2023年10月25日

【映画評】「北極百貨店のコンシェルジュさん」

 トレーラーで知ってから、最近流行のアニメとはなにか違う香りを感じ「この映画は観たい」と思っていた。



 原作は西村ツチカ先生のマンガである。映画を観る前に予習しておきたいと、そちらも購入。全2巻である。



 で、拝読して、上記の「なにか違う香り」に納得。
 おそらく、皆様も原作をお読みいただければわかると思うのだが――


(西村ツチカ「北極百貨店のコンシェルジュさん」1巻より引用)


(西村ツチカ「北極百貨店のコンシェルジュさん」1巻より引用)

 どちらかというとスタティック――静的で独特な、アニメーションで動かすのは難しそうな絵柄なのだ。
 しかし、トレーラーでは実に綺麗に動いている。そしてアニメ全編も見事に西村ツチカ先生のキャラが走り、跳び、回っているのであった。

 ストーリー――秋乃は北極百貨店の見習いコンシェルジュ。ここでは人間の店員が動物のお客様を相手にサービスをしている。特にVIA(ベリー・インポータント・アニマル)こと絶滅種のお客様は大切だ。
 今日も今日とて、秋乃はお客様に振り回されて、失敗して落ち込んだり、気持ちも新たに張り切ったり、うまくお客様を満足させてホッとしたりしている。
 そんな秋乃を応援する先輩や、叱咤するフロアマネージャー。冷酷な表情も見せるリストラ執行人≠フ男らにもまれ、彼女はコンシェルジュとして成長していく。

 このお話は、ファンタジーであり、寓話である。
 旧約聖書にはこうある。

 神は彼らを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ。海の魚、空の鳥、地の上を這う生き物をすべて支配せよ。」(創世記 1:28)

 そして新約聖書で、イエス・キリストは旧約を刷新し、新しい教えを人々に伝える。

 あなたがたのうちでいちばん偉い人は、仕える者になりなさい。(マタイによる福音書 23:11)

 すべてを支配するものではなく、仕えるものになりなさい、というのがイエスの新約なのである。

 だというのに、人間は多くの動物を絶滅させてきた。その罪滅ぼしのためにつくられたのがこの北極百貨店なのだ。


(西村ツチカ「北極百貨店のコンシェルジュさん」2巻より引用)

 カトリック的に言えば、地獄と天国の間にある「煉獄」ということになろうか。
 だからこそ、この北極百貨店では、多くのVIAに人間がサーバントとして仕えているのである。
 ラストがクリスマス(イエス生誕の記念日だ)、そして原作とは違い、最後に店に飛び込んでくる、ある動物=\―このあたりも象徴的だろう。

「はっきり言っておく。心を入れ替えて子供のようにならなければ、決して天の国に入ることはできない。(マタイによる福音書 18:3)

 こういった考察は面白い。が、原作でもアニメでも、そういったバックグラウンドにはほんの少ししか触れられていない。ラストで北極百貨店からカメラが引いていき、それが都市ではなく、鬱蒼とした森の中に、まるで「創造された楽園」のようにポツンと作られているのを見て、初めて「あれ?」と思われた方もいたのではないだろうか。

 原作もアニメも、主軸に置かれているのは、見習いコンシェルジュ、秋乃の成長物語である。



 70分と尺は短いが、その中にギュッと面白味が詰まっている作品だ。
 なにより、貧乳スレンダーの秋乃が、ハイヒールの音も高らかにフロアを走り、くるくる回り、立ち、お客様の目線にまでかがみ、表情豊かに微笑み、涙を落とし、笑顔を見せるのが、実に楽しい。
 アニメではシークエンスがはしょってあって、意味が通じにくかったシーンもあると思うので(たとえば、ラスト近くで先輩たちが秋乃にプレゼントを渡すところなど)、そういう方はぜひとも原作の方も併読していただきたい。

