2023年09月30日

【書評】「日曜日のいちごちゃん」3巻

 チチカカ池「日曜日のいちごちゃん」(1〜3巻:完結)



 あぁ、09/29発売のこの最新3巻で完結である。わたしの命の糧のひとつが終わってしまった……。それだけ、このシリーズがお気に入りだったのだ。ちなみに、2巻発売時の書評はこちらに。

 ストーリー――日曜日ごとに、クラスメートのイケメン、如月葵君とデートを続けている美少女、いちごちゃん。その正体は、学校では冴えない男の子。山野一太君が女装した姿なのである。



 しかしいちごちゃんは知らないが、葵君は最初から、いちごちゃんが一太君であることを見抜いていたのだ。
 それでもいちごちゃんの可愛らしさに惚れてしまって、つきあっているのである。



 最初は、葵君を振り回しているつもりだったいちごちゃんだったが、次第に、自分の中の恋心を自覚するようになってきて――。

 というわけで、2巻までは、いちごちゃんの天然な可愛さ満点のストーリーだったが、この3巻では、少しシリアスな展開もあったりする。
 キャラそれぞれも成長して、いちごちゃんも少しふっくらした体型から、よりスマートに。恋をしたから、かな?



 今まで、葵君を振り回してきたいちごちゃんが、葵君への思いを自覚してから、ふたりの仲がギクシャクしていくのに読者としてヤキモキ。これまでの「いちごちゃんかわョ!」一辺倒から一転、「いちごちゃん、葵君、がんばれ!」という気持ちに。



 しかもそこに、いちごちゃんの正体を見抜いた上で、割り込もうとするライバルキャラなども出てくるものだから――



 もうこの先、どうなっちゃうの!? とハラハラ。
 しかしチチカカ池先生、抜群のストーリーセンスで、この風呂敷を綺麗にまとめてくださいました。



 最後はもう、べったべたにあまーいスィートハッピーエンド。
 ああもう、いちごちゃんと葵君の未来に幸あれ!

 今こそ言うぜ、俺は、この言葉を。「てぇてぇ!」

 そして1〜3巻をもう一度通して読んでみて、わたしは今、とても幸せな気分に浸っているところである。
 チチカカ池先生、とても素敵な作品をありがとうございました!!

 竹屋まり子先生の「女心@男子高校生」も、かなりわたしの性癖にグッサリ刺さる作品であったが、本作「日曜日のいちごちゃん」も、同じくらい刺さる。致命傷であるw

 自覚はしているのだが、わたしはTS(性転換)、TV(女装)したキャラに、友人が恋してしまうというシチュエーションがたまらなく好きらしい。
 どちらのキャラに感情移入しているのかはわからない。ヒロイン側だとしたら、自分のナルシシズムが投影されたオートガイネフィリア≠ゥもしれないし、彼女に恋する側だとしたら、そういう性癖(これに名前がついているのかどうかはちょっとわからない)なのかもしれない。

 ところで、こういう、可愛い男の娘×イケメンのカップルというのは、BLには入らないのかな? 以前も書いたが、こういう話を橋頭堡にしてBLを楽しもうとしているのだが、やはりイケメン×イケメンというのは、ATフィールド展開、心に刺さるものがないのだよなぁ。

 まっこと、むずかしいもんぜよ。人の心というものは。

 ま、いいや。
 今夜は寝る前、また本作を最初から3巻通して読んで、いい夢を見ようっと!
posted by 結城恭介 at 08:00| 書評・映画評

2023年09月23日

【書評】「美人すぎる女装刑事 藤堂さん」

 藤珠こと「美人すぎる女装刑事 藤堂さん」(1巻:以下続刊)



 TS、TVモノ好きのわたしのアンテナにピピッときた話題作。さっそく拝読したらとても面白く、すぐ二周回読み返してしまったくらい。

 ストーリー―― 「婦女暴行の現行犯ッ!! 全員確保ォ!!」と、美女の口から(たぶんこのときは)野太い声が響いた。



 飛び出してきた警官たちに、たちまち捕まる犯人たち。お前は何者だ? という犯人の誰何に、美女はこう言うのだった。



 なんと、女装した刑事だったのだ。
 なかなかしっぽを出さない婦女暴行犯の犯人たちをおびきだすために、六曲署ではおとり捜査を計画。しかし婦警をおとりに出すのには世間の大問題になりかねない。
 だが、それをいいアイデアと誉めたのが、藤堂刑事課長であった。


