2022年08月31日

【カットリク!】「Cold Case 1x12 Glued」(ネタバレあり)

 最近、細君は日本でリメイクされた「コールドケース」にハマっていて、アマプラでずっと(ながら仕事をしながら)観ていて、それを観終わってオリジナルの「Cold Case」も観始めたのだった。
 日本でリメイクされた「コールドケース」はもちろん日本語なので、1.5倍速視聴でもOKだが、オリジナル「Cold Case」は吹き替えなしの字幕版。
 ながら仕事で観るのはつらいねぇ、とは細君の弁。そりゃそうだ。

 その細君からタレコミがあったのが、オリジナル「Cold Case Season1 Story12」の「Glued」。日本語に訳すと「接着剤」の回。



 ストーリー――1980年1月22日。雪の日だった。少年ティムは雑貨店から出てきたところを、何者かに追跡され、撲殺される。
 刑事たちはこの未解決事件の謎を追う。




 なるほど、カトリックが出てきたぞ。正確にはこう言っている。

The Barnes were Catholics, right?(バーンズ家はカトリック?)
Yeah, Tim was in the boys' choir.(ああ。ティムは聖歌隊に入っていた)


 神父があの夜のことを知っているキーマンだと、刑事たちは判断する。
 だが――







 あるんですよ、聖職者の養老院。日本にも「ペトロの家」という名の司祭の養老院がありまする。



 ここのところの原文はこう。

Confession is a sacrament.
Protected by both church and state law.


 Confessionを「告解」ではなく「懺悔」と訳してしまうのは、日本ではいたしかたないのかね。sacramentは「秘跡」の意。
 直訳すると――
「告解は秘跡だ」「教会と州法の両方に守られている」。
 つまり神父には守秘義務があって――







 というわけ。
 神父は犯人を知っている、だが告解を受けたので、守秘義務があり、それを誰かに漏らすことはできない。



 そこで刑事たちは一計を案じた。

 捜査本部で、真犯人とおぼしき者に、老神父が取り調べを受けているようにみせかけたのだ(実際には野球の世間話をしている――Ah, what I was thinking was this a baseball league for cops.)。







Well, a priest can't talk about what he hears in confession.
That's true.
Except Declan's retired.






And bitter. No allegiance to the church anymore, not after all the scandals.


 そして犯人は、神父が告解の内容を警察に話したのだと「勘違いして」自分の罪を認める。

 と、こういう話。
 犯人が、このトリックに引っかからなければ(神父にリタイアなどはないということを知っていれば)、落ちることはなかったのだ。

 そう、神父に引退などはないのである。いや、「事実上の引退」はあるが、一度、司祭に叙階された者は、それをやめることはできないのだ(魂に刻印――カラクテル――が押されるとされる)。
 それはカトリック信者も同じことで、一度カトリックの洗礼を受けた者は、教会から離れてしまっても、カトリック信者なのである。

 あ、念のため書いておくが、カトリックの洗礼を受けていない人が神父に殺人などを「懺悔」しても、その場合サクラメントではないので、神父に守秘義務はなく、警察送りになるだけである。

 全体的にカトリックとして見て間違いはないのだが、なかなか面白いトリックだったので紹介した次第。
 カットリク!じゃなくてゴメンね。

 結城「ところで直子さん、どのあたりがカットリク!だと思ったの?」
 細君「なんか刑事が、神父が引退とか適当なこと言ってるからさ」
 結城「あー、あれはブラフなんだよ。このワンカットを見逃したね?」



Maybe he doesn't need to break it. Maybe we just need to make Murphy think he's broken it.


 細君「あーっ、そんなシーンがあったんだ!?」

 というわけで、細君の1.5倍速視聴かつ非ネイティブ、プラスながら仕事の誤解から生じたちょっと面白い紹介記事ということで。
posted by 結城恭介 at 08:00| 新興宗教カットリク!の研究

2022年05月14日

【カットリク!】「神殺姫ヂルチ」

 5月の連休が終わると、法人の確定申告の用意があって(弊社は3月期末なので)、メタクタ忙しいのである……。
 いろいろあって、眠っても、4時間くらいで起きてしまう。なのに雑事に振り回されて肝心の仕事は進まない。良くないなぁ。

 というわけで、今回は小ネタで許してplz。



 的良みらん先生の「神殺姫ヂルチ」(5巻完結)。お色気満載のオカルティックアクションマンガである。出てくる女の子がみんな可愛いのよ、これが。さすが的良先生という感じで。

 が、残念ながら、カットリク!があったのだな。


(2巻より引用)

 言うまでもなく、カトリックの神父は貞潔が義務とされていて、結婚はできない。娘などいるはずがない。
「【カットリク!】恐怖新聞 第12話「悪魔のカード」・前編」でも触れた――

