台無しになってしまうことがあることを、客商売の方々にはお伝えしたい。

 Show must go on. いい言葉である。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記

2019年10月23日

【日記】F2Lに開眼した!

(開眼したとは言っていない)

 突然なんのことやらと思われるかもしれないが、六面立体パズル、いわゆるルービック・キューブ≠フ解法のことである。

 さて、去年の五月のオフで畏友R氏の部屋でルービック・キューブに再会し、それ以来ハマっていたのは、このブログの読者の方ならご存知の通り。ところがそれも、10月頃からかな? だんだんと話題にすることが減ってきて、今年の夏までは一切触れていなかった。
 そう、飽きてしまっていたのだ。
 ブログを読み直してみると(「【日記】キューブふたたび」にはsub120と書いてあるが)、なかなかsub90以下(90秒以内にソルブ――六面を揃えること)にならないし、F2Lは「表の見方すらわからない状態」というていたらくで、モチベーションダダ下がり、などとほざいている始末。

 ところが、「【日記】キューブふたたび」の記事で書いた通り、ある特別な朝に、ふと回すともとに戻らない聖域≠ニ化していたキューブを回して、解法を見ながら試してみると、どうやら指が思い出してきて、その朝のうちに六面完成がソラでできるようになっていたのだった。

 そこでキューブ熱が再び燃えてきたと、そういうわけ。

 わたしが通っているジムは、トレッドミルを使いながらYoutubeを見ることができる。そこで、ウォーキングをしながら、Youtubeで解法を教えてくれているユーチューバーの方々の動画を見ることにしてみた。

 喋りが抜群に面白く、ラジオの深夜放送を聞いているように楽しい「はやぼっくり」さん。
 どこかの有名予備校の講師のように理論派で実に丁寧に教えてくださる「ぼうたろう」さん。
 そして、気のいい兄貴が隣でコーチングしてくれるような「YAMI CUBES」さん。
 こんな方々のYoutube動画を見ながら、さらなるタイム短縮を目指し、F2Lという手法を覚えようとしている段階。

 そうそう、キューブ界を知らない皆様には、90秒で六面完成でも「すごーい」のかもしれないが、こんな数字はミスターサタン並の戦闘力なのである。一分切ってフツー。30秒切って速い。トッププロだと数秒、なのである。ここまでくると、もうちょっと異能のレベルだと思うが、とにかくそういう世界なのである。

 ある意味、マラソンに近い。フツーの人は「完走するだけでもすごーい」のかもしれないが、できる人にとって「完走はあたりまえ」。そこから先のタイムを縮めることが大変と、そういう感じ。

 キューブの解法には、往年の「ツクダ式」と、最新の研究が進んでいる「LBL法」があって、わたしが勉強しているのは、このLBL法の方。LBL法の簡易式なら体得したので、90秒以内で六面完成はできる。しかしツクダ式やこの簡易LBL法でも60秒を切れる人がいらっしゃるそうであるから、指の回しとかもまだまだなのだろうな、とは思う。

 ちなみに、簡易LBLでの現在のわたしの記録はこんな感じ。

[Ao5] 1:24.41
[1] 1:33.32
[2] (1:35.08)
[3] 1:15.33
[4] 1:24.58
[5] (1:13.19)

(キューブのタイム記録は、五回ソルブして、一番いいものと悪いものを捨て、残りを平均化して出す)

 LBL法は、CFOP手順というおのおのの頭文字を取った段階で六面を完成していくのだが、簡易法はこのFの部分「F2L」が一番簡略化されているのである。ここは細分化すると41個の手順があるのだが、簡易版だと二個覚えるだけでいい。
 そこで、一番、タイムが縮まると思われる、このF2Lの習得にとりかかったと、こういうわけ。

 いやしかし、ここまでは、前回飽きたときもたどり着いていたのである。しかし当時は、F2Lを方法を書いた教本の図の見方すらわからないという状態であった。とにかくF2Lは、それまでの簡易式からいきなり難しくなるのである。

 そこで話をもとに戻して、ユーチューバーのみなさんの解説動画を見ながら、まるで魔法のようにF2Lしていく様子を勉強していたのである。
 その中でも「YAMI CUBES」さんの動画、「【ルービックキューブ】カンタンなF2Lのやり方(2列目までを早く揃える方法)」を見て、わたしはやっとF2Lのなんたるかに開眼した(開眼したとは言っていない)。