(ばばーん! 常に逆光を背負っているらしい)

 と、ピンとひらめいた婦警が、別室へ藤堂を連れていき、そして現れたのは――



「美人すぎる女装刑事 藤堂さん」誕生の瞬間であった。
 そして藤堂さんは署内の男性刑事を骨抜きにしながらも、その容姿をフルに使い、次々と事件を解決していくのである。

 上のコマでもわかるとおり、藤堂さんの真の姿は逆光で見えない、上背もあるように見えるのだが、女装すると一回り小さくなりw それはそれは可愛い女性になりきってしまうのであった。
 一番バレそうな声も――



 ということで、女装時には完全に(見かけ)女の子になることが可能なのである。

 わたしのTSモノ分類にあてはめると、これは第一世代(持ち前の容姿が良く、なにもしなくても女性に見える)と第二世代(なんらかのファンタジー要素が加わって性転換する)の中間になるだろうか。

 こうして「美人すぎる女装刑事」藤堂さんは、若手刑事の三上とバディを組み、女性にふらちな犯罪を犯そうとする連中を一掃するために活躍する。

 あっ、もちろん本作は、スラップスティック(ドタバタ)コメディマンガである。為念。

 わたしが好きなのは第4話。なんと水着回である。言葉で云々するより、引用画像で藤堂さんの可愛さを堪能していただきたく――


(ほとんど少女マンガのヒロイン登場シーンw)


(ぽぇぽぇ♥)


(思わずあのあたりを確認してしまいますね。どう収容しているのでしょう……?)

 そして藤堂に恨みを抱くヤクザの組長なども登場し、これが意外な反撃をしてきたりして、もうニマニマ、クスクス、爆笑が止まらない。
 このあたりはネタバレしたくないので、ぜひ、藤堂さんの女装の可愛いさにヤられた読者諸兄諸姉は、本書を手にとってご確認いただきたい。

 水着回の他にも、メイド喫茶回、花火大会回と、藤珠先生のサービス精神に舌をまかされる。この先、温泉回やクリスマス、初詣、バレンタイン回などもあったりするのだろうか。

 ちなみに藤堂さん、この容姿にして――いや、これは第3話のオチのネタバレになるので書かないでおこう(笑)。

 そしてこの一巻のラストのヒキが見事。がぜん二巻も読まなくては、と、この先が気になって仕方がない。

 藤珠先生の筆致は、藤堂さんの可愛さはもちろんだが、それでいて勢いがよく、ストーリーもスピード感があって、読んでいてつまづくところがない。

 この「美人すぎる女装刑事 藤堂さん」、多くの方の目に触れてブレイクすれば、23時台の連ドラになってもおかしくない秀逸なアイデア、そしてストーリーだと思う。そう、おそらく、アニメよりもドラマがあう。

 わたしの希望は、藤堂さんは橋本環奈さん。脳内でリプレイして楽しんでいたり。男声のところだけは吹き替えで。
 この先、シリアスな回があっても良いし、わりと自由の利く舞台設定なのではないだろうか。目利きの利くドラマプロデューサー関連の方には、一読をお勧めしたい。

 まあなんだかんだ言っても――



 この「ぽぇぽぇ♥」な藤堂さんの笑顔にやられちゃったんですけどね、わたし(笑)。

 追記:「【朗報】本作のボイスコミックが公開」である。URLはYoutubeのココ。ぜひとも本書と併せてお楽しみを!
posted by 結城恭介 at 08:00| 書評・映画評

2023年09月20日

【書評】「あの世のタスク」3巻

 子新唯一「あの世のタスク」(1〜3巻:完結)



 佑と鬼希の二人と続けてきた旅も、この3巻で終着駅だ。
 過去ログに「1巻」「2巻」の紹介もしてあるので、本作未読の方はそちらも併せてどうぞ。
 なるべくネタバレをしないよう書いているので、おそらく、本作を揃えて、本棚に並べたくなるはずだ。

 ストーリー――現世の事故で地獄行きの電車に乗った二階堂佑は、その効率厨≠フ腕を美少女の鬼、鬼希に買われ、冥界の働き方改革に手を貸すことになった。


(1巻より引用)

 数々の小地獄の「非効率」を、持ち前の効率を追求する姿勢で次々と解決していく佑と鬼希のバディ。


(2巻より引用。あの有名なカンダタの蜘蛛の糸まで)