 本当に正直なところを言ってしまえば、大画面で観なくてもよい映画だとは思う。70分の尺に2,000円は高いと考える方がいるのは当然だろう。
 ただ、この作品が将来サブスクに入ったら、二回、三回と重ねて観たい映画だな、という感想を持ったのも確かである。


(大きなタペストリーも)

 考察は横に置いておき、ほんわかとした気分で映画館を出たわたしである。この優しい気持ちを、あなたにも。
posted by 結城恭介 at 08:00| 書評・映画評

2023年10月21日

【書評】「休日限定彼女」2巻

 いなばみね「休日限定彼女」(1〜2巻:以下続刊)



 わたしのTV・TSモノ好きアンテナにピンと引っかかった本作。しかし、むしろ現代では「ありがち」なTV・TSモノとは違っていて、真っ正面からのラブコメなのであった。ちょうど2巻が10月20日に発売になったタイミングでご紹介。

 ストーリー――椎名春子は「可愛い女の子好き」なOL。かといってレズビアンというわけではない。ただ、おしゃれをしている可愛い女の子を見たり、一緒の時間を過ごすと気持ちが癒されるという性癖。今日も今日とて、会社の後輩たちの相談を受け、とても充足した時間を過ごして……と思っていたら、最近、その輪にイケメンの松井譲が割り込んでくるのである。女子社員たちはもちろん、イケメン松井の方にいってしまうので、春子のイライラはつのるのであった。
 ところが春子は休日のカフェで、その松井が別のテーブルで「気になる人がいるから別れたい」と、女性をふる瞬間を見てしまう。彼女に頭から水をかけられる騒動になり、このことは皆には黙っているから、という春子に、松井はこう言うのだった。


(1巻より引用)

「つきあってほしい」という松井に、春子は突拍子もない条件をつきつける。


(1巻より引用)

 なかば断るために言った言葉だったが、松井はめげなかった。翌週、メイクも濃くみっともない女装姿で、カフェにいた春子の前に現れる松井。翌日からは会社で女装姿を写したスマホを見せ春子にアドバイスを乞うようになる。
 業を煮やした春子は松井とコスメ他のショッピングへ。カラオケボックスでメイクをほどこすと――もとが整った顔立ちの松井だけあって


(1巻より引用)

 これには春子もノックダウン。そして、休日に女二人(ただし一人は女装の男「ゆず」)でデートをするという、奇妙な仲が始まったのであった。

 さて、わたしのTV・TSモノ好きは公言して憚ざるところなのだが、本作を読んで、これはなにか、微妙に(わたしの性癖との)ラインが違うのだな、ということがわかった。これは別に本作の魅力を一片もくさしているのではない。むしろ、こういうラインもあるのか! という驚きをわたしに教えてくれたのだ。

 春子の「レズビアンではないが、可愛い女の子好き」という性癖は、確かにあるということは聞いたことがあるし、わたしの理解の範疇でもある。なのでそちらに驚いたわけではない。

 虚を突かれたのは、この松井君は、決して喜んで女装をし「ゆず」に変身しているわけではないということにだ。ただ、春子に気に入ってもらいたくて女装をし、その実力をあげているということ。自分の女装姿に「これが、俺!?」となる定番のシーンはあるが――


(1巻より引用)

 しかし、それ以上の深みにははまっていかない。

 いやこれが、これこそが「現実」というものなのだなぁ、と。あまたのTV・TSモノを読んできたわたしは、春子と一緒にノックダウンされてしまった。そうだよね。普通の男は、進んで女装したりしないし、自分の女装姿に惚れこんだり、その姿で同僚に好かれても「トゥンク」したりはしないのだ。
 そういうTV・TSモノばかり読んできたわたしは、「現実」を忘れて、ファンタジーのTV・TSモノの方を「ありがち」と思うようになってしまっていたのだなぁ。