カットリク!ポイント36――
カットリク!は神父だけど結婚できちゃう。子どももつくっちゃう。


 ですな。
 ちなみに、「聖公会」などは、自分を「神父」と呼ばせて、妻帯している、という複雑な教導者もいたりするそうだが、本作の場合――


(2巻より引用)

 と、カトリック教会を名指しで指定しているので、これは完全にカットリク!である。

 とても残念である。こんな、たかが「世間話」に過ぎないシーンなど入れなければ、他のところはフィクションとして問題なかったのになぁ。

 まあでも、いつも書いていることだが、カットリク!であることと、お話の面白さは別、ということで、お色気満載のこの「神殺姫ヂルチ」。十分、楽しまさせていただきましたヨ。お勧めです。
posted by 結城恭介 at 08:00| 新興宗教カットリク!の研究

2022年03月23日

【カットリク!】「シスター・ルカは祈らないで!!」

 今日も小ネタ、しかも本当に良くある、このブログで何度も指摘している定番のネタで許してplz

 竹内元紀「シスター・ルカは祈らないで!!」(全2巻)

 の2巻、「20.再開と漢の戦い」より。







 ハイ。これは基礎中の基礎の復習問題ですね。
 カトリックでは(というかどのキリスト教諸派であっても)、聴罪ができるのは神父だけ、である。

カットリク!ポイント40――
カットリク!ではシスターも聴罪しちゃう!


 まあギャグマンガなので細かいツッコミはしないが、本作には神父もちゃんと出ているので、ここは譲れないセンだ。

 細かいところを言うと、シスターの名前「ルカ」は男性名なので、女性がクリスチャン・ネームとしてつけているのはあまり見かけない。ごく自然に聖ルチアおとめ殉教者≠たりから霊名をいただくと、当然「シスター・ルチア」になるからだ。
 福音記者ルカを霊名に欲しいとなると「ルチア」ではなく「ルカ」になるか、といったところ。逆に男で(聖母マリアからいただいた)霊名「マリア」というのもあるので、それはそれで筋が通っている。

 ちなみに福音記者ルカは医師の守護聖人でもある(ルカが医師だったので)。聖路加国際病院の路加はこの福音記者ルカからとられている。ただし、同病院はカトリック系ではない。

 霊名(クリスチャン・ネーム)に関しては、指導司祭によって「なんでもいいよ」と柔軟性があったり、全員マリアにされてしまったりと、けっこうネタの幅が広い。
 そのうち記事にしてみたい。

 というわけで「シスター・ルカは祈らないで!!」だが、ギャグマンガとして面白く拝読。
 何度もお断りしているが、「カットリク!」であることと、その作品の面白さは別問題、ということで。
 竹内先生の、ほのぼのとした絵柄が好きで、ご著書は「Dr.リアンが診てあげる」シリーズ、「チカちゃんは知りたがる」、「仕切るの?春日部さん」、「未来日記モザイク消し」といろいろ持っているほどファンである。


(原作:えすのサカエ/著:竹内元紀「未来日記モザイク消し」より引用)

 この我妻由乃様いいなぁw お気に入りのひとコマである。
posted by 結城恭介 at 08:00| 新興宗教カットリク!の研究

2022年03月09日

【カットリク!】「世捨てマリアと枯れ神父」

 歯が痛い……ので今回も小ネタで許してplz

 原作:伊藤ゆみ/作画:椎名あや「世捨てマリアと枯れ神父」



 の中にちょっと小ネタがあったので。
 ストーリーは書評ではないので書かないが、傷ついたヒロイン、福山紫音を神父、幸村響介が保護する。
 そして、教会の併設施設の「やすらぎの家」でのシーン。



 さて、どこがおかしいのでしょうか?
 いやこれ、カトリック信者ならば、一発でわかるはずだ。

 正解:カトリックは「礼拝堂」とは言わない。

 である。
 というか「礼拝」という言葉そのものを(カトリック信者の)日常ではあまり使わない。

 正しくは「お聖堂」。こう書いて、「おみどう」と読む。

 というわけで、久々のカットリク!