 そして3巻は、八大地獄のひとつ「衆合地獄」の処刑場「刃葉林」の改革勝負から始まる。


 この「刃葉林」という処刑場。Wikipediaによれば――

 刀で出来た林(刀葉林)があるのが特徴。上には絶世の美女が「抱いてほしい」と誘惑するが、上るたびに刀葉林で切り裂かれる。苦労して上っても美女は下に移動しており、永遠に出会うことは無い。

 という、悲惨な中にもちょっとコメディ的な要素があったりする。

 ここで、霊たちを引き寄せるために、子新先生の描く女性キャラがたくさん登場。



 わたしは子新先生の女性キャラがとても好みなので、うっはっはーと喜んでしまった(←はい、衆合地獄行き決定。って、わたしクリスチャンなんだけどね)。

 しかも、しかもですよ。佑が繰り出した秘策が、ああっ、ここから先はネタバレになってしまうので書けないのが悔しい! わたしの性癖にグッサリ刺さる作戦なのである(←はい、衆合地獄行き決定、以下略)。

 それにしても、やっぱり子新先生の描く女性キャラは、色っぽいオトナの女性から、ロリっぽい娘、メガネっ娘まで、みな可愛くていいなぁ。

 佑自身も成長し、理屈や効率だけでは人は動かない、ということを知ったりする。それは鬼希がいたからこそ学べたことでもあり、二人のバディはより強固なものに。

 しかし、鬼希は佑に対し、ひとつの大きな選択をすることを決め、お盆休みの祭を二人で楽しんだあと、それを彼に伝えるのだった。


(鬼希ちゃんかわョ)


(佑かっこョ)

 そして物語は、「等活地獄」の刑場「等活コロシアム」での、八大獄長、奈那鬼との対決になる。
 この奈那鬼が、八大獄長だけあってなかなか強敵なのだが、佑もこれまでの経験で成長している。すでにただの効率厨≠ナはない、大きな度量を持つようになっていたのだ。

 このあたりのストーリー展開はさすがの流れなので、ぜひとも本書を手に取ってお読みいただきたい。

 そして、そう、ちょっとネタバレすると、佑は現世に戻ることができたのである。
 そこで以前の同僚とさし飲みをして、「佑くん、なんか雰囲気変わったよね」と言われるのだ。


(脇役にしておくには惜しいポニテキャラ! ちなみに1巻にも登場してます。佑との関係がどう進んでいくのか、ちょっと知りたかったなぁ)

 佑はもうただの効率厨≠ナはない。効率≠ェなんのためにあるかを知り、ひと回り大きく物事を捉えられるようになっているのである。

 ラストはまた意外な、しかしこれ以上はないか、という前向きなハッピーエンド(とも言えるかな)。
 子新先生は広げたストーリーの風呂敷を畳むのが実にうまい。このエンディングも、実は最初から考えていらっしゃったのではないかな。読後感はとても爽やかだ。

「オラクルベル」で学園サスペンス、「あの世のタスク」でお仕事もの「はらへりエイリアンとひよっこごはん」でグルメものと、次々と新ジャンルに挑戦していく子新先生。わたしの希望は、ぜひ「先生のキャラでラブコメを〜」というもの。
 いつかはきっと――と。ここでそっと書いてみたりする。わたしの性癖にグサグサささる、妹モノとか、TSモノとか、あとは、あとはね(←はい、衆合地獄行き決定、以下略)。
posted by 結城恭介 at 08:00| 書評・映画評

2023年09月09日

【書評】「こんなにカワイイ音瀬くんが女の子のはずがない」

 田中ぬぬ「こんなにカワイイ音瀬くんが女の子のはずがない」(1巻:以下続刊)



「女装しないのは俺だけなのか?」で、いや、実はそれ以前からTwitterでファンだった田中ぬぬ先生の、9月7日に出たばかりの新刊である。今わたしが、一番、世間にその名を知られてほしいと思っているTS系(女装だからTV――トランスベスタイトかも)を得意とするマンガ家さんだ。

 今作は出版社を芳文社の「まんがホーム」に移し、4コママンガの構成である。
 芳文社の4コマ誌は不思議な媒体で、何年も連載しているのに単行本を出してもらえない作家さんもいたりする。
 わたしは「まんがホーム」を毎月購入し、アンケート(今の時代に誌面を切り取って官製ハガキに張り付け、それに記して送るという、これもちょっと古いタイプ)に熱い応援メッセージを記して送っていた。先生への応援はTwitterでできるが、編集部への圧≠ヘこういう形でないと伝わらない。