 少しネタバレだが、2巻では、上記に書いたように「ゆず」に恋してしまう同僚が出てくる。



 だが、けっして「ゆず」としての松井君はそれにときめいたりはしない。むしろいろいろあって、春子への恋慕を自分で決定的に意識してしまったりするのである。

 春子も、女装までして自分に気に入られようとする松井君に、心が揺れてきている。
 いなば先生の描線は、女性向けラブコメの優しさ、柔らかさで、ページをめくっていていやみがない。

 ストーリーはこの先、春子が「ゆず」ではない松井君にはたしてときめくようになるのか!? というあたりで3巻に続く、である。



 本作はTV・TSモノではない。王道のラブコメである。いやしかし、わたし、王道のラブコメも三度の飯より大好物。これはこれでおいしい!

 この先、春子が「ゆず」ではない松井君に思慕を持つことができるのか。女装デートの行方はどうなっていくのか。目を離せない展開である。
posted by 結城恭介 at 08:00| 書評・映画評

2023年10月14日

【書評】太らせたい!

 過日、話題作「妻は僕を太らせたい!」を拝読。そうしたら、ツンドクしてあった「僕は君を太らせたい!」も読みたくなって、その日は「太らせたい!」ディになってしまった。
「妻は――」は出たばかりの新刊。「僕は――」は5年前の作品。内容もストーリーも全然違うので書店で混同することはないと思うのだが、これだけタイトルが似ている作品はそうそうないと思うので、ぜひともこの2シリーズをあなたの本棚に並べて置いていただきたく、失礼ながら、両シリーズをひとつの記事でまとめた次第。今回はボリュームアップでいきますぞ。

 ではまずホットな新刊の方から。

 原作:栗栖ひよ子/漫画:すずの志侑「妻は僕を太らせたい!」(1巻:以下続刊)



 ストーリー――大屋太一は社畜のリーマン。日々のストレスもあって食が細く、ガリガリの体躯をしている。そんな彼とお見合いをしたのは、実家が食堂を営んでいて、自身も料理が得意な柚子ちゃん。プロポーズはなんと彼女のほうから。



 なんとなれば、なんと柚子ちゃん。



 なんと、ガリガリの太一くんを太らせたいという愛おしさ(プラス、子どもの頃に出会ったこともあったので)から――



 ということなのだ。
 というわけで、食の細い太一くんのために、柚子ちゃんはあれやこれやと工夫をして、手作りの料理を振る舞うのであった。

 この微笑ましいエピソードが、わたし自身の新婚の頃を思い出してしまい、とても楽しくなってしまった。
 実はわたしも、細君と結婚するまでガリガリだったのである。「食」というものに興味がなかったこともあり、長編を一本書くと簡単に5、6キロ痩せてしまう。BMIは19を切っていたと思う。

 一方、細君は食べるの大好きな人。そして料理好きのメシウマ妻。ストレスがかかると、わたしとは逆に、食べてそれを解消するタイプ。
 交際中、雑誌の姓名診断で自分の名が「この名前の人は太りやすい」と書かれていて、細君、ショックを受けていたほどだ。

 そんな思い出を重ねて、本作はとても愉しく最後まで一気に拝読してしまった。
 また、本作は同じエピソードを「妻視点」、「夫視点」から描くという面白い試みを行っており、それが相乗効果となって、とても成功している。



 妻視点では「お料理レシピマンガ」、夫視点では「ほのぼのラブコメマンガ」として楽しむことができ、二人の愛情が育っていくのを優しく見守っていけるという構造だ。



 今のところ、柚子ちゃんの思惑通りに太一くんは太っていかないようだが、まあ太ってしまったらお話が終わってしまうし、しばらく太一くんにはまだガリガリでいてもらおう(笑)。

 でもね、柚子ちゃん。心配は無用。森高千里さんの曲ではないけれど「わたしがオバサンになったら、あなたもオジサンよ。カッコつけたこと言ってても、おなかが出てくるのよ♪」である。