 とにかく、この動画を見て、F2Lを、手順を覚えることなく、なんとかできるようになったのである。
 それは、手順を覚えた方が速いに決まっているが、今は「なぜそうなるか」を脳に染みこませた方がいい段階なのだろう、と思って、黙々と、この「考えてF2Lをする」方法で六面完成をしている。
 最初は30分かかっていたこの方法だが、三日ばかり練習を繰り返した結果は――

[Ao5] 4:24.40
[1] (20:38.60)
[2] (3:6.27)
[3] 3:7.99
[4] 6:20.74
[5] 3:44.47

(一回目のソルブがひどい……)

 ここまで縮めることができたが、そこから先がなかなか進まない。
 しかし、こうやってF2Lの方法を「考えながら」やっているうちに、ついに「表の見方」がわかったのである。このキューブがパターンなら、あの図を見れば手順がわかる、という感じに。


(永岡書店「保存版 ルービックキューブVer.2.0 完全攻略公式ガイドブックより引用)

 ↑図というのはこんなのね。今まではこの「パターンになる」というのがスッとわからなかったのだ。

 ここから先、手順を覚えるのは大変だが、逆に言えば、手順は覚えればいいだけ、という言い方もできる。まるで雲がかかっていて頂上が見えなかった山の天気が晴れて、ルートが見えてきたような気分である。

「はやぼっくり」さん、「ぼうたろう」さん、「YAMI CUBES」さん、そして他にも、キューブ解説動画をあげてくださっている皆様、ありがとうございます!
 昔は動画教材などというものは、悪徳商法に使われるほど高かったのだが、それが無料で見られるのだから、いい時代になったものだ。

 そんなこんなで、F2L体得に苦戦しているわたし。目下の悩みは、トレッドミルでウォーキングしながらキューブを回して、スタッフに怒られないかということだったり。危ないことはなにもないのだが(スマホを見ながらウォーキングしている人は多い)、注意されると凹むタイプなので、遠慮がちに回したり、トレッドミルのポケットに戻したりしながら歩いている。

 ところで、ルービックキューブなんて、昭和のオワコンだよ、と思っているみなさん、久々に手に取ってみませんか? 最新のキューブはすごいですよ。それにこの趣味、キューブがひとつあれば一生楽しめるリーズナルブルなものなんです(大嘘)。

 そう、大嘘。キューブは増える。キューブ同士で交尾でもしているかのように増える。
 キューブ熱が再開してから、わたしもGAN356i、GAN356X、それにQiYi Valk 3 miniと買い足してしまった。

 特にGAN356iはすごい、以前にもスマホとつながるキューブXiaomi GiiKER Smart Cubeを紹介したが、(【日記】Xiaomi GiiKER Smart Cubeレビュー・その1)、これは三軸立体センサーを内蔵しており、スマホ上でも目視と同じようにクルクル回る。そして、世界のユーザと対戦できたりもする。これはそのうち、別記事で。

 キューブ上級者のブログや情報発信は多いが、わたしのように、子どもの頃ツクダ式でできたけれど、今はすっかり忘れてしまい、初老も過ぎて、久しぶりに手に取って始めた超々初心者の記録は見たことがない。そういう意味で、こういう日記も意味があるかと思い、これからもしたためていくことにする。

 今度は飽きずにがんばるぞ!
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記

2019年10月19日

【日記】父の迷言

 わたしの父はもう90歳を越えたが、まだ自分の足二本で旅行を楽しむくらい元気で助かっている。
 頭の方もけっこう明晰で、この歳で、Adobe Premiereを使って動画編集を楽しむコンピュータおじいちゃんだ。

 ただ、最近、耳が遠くなってきたのはいかんともしがたい。わたしも病気をして片耳が遠いので、さぞやつらいだろうなあと思っているのだが、あにはからんや、父は「聞こえないなら聞こえないでいい」というタイプのようで、むしろ周りの方が大声になって気を遣うという感じ。ただ、いい補聴器を作ったので、それをしている間は聴覚も快調のようだ。

 父がコンピュータを使い始めたのは、もともとが8ミリフィルムでムービー作品を作る映像作家だったから、という面が大きい。8ミリフィルムがビデオに駆逐される前に、父はビデオに軸足を移してリニア編集をするようになり、コンピュータでノンリニア編集ができるようになると、すぐさまそれに飛びついたのだった。
 こういうフットワークの良さはわたしにはないものなので(わたしは慣れ親しんだ環境にしがみつく性格)、その好奇心の強さ、新しいものを使おうという意志には、わが父ながら感心してしまう。