 そんな微々たる努力の成果が出たとは口が裂けても言えない。田中先生の実力で作品に人気が出たのである。そしてこうして、単行本がでたことを、ファンの皆と喜びたい。

 あらすじ――音瀬未来くんは女装が趣味の大学生。ウィッグをかぶりメイクした彼は、もう「こんなにカワイイ子が女の子のわけがない」、無敵のカワイさである。



 しかし撮影会の夜、女装のまま深夜のコンビニに行ったらさあ大変。たまたま出会った同級生の橘くんに女装を見抜かれてしまったのだ。



(第一話をよく読むと、ここで橘くんに見抜かれるまで音瀬くんが男≠ナあるという描写はない。さすがの作話法なのだが、いかんせんタイトルがネタバレになってしまっているのだな)

 女装を内緒にしてやる、という橘くんが音瀬くんにつきつけた条件は、写真のモデルになってほしいというのもの。
 さてさて、音瀬くんの運命やいかに。そして二人の仲はどうなっていくのか。それは本巻を読んでのお楽しみ!

 本作は、以前もTSモノの解説で触れたサードウェーブ、最初からもう女の子っぽいのでもなく、超常現象でTSしたのでもなく、努力でカワイイをつくっていく現実的なタイプである。
 そして女装した音瀬くんが本当にカワイイのだ。


(橘くんの友人に、オレの彼女宣言をされたところ。かわョ!)

 ウィッグをつけるために、普段はベリーショートにしているところも、あまりこういうTS(TV)モノでは描かれないリアルである。



 読み込んでいくと、最初、スマホだった橘くんの撮影機材がかなりグレードアップしているのも楽しい。カメラがお好きな田中先生の面目躍如である。が、橘くんはスマホ撮影時と同じくフレーミングがへたくそというくだりで笑ってしまった。

 なんだかんだと、いやいやながら橘くんの撮影につきあっていくうちに、音瀬くんの心境が微妙に変化していく。ライバルも現れ、「そんなはずはないのに」橘くんにちょっと心惹かれているふうの音瀬くんがまたいじらしい。



 この橘くんがなかなかクセ者で、デートをすれば空気を読まず(ピー)だし、(ピー)の話をすれば(ピー)で(ピー)になってしまうという、ネタバレしてしまうとおもしろさ半減なので(ピー)なのだが、きっとリアルの女子にはモテないだろうなぁ、という性格である。

 橘くんには、音瀬くんを好きになるスパダリなライバルキャラが現れてお仕置きだな! というのがわたしの希望なのだが、まあそれはもう少し、音瀬くんが橘くんへの恋心を意識してからでもいいかな。

 まあ、このコマ(↓)の橘くんの男らしい告白(?)に免じて許してやるか。



 田中先生の描線は優しく、それでいて芯がしっかりしていて、読んでいて安定感がある。また、キャラクターに悪人が出ないのもよい(一番の悪人は橘くんか!?)。

 本作、上に書いたとおり、「まんがホーム」の連載を一巻にしたものなのだが、発刊までに一年かかる間、音瀬くんの表情がやわらかく、豊かになっていくのがまたうれしい。
 音瀬くんのカワイさの上に、コロコロかわる表情、そして橘くんへの微妙な意識の変化が凝縮した一冊である。
 そしてその意識をまるでもてあそぶように、最後に橘くんの一言で二巻へ続く。ヒキは十分、である。

 わたしは連載を読んでいるので結果は知っているのだが、読者の皆様においてはやきもきしながら二巻を待つか、連載中の「まんがホーム」をお読みいただきたい。基本、毎月2日発売の中綴じ誌である。

 または「まんがホーム」そのほか芳文社のマンガを電書で読める「Comic FUZ」のサブスクサービスに入るという手もある(わたしはそちらに移行した)。
 こちらも編集部経由(ここ大事)で田中先生にメッセージを送れるので、この先もカワイイ音瀬くんを見たい、と音瀬くんに惚れた読者は応援なのだ。

 さて、締めの言葉を書くために、もう一回、本書を最初から読み直したのだが――あぁ、音瀬くん、カワイイなぁ!
 ネタバレになるので貼れないが、カバーを取った表4の喫茶店の店主さんの一言も、サードウェーブTSモノの至言である。
 その一言を知りたい方は、ぜひともお手元に「こんなにカワイイ音瀬くんが女の子のはずがない」を一冊!