 そう、結婚当初、31年前はガリガリだったわたしが、今やダイエットに苦しみ、凹まないおなかにげんなりしているようにね(笑)。

 柚子ちゃんはそんなに待てないかもしれないが、二人の愛情がより深まっていきますように! 続刊を優しい気持ちで揃えていこう。



 さて、次は――

 原作:茸本朗/漫画:横山ひろと「僕は君を太らせたい!」(1〜4巻:完結)



 こちらは「妻は――」と違って、ほのぼのという感じはなく、むしろシチュエーション的には緊迫した状況下なのだが、キャラクターのコメディ描写と、怒濤の豊富なサバイバル(野食)知識の波に、やはり楽しんで四巻一気にいってしまった。

 ストーリー――日本は未曾有の謎の疫病に襲われていた。人々は倒れ、死に、治療法もわからないまま翻弄され、社会システムは崩壊し、残された者たちは暴徒と化したり、また、飢えにあえいでいた。



 そんな世紀末的状況の中、都田貿易のいち社員である木野耕一は、上司である都田エリとともに(名字でわかるとおり、エリは都田貿易の社長令嬢でもある)、エリの父親がいる神戸を目指す旅に出ている。
 耕一はこの限界状況にあって、持ち前の野食(サバイバル)知識で、ヘビ、カエルそのほかの動物、そして野草を調理し、エリにも食べさせる。



 最初は抵抗していたエリも「生きるために」その野食を食べるようになるのだった。
 そんなエリに、耕一は言う――



 と――

 こう書くと、まるで、さいとうたかを先生の「サバイバル」のようだが、ひょうひょうとした耕一のキャラ設定と、茸本先生のユーモアセンスあるストーリー展開、横山先生の柔らかなペンタッチのおかげで、読者はそれほど危機的なものを感じない。
 そう、本書の主眼は「サバイバル状況を生き残る」ことではなく、あくまで野食のバラエティなのである。

 しかも、わたしはエリのころころ変わる可愛い表情が気に入ってしまって、読んでいて実に愉しかった。


(1巻より、ミドリガメを初食中)


(2巻より、ウナギが取れた瞬間。しかしこの後……(笑))


(全巻通して主張していますw)

 一話終わるごとに茸本先生の野食の解説が入るのだが、正直、素人には「毒のある食べ物とそうでない物」を見分けるのすら大変だ。これはあくまで知識として知っておいて実践はあまりしないほうがいいのかもしれない(笑)。

 物語はエリが実は……というところで引っ張り、4巻を読んでいて飽きるところがない。
 野食は昆虫食まで描写され、エリは最後まで抵抗しつつも、食べると――



 となる。けっこう食いしん坊な彼女である。

 ネタバレになってしまうので書かないが、最後の巻で盛り上がり、エリが……するところは、なかなか感動だ。その後の笑いも実にうれしい笑いである。
 はたして「僕は君を太らせたい!」と耕一が願ったエンディングはどうなったのか、それは読者諸氏諸嬢の目でお確かめいただきたい。

     *     *

 かたや「愛する旦那様を太らせたい!」というラブコメディ。かたや「好きな女性を太らせたい!」というサバイバルコメディ。ベクトルは違っても目的は一緒というテーマのお話。
 どちらも甲乙つけがたい面白さである。

 このシリーズ二作を読んだあとは、なんとなく、チョモラン先生の「あの人の胃には僕が足りない」を読みたくなり――


(チョモラン「あの人の胃には僕が足りない」(1〜6巻:完結))

 さらには原作:酒井音太先生/作画:恩田チロ先生の「姉のおなかをふくらませるのは僕」――


(原作:酒井音太/作画:恩田チロ「姉のおなかをふくらませるのは僕」(1〜4巻:完結)。なお、作画が内藤らぶか先生に変わった続編「おかわり!」2巻(完結)もある)。

 と読みたいマンガが広がる不思議さもあったり。しかも全作、全然お話のベクトルが違うというのも面白いよね。

 あなたに「太らせたい!」愛する人がいらっしゃるのなら幸いである。
 いらっしゃらない方は、そうだなぁ。やけ食いしてお腹を出して、わたしとダイエットに励みますか!
posted by 結城恭介 at 08:00| 書評・映画評

