
原作は西村ツチカ先生のマンガである。映画を観る前に予習しておきたいと、そちらも購入。全2巻である。

で、拝読して、上記の「なにか違う香り」に納得。
おそらく、皆様も原作をお読みいただければわかると思うのだが――

(西村ツチカ「北極百貨店のコンシェルジュさん」1巻より引用)

(西村ツチカ「北極百貨店のコンシェルジュさん」1巻より引用)
どちらかというとスタティック――静的で独特な、アニメーションで動かすのは難しそうな絵柄なのだ。
しかし、トレーラーでは実に綺麗に動いている。そしてアニメ全編も見事に西村ツチカ先生のキャラが走り、跳び、回っているのであった。
ストーリー――秋乃は北極百貨店の見習いコンシェルジュ。ここでは人間の店員が動物のお客様を相手にサービスをしている。特にVIA(ベリー・インポータント・アニマル)こと絶滅種のお客様は大切だ。
今日も今日とて、秋乃はお客様に振り回されて、失敗して落ち込んだり、気持ちも新たに張り切ったり、うまくお客様を満足させてホッとしたりしている。
そんな秋乃を応援する先輩や、叱咤するフロアマネージャー。冷酷な表情も見せるリストラ執行人≠フ男らにもまれ、彼女はコンシェルジュとして成長していく。
今日も今日とて、秋乃はお客様に振り回されて、失敗して落ち込んだり、気持ちも新たに張り切ったり、うまくお客様を満足させてホッとしたりしている。
そんな秋乃を応援する先輩や、叱咤するフロアマネージャー。冷酷な表情も見せるリストラ執行人≠フ男らにもまれ、彼女はコンシェルジュとして成長していく。
このお話は、ファンタジーであり、寓話である。
旧約聖書にはこうある。
神は彼らを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ。海の魚、空の鳥、地の上を這う生き物をすべて支配せよ。」(創世記 1:28)
そして新約聖書で、イエス・キリストは旧約を刷新し、新しい教えを人々に伝える。
あなたがたのうちでいちばん偉い人は、仕える者になりなさい。(マタイによる福音書 23:11)
すべてを支配するものではなく、仕えるものになりなさい、というのがイエスの新約なのである。
だというのに、人間は多くの動物を絶滅させてきた。その罪滅ぼしのためにつくられたのがこの北極百貨店なのだ。

(西村ツチカ「北極百貨店のコンシェルジュさん」2巻より引用)
カトリック的に言えば、地獄と天国の間にある「煉獄」ということになろうか。
だからこそ、この北極百貨店では、多くのVIAに人間がサーバントとして仕えているのである。
ラストがクリスマス(イエス生誕の記念日だ)、そして原作とは違い、最後に店に飛び込んでくる、ある動物=\―このあたりも象徴的だろう。
「はっきり言っておく。心を入れ替えて子供のようにならなければ、決して天の国に入ることはできない。(マタイによる福音書 18:3)
こういった考察は面白い。が、原作でもアニメでも、そういったバックグラウンドにはほんの少ししか触れられていない。ラストで北極百貨店からカメラが引いていき、それが都市ではなく、鬱蒼とした森の中に、まるで「創造された楽園」のようにポツンと作られているのを見て、初めて「あれ?」と思われた方もいたのではないだろうか。
原作もアニメも、主軸に置かれているのは、見習いコンシェルジュ、秋乃の成長物語である。

70分と尺は短いが、その中にギュッと面白味が詰まっている作品だ。
なにより、貧乳スレンダーの秋乃が、ハイヒールの音も高らかにフロアを走り、くるくる回り、立ち、お客様の目線にまでかがみ、表情豊かに微笑み、涙を落とし、笑顔を見せるのが、実に楽しい。
アニメではシークエンスがはしょってあって、意味が通じにくかったシーンもあると思うので(たとえば、ラスト近くで先輩たちが秋乃にプレゼントを渡すところなど)、そういう方はぜひとも原作の方も併読していただきたい。
本当に正直なところを言ってしまえば、大画面で観なくてもよい映画だとは思う。70分の尺に2,000円は高いと考える方がいるのは当然だろう。
ただ、この作品が将来サブスクに入ったら、二回、三回と重ねて観たい映画だな、という感想を持ったのも確かである。

(大きなタペストリーも)
考察は横に置いておき、ほんわかとした気分で映画館を出たわたしである。この優しい気持ちを、あなたにも。








