(電書派のわたしが珍しく冊子体を買って応援なのである(もちろん電書も買っている)。今なら書店によって特典がつくのでお早くお手元に!)

 追記:ゲーマーズの特典、「描き下ろし4Pブックレット」を拝読して、音瀬くんが求めているものが――

 ×女性になりたい
 〇かわいくなりたい

 ということなのだと改めて知り、なるほど、とひざを打った次第。
 だからタイトルが「女の子のはずがない」なのだなぁ。
 音瀬くんはTS、TVをひょいと飛び越しているのだ。そう、本当はカワイイと性別は別のものなんだよね。
posted by 結城恭介 at 08:00| 書評・映画評

2023年09月02日

【書評】「家系女騎士」

 錆狗村昌「家系女騎士」(1巻:以下続刊)



 わたしはラーメン好きなのだが、今はダイエット中なので(いつまで続くんだ!?)、最近は好きな二郎や、ひいきにしたいお店「北斗辛麺ジャギ」さんにも行けずにいる。

 千葉市には有名な、列のできる家系ラーメンで「末広屋」さんがあるのだが(ジャギさんの並びなのだ)、そちらはもう数十年も続いている。
 わたしも最初ここで家系ラーメンを食べたとき「こんなに美味いラーメンがこの世にあったのか」と魂を抜かれたものだ。

 さて、今回ご紹介するマンガは、異世界もの――ではなく現代日本を舞台にした、奇想天外なアイデアを膨らませたお話である。

 あらすじ――異世界で「オークスレイヤー」とまで呼ばれた女騎士、フレイヤ・R・ダイヤモンドは、オークのトラップにかかり、現代日本へと転生させられてしまった。



 というわけで、フレイヤさんは転生落下先の家系ラーメン屋「鬼心屋」で、借金を返すために店員さんとして過酷な労働に身をやつす羽目になったのである。

 現代から異世界に、思いもよらない形で転生して――という話は、今やもうネタがないのではと思うくらいあるが、逆のパターンで、しかも家系ラーメン屋さんの店員さんとなるというアイデアに、まず大ウケしてしまった。

 一応、フレイヤさんは金髪なので、周りには外国人として認識されているようだが、話す言葉が「クッコロ、コロコロ、クッコロセーイ」といった感じなので(彼女自身はイヤリングにしている宝玉のおかげで日本語を解せる)、名前は「コロスケ」とつけられてしまい、鬼店長の下で修行(借金返済)の日々という展開。

 そして、あれほど退治に苦労したオークが――



 ここではいとも簡単に殺され、食材にまでされてしまうという恐怖に震え上がるフレイヤさんがかわョ。

 しかも、鬼店長にまかないとして家系ラーメンをふるまわれ――



 その美味さに心酔してしまうのである。

 異世界の女騎士が現代日本の家系ラーメン屋に転生――という一発出オチネタ? いやいやこれが、なかなか奥が深いのですよ。チャーシューのつくりかたや、そのチャーシュー丼のうまさ、鬼店長の娘さんも登場。



 鬼店長が根は優しいところもあったり、なかなか読ませるストーリーで、一気に一巻、読んでしまった。

 しかもフレイヤさん、こんな豊かな食生活を送っていたら、絶対なるよなぁ、アレに、と思っていたら、次号予告のページに――



 思わず吹いてしまった。フレイヤさん、一緒にダイエットしましょう!
 でもこの先、つけめんや二郎系など、フレイヤさんの前に立ちはだかる美食の敵も多そうであるw

 錆狗先生の描線には安定感と同時に勢いと茶目っ気があり、しかも出てくるメニューがみな美味しそう。腹が減っているときに読むとこれはたまらない。

 そして、トレードマークのように出てくるデフォルメフレイヤさんがかわいらしい。



 どこか、タイアップしてくれる家系ラーメン屋さんはありませんかね(笑)。

 ちなみに、最初に書いた「末広屋」さんや「北斗辛麺ジャギ」さんのある通りには、以前も記事にした、これもちょっと有名な「オタ異世」さんがあったりする。
 フレイヤさんも、ここに落ちればよかったのにね(笑)。

 というわけで、ラーメンフリークにも、異世界ものファンにも安心してお勧めできるこの一冊。
 次巻も楽しみである。

 追記:あっそうか。トレードマークを貼ってわかった。IsekaiとIekeiの言葉遊びでもあったのか。錆狗先生、やるなぁ!
posted by 結城恭介 at 08:00| 書評・映画評