2023年10月11日

【書評】「かさねと昴」2巻

 山田金鉄「かさねと昴」(1〜2巻:以下続刊)



「あせとせっけん」で一躍その名を馳せた山田金鉄先生の新シリーズのテーマは、さらにニッチな(笑)性癖を狙う「高身長女装男子」である。
 以前からマンガのTV・TSモノがお好きだったという山田先生がこのテーマをどう料理していくのか、今日10月11日は2巻の発売日。さて、そのお手並みやいかに。

 ストーリー――柴田かさねはおもちゃ会社のグラフィックデザイナー。ある日、事故で同僚の榎田昴(すばる)のお尻を触って(揉んでw)しまったことから、彼のことが気になって仕方がない。なぜなら彼のお尻の柔らかさが、彼女にとって特別、快いものだったからである。
 これってセクハラ寸前(寸前?)という後悔から、昴に謝るかさね。だが、その「お尻事情」を話すと、昴はおびえた様子で逃げ去ってしまう。
 実は昴には、誰にも内緒にしている「趣味」があったのである。それはなんと「女装」。


(1巻より引用)

 その告白を聞いても、かさねはひくことなく、むしろ素敵だと受け止める。そして二人でお出かけをすることにしたのだが――

 というあたりでも、まだ1巻のさわりの部分である。

 2巻では(ちょっとネタバレになってしまうが)、さっそく「男女の恋愛として」つきあうことになった二人。



 本作、ちょっとオドオドしながら女装をする昴のキャラが印象強いかもしれないが、わたしは相方となるかさねの方がより気に入ってしまった。
 なにより、その表情がコロコロと変わるのが可愛らしい。







 物怖じしないで一直線に昴に気持ちをぶつけてくるかさね。それを(お尻の柔らかさのように!?)受け止めていく昴。
 本作、「女装」は主軸ではなく、まぎれもない男女間のラブコメディなのである。

 本巻ではコスイベントと、もう一人の女装男子を絡めて、より二人の距離が近づいていく様子を、笑いあい、涙あり、また爆笑ありで進めていく。

 ただ、普通のラブコメなら、最後は結婚で結ばれ子どもができて(「あせとせっけん」のように!)――というエンディングが想像できるのだが、本作はそれが読めない。
 わたしの予想としては、二人ともウェディングドレスを着て、昴がかさねをお姫様抱っこし……などと妄想を走らせているのだが、この先、職場へのアウティングや社会的なTV、TS、GIDの問題は避けて通れないかもしれない。
 そういった種々のハードルを二人がどうやって乗り越えていくのか、本当に楽しみだ。

 ところで、本作とは少しベクトルが違うが、やはり女装男子と純女の恋愛を描いたマンガが近作にもある。いなばみね先生の「休日限定彼女」がそれだ。



 こちらは、男の方が「好きで女装している」わけではないのだが、シチュエーションが似ているので、本作「かさねと昴」をお気に召した読者の皆様はこちらも楽しめるかもしれない。本作も今月20日に2巻が発売である。

 してみると、世の中、女装男子と純女の恋愛シチュが認められつつあるのかもしれない。
 わたしは、女装男子とその友人(♂)がくっつくシチュが主食なので、そのあたりはデザートとして楽しんでいるのだが、わたしが、当時林立していたMtFTGのウェブサイトを毎日巡回していた90年代後半に比べ、だいぶ社会の理解も進んだなぁ、という思いがする。

 わたし自身の「女装観」も変わったかもしれない。昔は、綺麗な女装はOK、すぐ男バレする、ある意味「醜い」女装はNG、と考えていたが、最近はこの「醜い」という感覚は、ただの「違和感」に過ぎないのではないかと思うようになってきた。
 このあたりはうまく言語化できたら、そのうちひとつの記事にしたい。