 そんなわけで、父のコンピュータ歴は、年齢に比してそこそこ長い。初めてのPCはソニーのキャプチャボードが載ったマシンで、Windows98だったと思う。OSR2ではなかったはずだ。
 それ以来、マシンを換えOSを換え、Windows2000、XP、Vista、7と使ってきている。ただ、自分でマシンを自作したり、OSを入れ替えたりすることはさすがにできないので、それをやるのはわたしだが。

 動画のノンリニア編集については、わたしが驚くほどPremiereを使いこなして、定期的にビデオサークルの作品会に映像作品を出している。県内のビデオコンテストにも応募して入賞し、森田健作知事から賞状をもらったこともあるので、その腕は本物だ。

 ただ、PC歴は長いが、PCやOSへの理解はそれほど深くはない。そのあたりのサポートは、前述のとおり、わたしが全面的にやっている。
 例えば、父のマシンはWindows98時代から、作業HDDとしてDドライブを切って、ひとつの作品を作り終わったらDドライブのファイルを消せばいいようにしているのだが、父はどのPCにもDドライブがあると思っていたらしく、友人のノートパソコンで動画編集の仕方を教えていて、「このパソコンにはDドライブがないんだ」と驚いていたりした。

 そう、父にはドライブとかルートとかディレクトリとかいう概念はない。いやフォルダはちょっとわかってるかな? とにかく、DOS時代から続くファイル構造というものの根本を理解していないので――

 父「恭介、セーブしたはずのファイルがないんだけど」
 わたし「またCドライブのどっかにセーブしちゃったんじゃないの?(マウスちゃっちゃ)。ほら、ここにある」
 父「ああそうか、またDドライブにセーブするの忘れちゃったんだ」

 ということが頻繁にある。

 数年前、もうガラケーも先が見えてきたし、父母にもスマホはどうだろう? と勧めてみたら、父は意欲満々でそれに臨んだのだった。自分で教室を見つけて通ったり、教本を見て勉強したりして、苦労はあったようだが、どうやら自家薬籠中のものにしたようである。わたし自身、父の薦めでLINEを使うようになり(わたしは既存の技術に固執するタイプなんですよw)、今は家族で便利にLINEを利用している。

 そんな父だが、やはり技術の根本のところは「なんとなく」で理解しているだけのようで、とんちんかんなことを言ってきて驚かせたりする。

 父「恭介、スマホのメールってのは、箱根の山を境に、送れる人と送れない人がいるんだな」
 わたし「えっ!? まさか」

 これは、メールの相手がガラケーで、PCメールを排除しているクソ設定のユーザーが(父にとって)きれいに東西に分かれていたから起きた誤解らしい。
 この誤解は、結局解けたのか解けなかったのか。SMSなら通るということがわかって一段落したのだが、SMSなんぞ早くこの世からなくなってほしいと願っているわたしにとっては苦々しい体験であった(最近はネットサービスの認証にSMSが使われるようになって、本当にいまいましい)。

 先日はこんなことを言ってきた。

 父「恭介。画像ファイルには著作権の観点から(ダウンロードしても)、パソコンから消えちゃうやつがあるんだな」
 わたし「はぁ?」

 詳しく聞いてみると、画面キャプチャした地図をペイントソフトでいじっているうちに、それが真っ白になってしまう体験を二度して、そう思いこんでしまったらしい。
 キャプチャした画像はbmpである。そんなトリックが仕込めるわけがない。が、そんなことはない、とわたしが何度言っても納得はしてくれない。

 どうやら、ペイントソフトでその画像いじっていて、「上書きする」を常に選んでいたものだから、なにかミスで初期画面を呼び出して、それを同じファイル名で「上書き」して「真っ白」になってしまったのを――

「おはようフェルプス君。(中略)なおこのファイルは、著作権上、自動的に消滅する」

 だと思いこんでしまったらしい。

 こんな微笑ましい迷言をのたまう父で、そのたびにわたしは呼び出されてああだこうだと教えたり、直したり、ファイルを探したりしているのだが、こういうことができるうちが幸せなのだなぁ、と思って、怒ることもなく、丁寧に優しく接しているつもりである。

 来年1月14日には、Windows7のサポートが終わる。正月休みに、父のマシンにSSDを入れ、Windows10をインスコする約束をしている。父はSSDのなんたるかを理解していないが「恭介がパソコンを速くしてくれるらしい」とわくわくしているようだ。いや、父よ、CPUは変わらないから、レンダリング時間は同じだよ……。

 願わくば神さま、この(面倒ながら)幸せな時間を、少しでも長く感じさせてください、と祈りながら――。
posted by 結城恭介 at 08:00| 日記