カットリク!・ポイント81――
 カットリク!には「お聖堂」ではなく「礼拝堂」がある。


 てなところで。

 何度も書いているが、その作品の面白さと、カトリック的におかしい点があるのは別、ということを強調しておきたい。本作「世捨てマリアと枯れ神父」も、電書サイトで単話売りながら面白い展開になりつつある。

 ただなぁ。単話売りは、個人的にはやめてほしいのだよな。販売側には色々思惑があるのだろうが、単話が一冊分集まってから、第×巻として出しなおしてほしい、と思うのはわたしだけだろうか。
posted by 結城恭介 at 08:00| 新興宗教カットリク!の研究

2021年11月24日

【カットリク!】「MW(実写映画版)」

 今回は小ネタ、とあらかじめお断りしておいて――

 手塚治虫先生原作の実写映画版「MW(ムウ)」(といっても、アニメ版があるわけではない)。2009年7月4日公開の邦画である。

 もちろん、原作は既読だが、映画版はだいぶ設定を変えている。まず――あっ、ここから小ネタバレがはいるので、ネタバレ嫌いの方は、下のヨタ話の間に別ページに飛んでいただきたく。

 手塚治虫先生にはお会いしたことがある。筒井康隆先生の「筒井康隆全集発刊記念パーティ」でのこと。手塚先生は、本当に手塚先生でいらっしゃった。つまり、ベレー坊をかぶって、大きな鼻に、優しそうな目。マンガのとおりの方でいらっしゃったということ。
 握手していただくと、その手は暖かく、この手から数々の名作が生まれたのだなぁ、と感慨深かった。
 手塚先生が亡くなられたのは60歳。すると、あのときの手塚先生は、今のわたしより若かったのだ。なんとも、人のスケールの違いに萎縮してしまう。

 と、こんなところで、ヨタ話は終わりにして――

 本作「MW(ムウ)」映画版には、主人公、玉木宏さんが演じるエリート銀行員の結城美智雄と、山田孝之さんが演じる友人のカトリック神父、賀来裕太郎が登場する。
 二人のバックグラウンドは映画を観ていただくとして、賀来裕太郎は神父なので、教会が何度か登場する。
 こんな感じに。



 あっ、この教会は! 一目でわかってしまった。

【カットリク!】新・警視庁捜査一課9係「殺意のロザリオ」
【カットリク!】真昼の悪魔

 でも使われた、群馬県にあるカトリック埼玉教区の「カトリック館林教会」である。



 ほらね。
 ちなみに、カトリック教会の多くは、地名と「カトリック」の文字が入るが、その順番はけっこういい加減で、信徒の間でも定まっていなかったりする。
 きっと館林教会には、テレビや映画のロケに協力的な雰囲気があるのだな。ウチの教会は、今の主任司祭がそういった用途には厳しいので、まずロケは入らない。



 さて、この写真の情報だけで、カトリック信徒にはわかることがある。それは季節。復活の大ローソクが置きっぱにしてあるので「復活節」だ、と。
 キョーカイ人ではないフツーの方は、街で「イースター」商戦が流行る頃、と考えていただければよい。
 この「イースター」は移動祭日なので、復活の主日の始まりは3月22日〜4月25日の間の日曜日となっている。
 つまり、初春から春の季節、ということだ。



 これは告解のシーン。賀来神父は白のストラをかけている。復活節の典礼色は白なので、これは正しい。素晴らしい!



 うーん、神父がロザリオを首にかけているのはどうかな?
 それと、初春〜春にかけては、玉木宏さん演じる結城の服装が軽装過ぎる気がするのだ。いくら3月22〜4月25日までの間がある、とは言っても実際の復活の主日は3月末から4月頭に集中しているもの。

 映画の中で、日付や季節に触れているシーンがない(わたしが注意して見ていなかったこともあり)ので、正確な日付がわからないのが痛い。



 教会の庭で遊ぶ子どもたち。服装は初夏っぽい感じだ。

 というわけで、小ネタなのでカットリク!ポイントはつけないが、見る人が見れば、お聖堂のロウソク一本で季節までわかってしまう、ということ。
 ロケスタッフ方「このデカいロウソクがあると絵になるな」と、真冬のロケで祭壇に持ってきたりしないよう、ゆめゆめお気をつけを。

 この「MW(ムウ)」映画版、二人の関係性が、原作ではあった同性愛関係ではなかったり(匂わせはある)、そのほか、いろいろ改変があって、世間の評価的には「むぅ」という感じだったようだ。

 カトリックもんとしては、祈りのとき、指を組み合わせる形ではなく合掌だったり(でも親指はクロスしていなかった)、ストラの色は合っていたりで、まあよく研究はしているかな? 及第点かな、という気もしないでもない。もしかしたら、館林教会の方から指導が入ったのかもしれない。

 それにしても、ドラマや映画の神父は、実にヒマなんだなぁ、という感想をいつも持っていたりする。教区司祭が、復活節に友人につきあって小島へ旅行などはできないでしょ、フツー。
 小教区で聖務に実務に走り回っている司祭からみたら、それが一番「カットリク!」かもしれない。
posted by 結城恭介 at 08:00| 新興宗教カットリク!の研究