 とは言え表4のアオリ――



 これはないw ないからねww
posted by 結城恭介 at 08:00| 書評・映画評

2023年10月07日

【書評】「メイドは恋する蜂谷くん」2巻

 小森チヒロ「メイドは恋する蜂谷くん」(1〜2巻:以下続刊)



 わたしのTV・TS(*1)好きアンテナに引っかかった本作。昨日10/06に2巻発売のタイミングでご紹介。
 ちなみに連載誌は「ちゃおデラックス」である。考えてみるとすごいよね。アラカンが「ちゃお」連載のコミックスを読んで楽しめてしまう時代なのだから。
 ひと昔前だったら、おじいちゃんが孫と一緒にマンガ読んでる状況ですよコレ(笑)。

(*1)TV:トランスベスタイト、異性装。TS:トランスセクシャル、性転換。


(女の子のためのNo.1少女まんが誌! おじいちゃんは読んじゃダメ?)

 まあ、出版業界に足を突っ込んでいる者は、書店でも女性向け雑誌や少女マンガのコーナーに普通に入っていって、売れセンの状況を頭に入れたりするものだが、それでもこうやって、少女マンガ成分百パーセントの本作を迷いもなく購入できるのは電書のいいところかもしれない。

 ストーリー――蜂谷聡実くんは15歳の高校一年生。片思いしていた花園さんに意を決して告白するが玉砕。なんとなれば、花園さんにはすでに親が決めた婚約者がいたのだ。その相手はクラスメートの池貝樹くん。これが頭脳明晰スポーツ万能のスパダリなのである。
 しかし花園さんはまだ池貝くんのことをよく知らず、彼に恋しているという状況ではないようだ。
 そこで蜂谷くんは一計をたてる。ちょうど蜂谷くんの妹が応募して採用された、池貝家のメイドに自分が女装してすり替わり、池貝くんをオトす。そして花園さんとの婚約を破棄させてしまおうという作戦だ。
 うまく池貝くんつきメイドになった女装蜂谷くんの奮闘ぶりやいかに――。

 そしてこのツインテにした蜂谷くんが可愛いのなんの!


(1巻より引用)

 そして池貝くんをオトそうとがんばるわけだが、この池貝くんが、裏表のない本当にいい男の子なのだ。そんな池貝くんの人柄に触れ、蜂谷くんが逆にキュンとしてしまうのが実に楽しい。


(1巻より引用)


(1巻より引用)



 蜂谷くんも根はいい奴なので、池貝くんを裏切れなかったり、好きな花園さんが池貝くんのことを知りたいと思い始めたのを応援してしまったりして、結果的に二人の仲を近くしてしまったりする。

 そして2巻最後には、蜂谷くん、ついに池貝くんとあんなことを!
 このヒキはぜひとも、本作を手にとってお確かめいただきたい。

 わたしの希望としては、この先、「池×蜂」の推しカプでハッピーエンドなのだがw 少女マンガだけに、やはり最後は蜂谷くんと花園さんがくっつくのかなぁ。
 いやしかし希望はある。なんと、ヒロイン花園さんは――



 まだ名前すらわからないのである! 本編のヒロインは、女装蜂谷くんと言っても過言ではなかろうて!!

 小森先生の描線は明るく生き生きとしていて、蜂谷くんの表情が実に豊か。読んでいて本当に楽しい。この先、お話がどう展開してくのか期待大。
 女装蜂谷くんに懸想してしまう別の男性キャラとかが出てきても面白そうだし、池貝くんと花園さんがくっつきそうになって、蜂谷くんが「池貝くんに」嫉妬したりしたら、もうたまらんですよw

 ちゃお系で、TVでBL(かなぁ?)という新機軸に挑戦している小森先生をこれからも熱く応援していきたい。



 あー、女装蜂谷くん可愛いなぁ。いっそ取っちゃおうよ(なにを!?)
posted by 結城恭介 at 08:00| 書評・映画評